新しい年が明けると、誰もが口にする「あけましておめでとう」。
この本来の意味をご存知でしょうか?
池上彰さんが、テレビ番組で解説されていましたので ご紹介いたします。
「あけましておめでとう」の本来の意味
国民の誕生を祝う「おめでとう」
本来、「あけましておめでとう」は、無事に歳を重ねたことへの「お誕生日おめでとう」を、意味するものでした。
戦前まで日本は、元旦を国民全員の誕生日としており、人の年齢は「数え年」が一般的でした。
数え年とは、産まれた日を1歳とかぞえ、翌年の元旦に年を重ねることを言います。
例えば、12月31日に生まれた人は1歳で、翌日の元旦は2歳になります。
つまり、「あけましておめでとう」の本来の意味は、国民全員が新しい年齢を迎えることができたため、「おめでとう」ということだったのです。
しかし、1949年(昭和24年)に、「年齢のとなえ方に関する法律」ができ、ここで現代の「満年齢」に一本化されたのです。
解剖学者の養老孟司先生は、次のように述べられています。
僕が子どものころはなかったんですよ。年齢への執着みたいなものは。
全員がね、元旦生まれ。
毎年元旦になると一つ歳をとった。
昔は数え年で年齢を数えたから、零歳がないんですよ。
つまり生まれると一歳でしょう、すると次のお正月はみんな二歳になる。
そうすると、大体は一歳余分になるんで、それじゃ可哀そうだというので、元旦生まれにした人が多かった。
だから個人の誕生日はなかったの。
数え年を使う行事
日常生活において、数え年はあまり馴染みが無くなりましたが、七五三、厄払祈願、厄除祈願などでは、数え年を使うことがあります。
初詣に神社仏閣を参拝すると、厄除けの年が自分の年齢より上になっているのは、数え年を使っているためです。
ご参考:大晦日とおなじ意味合いだった節分
現在、日本は新暦(太陽暦)ですが、明治時代まで旧暦でした。
旧暦の時代、一年の始まりは「立春」。今の2月4日頃だったのです。
そのため、立春の前日が一年の終わり、つまり2月3日の節分は大晦日と同じ意味合いで 一年の最終日でもありました。
私たちが行っている2月3日の豆まきは、旧暦では年越しの行事で、年齢の数の豆を食す習慣は、正月を迎える前日のお祝いだったのです。
なお節分は、2月3日のほかにもあることを、ご存じでしょうか。
本来、節分は 立春の前日、立夏の前日、立秋の前日、立冬の前日と年に4回あり、「季節が分かれる日」という意味をもっているのだそうです。
まとめ
「あけましておめでとう」の本来の意味は、元旦に国民全員が年を重ねることが出来たことを祝う言葉でした。
現代では、「新しい年を迎えることが出来ました。おめでとう。」という意味で使われることが多くなりましたね。
日本語の使い方も、長い年月を経ると、変化してゆくことがわかります。
普段、私たちが何気なく使っている言葉には 実は歴史的な意味が含まれているものがあると考えますと感慨深いものがありますね。
本年も、カジトラをどうぞよろしくお願いいたします。
[参考番組]
池上彰が新年に教えたい 実は知らない日本のこと テレビ朝日 2020年1月4日放送
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[参考文献]