農学博士の木嶋利男先生が紹介されているパクチー(コリアンダー)の育て方のポイントについて、ご案内いたします。
さまざまな料理のアクセントになるパクチーは、今では広く浸透して、家庭菜園でも楽しむ方が増えているようですね。
最近のハーブというイメージが強いパクチーですが、実は 平安時代から薬味として用いられていた伝統ある野菜です。
木嶋先生によりますと、パクチーに限らず 野菜は原産地と似たような環境づくりをするとよく育つ傾向にあるようですので、今回はパクチー栽培のポイントについて、ご案内いたします。
パクチー(コリアンダー)の育て方|土づくり・種まき・追肥などの栽培ポイント
パクチーの原産地
パクチーはセリ科の野菜で、地中海沿岸で生まれた一年草です。
その後、東アジア、南アジアを経由して東南アジアへ広がり、別のルートで中南米にも入りました。
原産地は、温暖で生物活性が比較的高い土地で、タイやミャンマーの高地では、さまざまな草に混じってポツンポツンと野生種のパクチーが小さな集団をつくって自生しています。
日本への渡来
パクチーは最近のハーブというイメージがありますが、日本への渡来は古く、平安時代と言われています。
「和名類聚抄」という平安時代中期に作られた辞書などにパクチーの記載があり、朝廷料理で生魚を食するときの薬味として用いられていたようです。
パクチーの呼び方
私たちが読んでいるパクチーは、「タイ語」で、世界各地で呼び方が異なります。
国 | 呼び方 |
タイ語 | パクチー |
中国語 | 香菜(シャンツァイ) |
英語 | コリアンダー |
日本語 | 香菜(コウサイ)・中国パセリ |
パクチーの育て方・栽培のポイント
無駄なく使えるパクチー
現在、パクチーは 世界中で栽培され、葉はハーブ、種はスパイスとして利用されていますが、根っこも美味しくいただくことが出来ます。
土づくり
木嶋先生によりますと、パクチーは、原産地と似たような環境で栽培しますと、よく育ちます。
畑で育てる場合は、水はけの良い肥沃な畝を作ります。粘土質の畑の場合は、高めの畝にします。
種まきの2週間ほど前に、やや未熟な牛ふん堆肥を1㎡あたり2kg、深さ20cmくらいまで畝全体に混ぜておきますと、根がよく広がり良質な根を収穫することが出来ます。
ポイント | |
畝の高さ | 水はけの良い畑は平畝。粘土質の畑は高さ15cm。 |
元肥 | やや未熟な牛ふん堆肥を畝全体に施します。粘土質の畑は2割減、砂質の畑は2割増しが目安です。 |
追肥 | 間引き収穫後、ボカシ肥を3本の指でつまんだ程度の量をまきます。 |
マルチについて
木嶋先生によりますと、加湿を嫌うパクチーは、ビニールマルチより草マルチがおすすめです。
畝に枯れ草やワラなどをパラパラと敷き、土の過剰な乾燥と過湿を防ぎます。
ちなみに、タイの産地では、雨が多く降る時期には畝に大きな木の葉を敷いて栽培しているそうです。
パクチーの種まき
パクチーの種まき時期
パクチーは、春と秋の2シーズンに 種をまくことが出来ます。
一般地では 11月~3月までの寒い時期、7月中旬~8月中旬の暑い時期をのぞけば、いつでも種をまくことができます。
パクチーの種のまき方
幅60cmほどの畝に1列、5cm間隔で1粒ずつ種を点まきします。
芽が出て、隣どうしの葉がぶつかる程度になりましたら、順次 間引きをしながら収穫し、株間を最終的に40cmほどに広げてゆきます。
パクチーの管理(追肥・水やり等)について
パクチーは過湿は嫌うものの、水を好む野菜です。
栽培中、葉の色が薄くなってきましたら、少量のボカシ肥を与えて水やりします。
楽しいパクチーの収穫
パクチーの収穫は、お好みの方法で楽しむことが出来ます。
根っこごと引き抜いても良いですし、株を残して幾度も葉を摘み取り続けることも可能です。
種採り用に、何株か 残しておいても良いですね。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されているパクチー(コリアンダー)の育て方のポイントについて、ご案内いたしました。
パクチーは、葉っぱ・種・根っこの全てを無駄なく美味しく使える万能野菜ですので、あなたの畑で育ててみてくださいね。
[参考文献]