農学博士の木嶋利男先生が紹介されている 枝豆のコンパニオンプランツをご案内いたします。
枝豆は、混植や間作で多くの野菜と一緒に育てることが出来る便利で優良な野菜です。
枝豆をほかの作物(コンパニオンプランツ)と栽培しますと、単体で育てるより生育が促進し、害虫忌避の効果が高まると言われています。
今回は枝豆のコンパニオンプランツになる作物と、栽培のポイントについてご紹介しますので、参考になさってください。
枝豆のコンパニオンプランツ一覧
枝豆のコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツ 害虫忌避 生育促進 トウモロコシ ● ● サニーレタス ● ● ミント ●
枝豆のコンパニオンプランツ「トウモロコシ」
枝豆とトウモロコシの組み合わせは、広く応用されている栽培方法で、アメリカの先住民も栽培していたと言われています。
土を肥沃にする枝豆の根
枝豆の根っこには「根粒菌」という菌が共生し、空気中の窒素を取り込み、土を肥沃にする働きがありますので、枝豆とトウモロコシのどちらもよく生長します。
肥沃な土で旺盛に育つするトウモロコシ
枝豆の根に付く根粒菌が共生しますと、リン酸やそのほかのミネラル(微量成分)をトウモロコシに橋渡しをする役割を果たします。
枝豆のそばでトウモロコシを栽培しますと、発達したひげ根で枝豆が作った肥料分をよく吸収し、トウモロコシがよく育ちます。
根粒菌のネットワークが発達
根粒菌は枝豆とトウモロコシのどちらにも付きやすく、根粒菌のネットワークを介して互いの養分のやりとりができます。
低い光でも育つ枝豆
枝豆は草丈が低く、トウモロコシと一緒に栽培しますとトウモロコシの陰になりますが、弱めの光でもよく育ちます。
バンカープランツで防虫効果
枝豆(マメ科)とトウモロコシ(イネ科)は「科」が異なりますので、寄ってくる害虫がそれぞれ異なります。
別種の害虫は、互いを避ける性質があるため、枝豆に付くシロイチモジマダラメイガ、トウモロコシに付くアワノメイガのどちらも寄り付きにくくなります。
また、枝豆とトウモロコシはそれぞれ「バンカープランツ(おとり作物)」になります。
互いの害虫に対する天敵が 枝豆とトウモロコシを「すみか」にして害虫を捕食しますので、野菜全体の害虫被害が少なくなる効果が期待できます。
枝豆とトウモロコシの栽培ポイント
品種選び
枝豆
枝豆は、白豆や茶豆系の極早生~早生種を選びます。
黒豆系の晩生種は、秋にまきますと晩秋までに莢(さや)が太くなりません。
トウモロコシ
スイートコーン系を選びましょう。品種は何でもOKです。
苗の準備
トウモロコシの苗を先に準備します。
ポリポットに3粒まいて葉が2~3枚になりましたら間引いて1株にし、葉が4枚になるまで育てます。
種まきから葉が4枚になる期間は、約3~4週間が目安です。
土づくり
トウモロコシの植え付け、枝豆の種まきの3週間前に、土づくりをします。
完熟たい肥とぼかし肥、または、牛ふんと鶏ふんなどを施してウネを立てます。
植え付け・種まき
地域によって前後しますが、トウモロコシ苗の植え付け時期は 一般地で 4月下旬~5月下旬が目安です。
トウモロコシの苗を植え付けましたら、同じタイミングで枝豆の種もまきます。
例:トウモロコシの条間に枝豆を植える場合(ウネ幅70~80センチ)
トウモロコシ
苗の条間を50センチ、株間は30センチの2列植えにします。
枝豆
トウモロコシ2列の真ん中に枝豆の列をつくり、株間を30センチにします。
枝豆の種は一か所に3粒ほどまきます。発芽して葉1.5枚(初生葉は含まず)で間引きをし、2本立てにします。
例:トウモロコシの隣に枝豆を植える場合(ウネ幅90センチ)
トウモロコシ
苗の条間を40センチ、株間は30センチの2列植えにします。
枝豆
ウネの端っこ(トウモロコシの隣)に、枝豆の種をまきます。株間は30センチにします。
枝豆の種は一か所に3粒ほどまきます。発芽しましたら本葉1.5枚(初生葉は含まず)で間引きをして2本立てにします。
追肥
基本的に追肥の必要はありません。
土寄せ
枝豆
株元に数回土寄せをしますと、不定根が伸びて生育がよくなります。
トウモロコシ
株元に枝根が出てきましたら土寄せをします。
収穫
枝豆
種まきから80~90日ほどで収穫します。
トウモロコシ
苗を植え付けてから60~70日ほどで収穫します。
枝豆のコンパニオンプランツ「サニーレタス」
枝豆のコンパニオンプランツに「レタス」を利用することも出来ます。
土を肥沃にする枝豆の根
枝豆の根っこには「根粒菌」という菌が共生し、空気中の窒素を取り込み、土を肥沃にする働きがありますので、枝豆とサニーレタスのどちらもよく生長します。
防虫効果が高いサニーレタス
キク科のサニーレタスは その独特な香りとアレロパシー効果で、害虫を寄せ付けない効果があります。
― アレロパシー効果とは?―
植物がアレロケミカルという物質を放出し、動植物を寄せ付けなくする効果のことです。なお、アレロパシー効果で、害虫を100%防ぐことは困難です。
土を保湿するサニーレタス
枝豆は、花が咲いた時期からの水やりがとても大切で、枝豆の莢(さや)を確実に付け、収穫量を増やすには「水切れさせないこと」がポイントです。
そこでコンパニオンプランツにサニーレタスを使いますと、レタスの葉が広がり ウネの保湿に役立ちます。
混植の効果は栽培の後半から
極早生の品種の枝豆は、収穫まで80日ほどかかります。
一方でサニーレタスは、苗の植え付けから30~40日程度で収穫することができます。
枝豆とサニーレタスの混植は 後半に効果が高まりますので、サニーレタスは枝豆より遅めに植えることがポイントです。
枝豆とサニーレタスの栽培ポイント
品種選び
枝豆
品種は特に選びません。何でもOKです。
サニーレタス
品種は選びませんが、特に赤い葉のサニーレタスは色による防虫の効果がより期待できます。
※害虫は赤色を嫌う傾向にあるそうです。
種まき・植え付け
枝豆
直まきの場合は3粒まき、間引きをして2本立ちにします。
苗をつくる場合は、種まきから植え付けまでの期間は約3週間です。
ポリポットに3粒まいて発芽しましたら間引いて2本立ちにします。本葉1.5枚でウネに植え付けをします。
サニーレタス
種まきから始める場合は、苗ができるまで約3週間かかります。ポリポットに土を入れて水で湿らせた種をばらまきして、パラパラと土をかける程度にします。
サニーレタスの苗を植え付けるタイミングは、枝豆を直まきの場合は、芽が伸びてきて土寄せするまでに行います。
枝豆を苗で植え付ける場合は、少し遅れて植え付けます。
※混植の効果を発揮させるために、栽培期間の短いサニーレタスは枝豆より遅めに植え付けます。
枝豆とサニーレタスの配分について
コンパニオンプランツのサニーレタスは、枝豆ほど株数を必要としませんので、枝豆のところどころに植え付けると良いでしょう。
例:枝豆の苗を植える場合(ウネ幅70センチ)
枝豆の条間を40センチの2列で植え付けます。枝豆2~3株に対して、サニーレタスを1株という配分で効果が出ます。
ウネの幅に余裕がある場合は 枝豆の株の間でなく、ウネの肩の部分に植え付けることも出来ます。
例:枝豆を直まきする場合(ウネ幅70センチ)
枝豆の条間を40センチ2列で種まきします。(一か所に3粒 点まきします)
サニーレタスは、枝豆が伸びてきて土寄せするまでに植え付けます。枝豆の株間に植えても良いですし、ウネの肩に植えても構いません。
この場合も 枝豆2~3株に対し、サニーレタス1株という配分にします。
追肥
基本的に、追肥は行いません。
土寄せ
枝豆は数回 株元に土寄せをしますと、不定根が伸びて生育がよくなります。
収穫
枝豆
莢(さや)の中でマメがふくらんできたら収穫します。
サニーレタス
大きく育った外の葉から摘んで収穫することができます。もちろん丸ごと収穫してもOKです。
枝豆のコンパニオンプランツ「ミント」
枝豆を栽培されたことがある方は、カメムシの被害に悩まされたことはないでしょうか。
カメムシは枝豆栽培において、もっとも悩ましい害虫ですね。
カメムシは、莢(さや)の汁を吸い、マメを傷めて実が付かなくなる悪さをしますが、木嶋利男先生のミントの苗を使う裏技をご紹介いたします。
害虫忌避効果の高いミント
カメムシは、エダマメの花が咲き始める時期から多く発生する害虫です。
そこで枝豆の近くにミントの苗を置いておきますと、カメムシが香りを嫌がり飛来することが少なくなります。
枝豆とミントの栽培ポイント
直植えより植木鉢がおすすめです
ミントを枝豆のそばに植えてカメムシを寄せ付けないようにしたいところですが、木嶋先生はミントの地植をあまりオススメされていません。
なぜなら、ミントは多年草で、地上部が枯れても根が残り、翌年に再び生えてくるからです。
ミントを畑でたくさん植えてしまいますと管理が煩雑になりますので、木嶋先生は ミントを鉢やプランターに植え、土に一部埋めておく方法をおすすめされています。
土に埋められた鉢は水分が保たれますので、頻繁に水やりを行う必要がなくなります。
枝豆の収穫が終わりましたらミントの鉢は 別の場所に移動させて栽培します。多年草ですので、翌年も利用することが出来ます。
もしミントを直植えされたい場合は、畑の周囲に縁取りにして栽培しますと、畑全体が防虫効果になります。
この方法も木嶋利男先生がオススメされている対策です。
品種選び
枝豆
特に品種は選びません。なんでもOKです。
ミント
特に香りが強いペパーミント、ペニーロイヤルミント(メグサハッカ)がおすすめです。
土づくり・種まき・植え付け・土寄せ
枝豆
トウモロコシの章、サニーレタスの章を参考になさってください。
ミント
市販の苗をプラスチックの鉢やプランターに植え付け、枝豆のウネに1~2メートルおきに置きます。小さい鉢で管理しますと移動させやすいので便利です。
なお、鉢(プランター)を土に半分程度埋めることで乾燥しづらくなります。
種まきから始められたい場合は、3月中旬~下旬までに種まきして育てておきます。
追肥
枝豆への追肥は、基本的に必要ありません。
前の年から育てているミントを使われる場合は、肥料分が不足していますので、ぼかし肥や鶏ふんなどを与えます。
収穫
枝豆
莢(さや)の中でマメがふくらんできましたら収穫です。品種によって栽培の日数が決まっていますので、それに従いましょう。
ミント
伸びて先端から摘んで、ミントティーなどで楽しみましょう。
葉を摘むことで生育が促されて香りが強くなり、害虫忌避効果が高まります。
チャイブも枝豆のコンパニオンプランツになります!
ヒガンバナ科のチャイブを、エダマメのコンパニオンプランツに利用することも出来ます。
2年にわたって栽培できるチャイブは、収穫しながらさまざまな野菜のコンパニオンプランツになりますので重宝します。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている枝豆のコンパニオンプランツと栽培のポイントについてご案内いたしました。
枝豆は、混植や間作で多くの野菜と一緒に育てられる優秀な野菜で、このほかにも「コマツナ」「ホウレンソウ」などとも相性が良いので、おためしになってみてください。
わが家は今年、トウモロコシ、エダマメ、二十日大根、サニーレタスなどを混植しております。
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[参考文献]
[ミントの種・苗]
[カメムシ対策の記事]
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