草マルチのメリット・デメリット、黒マルチ(ポリフィルム素材のマルチ)との違いについてご紹介いたします。
家庭菜園を始めた頃のわが家は、もっぱら黒マルチを使って野菜を作っておりましたが、最近は草マルチをに利用するようになっています。
今回はそれぞれの効果について、ご案内いたします。
草マルチのメリット・デメリット
伝承農法「草マルチ」
野菜の株元に刈り草などの有機物を敷いて、畝(うね)をマルチングする方法を「有機物マルチ」「草マルチ」などと呼びます。
この方法は伝承農法のひとつで、ポリフィルム素材などで作られたマルチシートがなかった時代に使われていた先人の知恵です。
草マルチとして有効な有機物は、ワラ、刈り草、野菜の残さ、落ち葉、もみ殻などです。
草マルチのメリット
ケイ酸で野菜が美味しくなる
草や稲ワラ、もみ殻などには、「ケイ酸」が含まれています。
ケイ酸とは、繊維や細胞膜をつくる要素で、キュウリなどウリ科の野菜に「ブルーム」という表皮に出る白い物質をのせやすくするにはケイ酸が必要となります。
ブルームは、水分の蒸発を防ぐ役目があって、ブルームの付きが味が良くなります。
病気予防
敷きワラや敷き草を野菜の株元に敷きますと、泥ハネを防ぎ、土の中の病原菌の付着を防ぐことが出来ますので、病気予防に効果的です。
雑草防止
地表を草マルチで覆うことにより直射日光が当たらなくなりますので、雑草の繁茂を抑制することが出来ます。
湿度と地温をキープ
草マルチは、土の湿度と地温を適度に保つことが出来ます。
土の肥沃に貢献
ワラや草などは、土と接している部分から微生物に分解されて土に戻ります。
すると、次第に土が肥沃になってゆきます。
ゴミが出ないメリット
草マルチは、野菜の栽培後に 土にすき込むことができます。
鋤き込んだ草マルチは微生物に分解され土に還りますので、ゴミになることがなく、循環して野菜を作ることが出来ます。
草マルチのデメリット
草の量に注意
草マルチは、基本的に乾燥したワラや狩り草を使い、地表がうっすら見えている程度に敷くのがポイントです。
これを厚く敷いてしまいますと、水を弾いてしまうため、土が乾燥してしまいます。
浅根になる場合も
有機物(草マルチ)と土が接しているところには適度な水分がありますので、その部分に根を伸ばし、浅根になる場合があります。
ナメクジに注意
適度な湿度が保たれる草マルチは、ナメクジが付きやすくなる場合があり、野菜が食害されてしまうこともあります。
黒マルチについて
メリットが多い黒マルチ
ポリフィルム素材のマルチシートはメリットが多く、土を保温の保湿、泥ハネ防止、雑草の抑制、害虫忌避など、さまざまな効果を得ることができます。
また、地温が高まりやすいので、寒い季節においても 種まきや苗の植え付けをすることも可能です。
黒マルチのデメリット
土が肥沃にならない
黒マルチは、地表ちかくの根ばかりが発達する傾向にあります。
そのため、乾燥と過湿、高温障害を受けやすくなり、微生物が単純化して土壌が豊かにならないデメリットがあります。
ゴミになる
ポリフィルム素材のマルチシートは、石油製品でゴミになりますので、環境に配慮された資材ではありません。
まとめ
草マルチ、黒マルチ(ポリフィルム素材のマルチ)のメリット・デメリットをまとめてみました。
それぞれの良い点を選んで、野菜を栽培してみてくださいね。
[参考文献]
木嶋利男著「学研ムック 有機・無農薬 野菜別 土づくりと栽培テクニック」
[関連記事]