ラベンダーを長く栽培するポイント、ラベンダーの種類、失敗しない育て方についてご紹介いたします。
美しい紫、上品な香りのラベンダーは、鑑賞するほかにも、お茶、ポプリ、お料理などに使える万能で優秀なハーブです。
小さめの植木鉢でも育てることが出来ますので、ラベンダーでいろどりある暮らしを楽しんでみられてはいかがでしょうか。
ラベンダーの原産地について
ラベンダーは、地中海沿岸が原産のシソ科植物です。
その歴史はたいへん古く、古代エジプト、ギリシャ、ローマなどで薬や調理に使われてきました。
日本にラベンダーが入ってきたのは、江戸の幕末期という説が有力のようです。
昭和時代は、香料の原料として北海道の富良野地方で栽培されはじめ、精油が生産されました。現在はラベンダー畑が観光資源になっています。
ラベンダーの系統
ストエカス系
通称「フレンチラベンダー」と言われているウサギの耳のような花穂が特徴の個性的なラベンダーです。
優美な姿を楽しめるストエカス系は、寄せ植えや花壇で育てると可愛らしいですね。
開花時期
開花時期は、一般地で 4月上旬~6月上旬と、ラベンダーの中でもっとも早く、栽培しやすい品種です。
香りと強さ
香りは弱めですが、比較的 高温多湿と夏の暑さに強く、夏越ししやすいのが特徴です。
耐寒性はやや弱めではあるものの、温暖地でも枯れることはありませんが、寒冷地では防寒対策が必要です。
ストエカス系「アボンビュー」
アボンビューは、早めに切り戻しますと2番花を楽しむことが出来ます。
ストエカス系「ラッフルズシリーズ」
紫色の種類が豊富なラッフルズシリーズは、次々と花が咲き、長く期間楽しむことが出来ます。
コモン系(アングスティフォリア系)
通称「イングリッシュラベンダー」と言われているつぶつぶした可愛らしい花が特徴です。
ラベンダーの中ではもっとも香りが強く、甘く良い香りがしますので、ハーブティーやポプリに向いています。
開花時期と特徴
開花時期は、一般地で 5月上旬~6月上旬頃で、ラベンダーの中では二番目に早く花が咲きます。
暑さに弱く、冬の寒さに強いのが特徴です。
コモン系「ヒッドコート」
ヒッドコートはポピュラーな品種です。花色が濃く、楕円形の花が特徴です。
コモン系「ラバンスパープル」
よく枝分かれして花付きが良いラバンスパープルは、背丈が低くコンパクトにまとまります。
コモン系「センティヴィア」
センティヴィアは、春と秋の2回、開花を楽しむことが出来ます。
ラバンディン系
つぶつぶした花はコモン系に似ていますが、花穂が大きく香りが強いのが特徴です。
開花時期は、一般地で6月下旬~8月下旬頃で、夏と冬に強く、丈夫で育てやすいタイプです。
ラベンダースティックや、ドライフラワーなどに向いています。
ラバンディン系「グロッソ」
たくさん収穫できるグロッソは、生長すると1mほどの大株になり、花数が多いタイプです。
プテロストエカス系
レースラベンダーと言われている系統です。
香りはやや弱めですが、ユニークな葉のかたちを楽しむことが出来ます。
冬の期間は、鉢植えにして室内の日当たりの良い場所(室温10℃)で育てますと、ほぼ一年中花が咲きます。
ムルチフィファ
3つに花穂が分かれるのが特徴です。
ブッチー
シルバーリーフが美しいタイプです。
デンタータ系
花茎が太い大型のラベンダーです。
香りはやや弱めですが存在感がありますので、お庭に植えるとゴージャス感が出ます。
葉の縁にこまかい切れ込みが入っているのが特徴で、花穂は細長く、ほぼ一年中楽しむことが出来ます。
ラベンダー選びの4つのポイント
ラベンダーの種類はいろいろありますので、どれを選んだらよいか迷ってしまわれるかと思います。
ラベンダー選びで押さえておかれると良い4つのポイントをご紹介いたしますので、参考になさってください。
⚘1.開花時期
⚘2.耐暑性と耐寒性
⚘3.香りの強さ
⚘4.用途
系列 | 開花 時期 |
耐暑性 | 耐寒性 | 香り | 用途 |
ストエカス系 (フレンチラベンダー) |
4月上旬~ 6月上旬 |
やや 強め |
やや 弱め |
弱め | 鑑賞 |
コモン系 (イングリッシュラベンダー) |
5月上旬~ 6月上旬 |
弱め | 強め | 一番 強い |
お茶, ポプリ |
ラバンディン系 | 6月下旬~ 8月下旬 |
強め | 強め | 強め | ドライフラワー, スティック |
プテロストエカス系 | 四季咲き | やや 弱め |
弱め | やや 弱め |
鑑賞 |
デンタータ系 | 四季咲き | 強め | やや 弱め |
やや 弱め |
庭向き 大型 |
※ 開花時期は一般地でご案内しております
ラベンダーを長く栽培するポイント・失敗しない育て方
ラベンダーを長く栽培するポイントと、失敗せずに育てられる方法をご紹介いたします。
初めて育てる時のポイント
4号ポットのラベンダーの場合、2まわり大きい素焼きの鉢(6号)に移植します。
素焼きの鉢は通気性が良いので、プラスチックの鉢よりおすすめです。
用意するもの(4号ポットラベンダーの場合)
・素焼きの鉢(6号)
・鉢底網 1枚
・鉢底石(バーライト)適量
・草花用用土
移植の方法
1.素焼きの鉢底に網をしいて、鉢底石を入れます。
2.市販の草花用培養土、バーライト1割を鉢に入れて、苗の高さを調整します。
3.ラベンダーをポリポットから取り出して、根っこを軽くほぐして鉢に置きます。
4.2cmほどウォータースペース(水やりする時の空間)をとって植え付けます。根元を手でしっかり押さえます。
鉢の置き場・水やり・追肥
・日当たりが良いところに置きます。
・根腐れの原因になりますので、水やりは過剰に与えすぎないようにします。
・秋と春に、肥料を置き肥します。
夏越しがとても重要です
ラベンダーの栽培でとても重要なのは「夏越し」です。
地中海沿岸が原産のラベンダーは高温多湿が苦手なハーブですので、梅雨と夏の暑い時期に気を付けたい点をご紹介いたします。
夏越しの対策法
枝すかし(枝を切ること)で風通しをよくし、夏の暑さ対策をします。
ラベンダーの花がずっと咲いていますと 株の体力が落ちますので、その前に枝を切って体力を温存させる目的もあります。
ラベンダーの全ての系統は、1年目は何もしなくて構いませんが、2年目以降から、梅雨前に枝すかしを行いましょう。
枝すかしの方法
外側の枝で、横に張った(伸びた)ものを付け根から切ります。株のまわりすべてを切り落として、風通しをよくします。
株の内側も切り込みます。花が咲き終わった枝から切り始めます。
付け根から3節残して切りますと、新しい枝が生えてきます。ラベンダー全体の2~3割の枝を思い切って刈り込みましょう。
一年中 枝すかしが必要な系列
ストエカス系と、プテロストエカス系 は随時(1年中)枝すかしを行います。
梅雨~夏の暑さ対策
梅雨から夏の間は、直射日光が当たらない場所に移動します。「すのこ」の上に載せますと、熱の伝わりが防げるのでおすすめです。
植木鉢を地植えにされたい場合は、暑さが一段落した秋に行いましょう。20センチの高植えで植え付けます。
冬の寒さ対策
冬の寒さ対策は、不織布(ふしょくふ)を1枚かぶせておきますと、春の芽吹きが良くなります。
切り戻しをする系列
コモン系とラバンディン系は、2年目以降に毎年必ず切り戻し(刈り込み)を行いましょう。
切り戻しは美しいラベンダーの姿を保つための大切な作業で、長く栽培する大きなポイントになります。
温暖地は、2月下旬~3月上旬頃、寒冷地は、3月下旬~4月上旬に行います。
枝を刈り込みをしませんと、木のように生長して枝の先端に葉が付き、バランスが悪くなってしまいます。
切り戻しの方法は、下に根があるのを確認して芽の上で半分切ります。すべての枝を半分切りましょう。
春か夏に毎年植え替えましょう
すべてのラベンダーにおいて、春か秋に毎年植え替えてあげることも長く栽培できるポイントです。
鉢で育てる場合も、別の鉢に移し替えましょう。
毎年植え替えることによって、根詰まりがなくなりますので長い期間 生長することが出来ます。
まとめ
ラベンダーの種類と、長く栽培するポイント、失敗しない育て方についてご紹介いたしました。
ラベンダーの植木鉢が1つあるだけで、暮らしが豊かになるかもしれません。
鑑賞しながら育て、使って楽しむことが出来るラベンダーで、暮らしにいろどりを加えてみられてはいかがでしょうか。
[参考] 趣味の園芸・選 2015年4月放送分
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