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牧野富太郎の日本植物図鑑を50年ぶりに手に入れた

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カジトラというブログを夫婦で始めたが、筆不精の私はなかなか進まない。

私が初めて記事にしたのが、「牧野富太郎の植物図鑑」についてである。

[関連記事] 牧野富太郎の日本植物図鑑は今からでも欲しい

ブログをはじめて半年後、神田の古本屋街を訪れた私は、ついに牧野の植物図鑑を手に入れた。

手に取ったのは、実に50年ぶりである。

不思議なもので人生は懸命に努力しても叶わないことが多い。

しかしながら、ちょっとしたきっかけで、思いがけず願いが叶うことがある。

今回の私は、その「思いがけない偶然」であった。

恰好よく言えば、それを運命ともいう。

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裏切らない神田の古本屋街

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神田の古本屋街は、学生時代から足繁く通っていた。

特にひいきにしている書店はないが、あの街の空気感が私は昔から好きだった。

私の妻は、「たくさんある本屋さんの中から1冊を見付けるなんて、とても無理じゃない?」と、はなから諦めているようだった。

しかし、私は古本屋に関して鼻が利く。

君も一度行ったことがあればわかると思うが、古本屋には「顔(カラー)」がある。

店先に陳列されている本をみれば、その本屋がどのようなものを扱っているか、判る。

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そして、神田古書センターの店先で私は「牧野富太郎の植物図鑑」と再会した。

やはり、神田の古本屋は私の期待を裏切らない。

日本の「植物図鑑」について

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牧野富太郎の「新日本植物図鑑」は、植物の種類をもっとも網羅している図鑑であろう。

もし、植物図鑑を手に入れたいと考えているのであれば、牧野富太郎の「牧野新日本植物図鑑」をおすすめする。

ところで日本の植物図鑑は古くから存在することを、ご存知だろうか。

奈良時代より前に渡来した「博物志」に始まり、十世紀には「本草和名」、江戸時代には「大和本草」がある。

近代の植物図鑑の分類方法(リンネ式分類法)を採用した図鑑は、江戸時代後期の「草木図説」である。

「植物図鑑」という名称を使ったのは明治時代後期。村越三千男氏ら東京博物学研究会が編纂したものが最初になる。

前置きが長くなったが、牧野富太郎はこの「植物図鑑」を改訂し、「新日本植物図鑑」として発行したのが1925年(大正14年)であった。

太古から、日本には植物に関する書物は存在していたが、牧野富太郎の尽力により、日本の植物図鑑は確立したと言えるだろう。

50年を経て手に入れた牧野富太郎の「新日本植物図鑑」

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私が神田の古本屋街「神田古書センター」で手に入れた牧野の植物図鑑である。

50年ぶりに手に取った牧野の植物図鑑。

裏ページを開いてみる。

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初版は、昭和36年(1961年)飯田橋にある「北隆館」より出版された。

私の父が所蔵していた図鑑と同じものだろうか。

父は他界しているので、確かめることが出来ない。

今となっては永遠に謎になってしまったが、年代的に父が所有していた植物図鑑と推測する。

985ページにわたる植物図鑑

牧野の植物図鑑は、実に985ページにわたる。

また、日本語の牽引は38ページ、英語INDEXは35ページ、学名解説は74ページである。

驚くべき、ち密なスケッチ

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少年時代から、故郷・高知県の大自然の中で、たった独りで植物学を学んだ牧野の「観察力」に、畏怖の念を抱く。

もともと牧野富太郎は画力に秀でた才能があったかもしれない。

しかし、ここまで精巧でち密な絵を描けるのは、植物への深い関心と執着ゆえだろう。

不明な植物を調べることは難しい

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牧野富太郎の植物図鑑を用いて「植物をさがす」ことは難しいだろう。

なぜなら、散歩の道すがら、見かけた草花が一体どんな名前であるか、ということを「調べる」ことには不向きな植物図鑑であるからだ。

この図鑑は、例えるなら「英語辞典」のようなものと考える。

英語辞典をながめていても、単語を学ばなければ一生わからない。それと同じである。

牧野富太郎の植物図鑑は、まず「目(もく)」を学ぶべきだろう。

「キクラゲ目」「シダ目」「ヤナギ目」など「目」を識り、それからバラ科、イネ科の草花はこれだけ種類があるという具合に、私はながめている。

しかしながら、牧野の画を見ているだけで、楽しい事には変わりはないので、目で楽しみ、学ぶ図鑑であるとも言えるだろう。

まとめ

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牧野富太郎はこの世を去ったが、彼が遺した植物図鑑は永遠に生き続けてゆく。

牧野富太郎の植物図鑑は、植物を正確に描写した図鑑としてはむろんのこと、芸術画集としても楽しむことが出来る。

私は、牧野富太郎の植物図鑑を手に入れたいと思い続け、結局50年も経ってしまっていた。

植物愛好家に限らず、彼の偉業を自身の目で確かめてほしい。

私は今、植物図鑑を眺めながら、牧野がどれだけの労力と時間をかけて大作を作り上げていったことに、頭を下げるしか思いつかない。

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