私の愛用品、L.L.Beanのトートバッグ。40年使っている。
もともと氷の塊を運ぶために作られた「ビーンズ・アイス・キャリア」は、創業当時と変わらないキャンバス地を今でも使っているのが素晴らしい。
このトートバッグは、私が20代の時に苦労して手に入れたものだ。
今でこそ、通信販売で手軽に購入することが可能になったが、私がこのトートバッグを注文して、手にとるまでに数カ月 要したことを覚えている。
きょうは、君たちに40年経った「L.L.Beanトートバッグ」をお見せしようと思う。
L.L.Beanへ葉書を出したのが始まり
L.L.Beanといえばビーン・ブーツ
L.L.Beanといえば、ビーン・ブーツ抜きでは語れない。
10代だった私は、ビーン・ブーツが欲して欲しくてたまらなかった。
しかしながら1970年代は、1ドル=300円前後の円安の時代。
子供の私が高額なビーン・ブーツを手に入れることなど不可能だったし、L.L.Beanのブーツの買い方など知るわけもなかった。
爆発的にトートバッグが日本に浸透
大学生になってもビーン・ブーツは相変わらず高嶺の花であったため、私はトートバッグを買おうと思い立つ。
私が20代の頃、L.L.Beanのトート・バッグは日本で爆発的なブームになっていたのだ。
記憶が曖昧で恐縮であるが、雑誌「Made in U.S.A.」か「メンズクラブ」で、L.L.Beanのカタログが手に入るという情報を入手した私は、アメリカのL.L.Bean社へ葉書を出した。
するとある日、L.L.Bean社から「日本語版のカタログ」が郵送されてきた。
君たちが現在目にしているような冊子だったと記憶する。
そして、L.L.Beanは 1970年代からすでに日本人用のカタログが存在していたことをこの時初めて知った。当時、情報収集するのにも時間を要す時代であったのだ。
一枚の葉書が海を渡り、一人の若者のためにL.L.Beanはカタログを送ってきた。
この時から私はL.L.Bean社への深い尊敬の念を抱いている。
40年使い続けたL.L.Beanのトートバッグ
40年の愛用品
私が愛用しているトートバッグをご覧になっていただきたい。
おおよそであるが、幅60cm×高さ35cm×奥行き16cmのラージサイズだ。
現在は、これが一番近いサイズになるだろう。
L.L.Bean(エルエルビーン) ボートアンドトートバッグ XLサイズ オープントップ グリーン
40年も使っているので、さすがにあちこち草臥れて(くたびれて)いる。
色はグリーンだが、ずいぶん色があせて、生地がほつれてきた。
サイドの縫い目も、ほつれている。
直接 地面に置いているので、底に小さな穴も開いている。
しかしながら、マチの部分はまったく傷んでいない。さすがである。
40年メンテナンスなし
L.L.Beanのアフターサービスには定評があることは、君もご存知だろう。
保証に期限はあるにせよ、購入してから不具合があった場合は、L.L.Beanは修理や交換、返品を快く受け付けてくれるのだ。
私はアフターサービスを受けることなく40年間使っているので、生地は色あせて汚れ、縫い目もほつれている。
しかし、L.L.Beanのトートバッグユーザーは、ピカピカの新品の状態を保つことを望んでおらず、色が褪せ、よれよれのトートバッグに魅力を感じるのではないだろうか。
キャンバス地は必ずやわらかくなる
使いはじめのトートバッグは硬い。
キャンバス地はゴワゴワして取っ手を長い時間持っていると、かたくて痛みを感じるかもしれない。
しかしキャンバス地は必ずやわらかくなる。そして、非常に味わい深い色に変化してゆく。
それを楽しみに、日々 使っていただきたいと願っている。
L.L.Beanのトートバッグは洗濯して良いか?
ところで、L.L.Beanのトートバッグは洗濯しても良いのだろうか?
公式サイトで次のように回答している。
L.L.Beanに限らず、メーカー各社は自社製品の劣化を促進させるようなことは推奨しない。
しかしながら私は、「ハンドルカラーが色落ちするのを気にしなければ、洗濯して良いに決まっている」と考えている。
購入した40年前の当初こそ、ブラシを使って洗っていた記憶があるが、今や洗濯機に放り込んで洗っている。
まさに、「洗濯機頼り」である。
L.L.Beanトートバッグの歴史と強度
出典 L.L.Bean
アメリカ人は冷蔵庫が無かった時代に、冬の間に凍った湖の氷を切り出して、木製の箱に氷を入れて冷やしていたそうだ。
メイン州では、湖で切り出した氷を貯氷庫で保存し、夏場に小さく切って売っていた。
出典 L.L.Bean
この氷を家まで運ぶための道具として、頑丈なキャンバス地を使ったバッグが売られていた。これがトートの前身「ビーンズ・アイス・キャリア」であり、氷のほかにも、暖炉の薪や野菜を運ぶ用途としても使われていた。
L.L.Beanのトートバッグは、自社工場でひとつひとつ手作りされている。縫製も、昔ながらの製法を受け継いでおり、強度は200kgのおもりを入れても底が破れない。
L.L.Beanのトートは、正真正銘、実用的な伝統的バッグと言えるだろう。
まとめ
街で L.L.Beanトートを持っている若者を見かけると、わたしは嬉しく思う。
洗濯して形が崩れても、色が褪せても良いではないか。
それが、「君の歴史、味わい」となってゆくのだから。
20年、30年と使い続けて、君らしい「ビーンズ・アイス・キャリア」に作り上げてゆくことを、私は願ってやまない。
※ 本記事は個人の見解です
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