今日は、「基本の革靴の手入れ方法」をお教えしようと思う。
わたしは、革靴を履き続けて45年になるが、街で 仕立ての良いスーツを着ている人の靴を見てがっかりしてしまうことがある。
それは、真のおしゃれとは言わないと思うのだ。
革靴は、手入れが大事である。
なぜなら汚れを落とすだけでなく、品質を保つため、経年の味を楽しむため、つまり長く履くことを目的としたいからだ。
今回お教えする革靴の手入れ方法は、慣れてしまうと簡単である。
それでは、基本的な革靴の手入れ方法と、長く履くために重要なポイントをご説明しよう。
※ 本ページは個人の見解のもと、ご紹介いたします。
・日常の手入れ方法
・汚れが目立つ時の手入れ方法
・雨に濡れた時の手入れ方法
・長く履き続けるための5つのポイント
・革靴の手入れに必要なアイテム
革靴の手入れ方法「日常編」
日常での革靴の手入れは、2つである。
2. 革靴にシューツリーを入れる。
この2点を行ってほしい。
毎日少しずつ手入れをしていれば、大ごとになることはない。
シューツリーを入れる理由は、革靴の形を整える役割だけでなく、湿気を吸い取る働きがあるので、革靴の傷みの進行を遅らせることが出来るのだ。
革靴の汚れが目立つ時の手入れ方法
外に出かける時と、帰宅時のホコリ落としは大切なケアであるが、多忙な日々を送っている君は、そういうわけにいかないこともあろう。
この章では、「汚れが目立ってきた時の手入れ方法」について、ご紹介しよう。
用意するアイテム
2.水
3.汚れ落としクリーム
4.革靴と同じ色の靴墨
5.やわらかめのブラシ
6.栄養剤(ミンクオイル等)
7.仕上げ用のやわらかい布
手入れの手順
1.靴の裏の石を取り除く。
2.靴ひもをとる。
3.アッパーを拭く
アッパー(甲革)のホコリを、乾いたやわらかい布で拭き取る。
汚れがひどい場合は、水に濡らした布を固く絞り拭く。
4.側面と裏面の水拭き
側面(コバ)とソール(裏面)は、たいがい汚れているので、水拭きする。
5.「汚れ落としクリーム」を塗る。
順番は、アッパー(甲革) → コバ → 底の順で行う。
乾いたやわらかい布に「汚れ落としクリーム」を付け、全体の汚れを取る。塗り落とすようにするのがポイント。
6.靴墨を塗る
やわらかい布に靴墨を付け、アッパーとコバに塗る。
固まってムラになるので付け過ぎに注意すること。
7.乾くまで待つ。
乾いてくると、靴墨の光沢が無くなる。
8.ブラッシング
やわらかめのブラシで、アッパーとコバをブラッシングする。
9.仕上げ
仕上げ用のやわらかい布で、アッパー → コバを一気に磨き上げる。
10.ミンクオイルを塗る
ソールが革の場合は、無色の栄養剤(ミンクオイル)を布に付けて塗る。
ソールが革ではない場合は必要ない。
なお、ミンクオイルを塗るとスリップしやすいので、気を付けてほしい。
11. 靴ヒモを取り付け、シューツリーを入れる。
長期間、履かずにいた革靴の手入れ方法
革靴は履いていないと劣化する
長期間、履いていない革靴は油落ちする。
手入れをせず突然履くと、底が剥がれてしまう可能性がある。
それを私は、若い頃に経験した。
この場合、前の章の「革靴の汚れが目立つ時の手入れ方法」と同じ手順で行ってほしいのだが、ポイントは、栄養剤(ミンクオイル)で油を補給するところが異なる。
用意するアイテム
2.水
3.汚れ落としクリーム
4.栄養剤(ミンクオイル等)
5.革靴と同じ色の靴墨
6.やわらかめのブラシ
7.仕上げ用のやわらかい布
長期間、履かずにいた革靴の手入れ方法
1.靴ひもをとる。
2.アッパー(甲革)のホコリを、乾いたやわらかい布で拭き取る。
3.「汚れ落としクリーム」を塗る。これは、古い靴墨を取り除くのが目的である。
順番は、アッパー(甲革) → コバ → 底の順で行う。
乾いたやわらかい布に「汚れ落としクリーム」を付けて、全体の汚れを取る。塗り落とすようにするのがポイント。
6.「栄養剤(ミンクオイル)」を塗る。
「汚れが目立つ時の手入れ方法」と、ここが異なる。
やわらかい布に栄養剤(ミンクオイル)を付け、アッパー(甲革)→ コバの順に塗る。
7.一晩置く。
8.一晩置いたらやわらかい布で、栄養剤(ミンクオイル)をよく拭き取る。
9.やわらかい布に靴墨を付け、アッパーとコバに塗る。
固まってムラになるので付け過ぎに注意すること。
10.乾くまで待つ。乾くと靴墨の光沢が無くなる。
11.やわらかめのブラシで、アッパーとコバをブラッシングする。
13.きれいなやわらかい布で(靴墨等が付いていない部分で)、アッパー → コバを一気に磨き上げる。
15.ソールが革の場合は、無色の栄養剤(ミンクオイル)を布に付けて塗る。
ソールが革ではない場合は、必要ない。
ミンクオイルを塗るとスリップしやすいので、気を付けてほしい。
16.靴ヒモを取り付けて、シューツリーを入れる。
雨に濡れてしまった革靴の手入れ方法
この章では「雨に濡れてしまった革靴の手入れ方法」を、紹介する。
この手入れも栄養剤(ミンクオイル等)を使用する。
用意するアイテム
2.雨と泥を拭き取る布(Tシャツや使い古しの手ぬぐい)
3.やわらかい布(Tシャツや使い古しの手ぬぐい)
4.汚れ落としクリーム
5.栄養剤(ミンクオイル等)
6.革靴と同じ色の靴墨
7.やわらかめのブラシ
8.仕上げ用のやわらかい布
9.防水スプレー
雨に濡れてしまった革靴の手入れ方法
1.革靴に付いた泥や水を布でよく拭き取る。
2.革靴の内側に水が染みこんだ場合は、新聞紙(電話帳のページ等のざら紙)を詰め込む。
3.乾かす。
4.乾いたら、やわらかい布に「汚れ落としクリーム」を付けて塗る。
順番は、アッパー(甲革) → コバ → 底の順で、全体の汚れを取る。塗り落とすようにするのがポイント。
5.「栄養剤(ミンクオイル)」を塗る。
やわらかい布に栄養剤(ミンクオイル)を付けて、アッパー(甲革)→ コバの順に塗る。
6.一晩置く。
7.一晩置いたらやわらかい布で、栄養剤(ミンクオイル)をよく拭き取る。
8.やわらかい布に靴墨を付けて、アッパーに塗る。固まってムラになるので付け過ぎに注意すること。
9.コバも5と同じように靴墨を塗る。
10.靴墨が乾くまで待つ。乾くと光沢が無くなる。
11.やわらかめのブラシで、アッパーとコバをブラッシングする。
12.仕上げ用のやわらかい布で(靴墨等が付いていない部分で)、アッパー → コバを一気に磨き上げる。
13.ソールが革の場合は、無色の栄養剤(ミンクオイル)を布に付けて塗る。ソールが革ではない場合は、必要ない。ミンクオイルを塗るとスリップしやすいので、気を付けてほしい。
14.靴ヒモを取り付けて、シューツリーを入れる。
革靴を長く履くための5つのポイント
1.適度に履いて、適度に休ませる
革靴を1回履いたら、翌日は履かずに休ませるのがポイントである。
できれば数足持っているのが理想だ。
最大の理由は、「湿気と乾燥」である。
湿気は革靴にとって大敵であり、味方でもある。
シューツリーに入れることを習慣にして、形を整え、湿気を取るようにしつつ、乾燥させないように適度に履くことが大切である。
2.栄養剤(ミンクオイル)は重篤な場合に使うこと
栄養を摂りすぎる革靴は、返って靴を弱らせ、カビの原因にも成り得る。
そのため私は、ミンクオイル等の栄養剤は、「日常の手入れ」と「汚れが目立ってきた時の手入れ」には使用していない。(靴の裏に塗るのみ)
革靴の状態にもよるが、ミンクオイル等を使用するのは、「靴が重篤な場合に使うもの」と、覚えておいてほしい。
3.雨の日は履かない
革靴は水に弱いことは、君も承知しているだろう。
雨の日に革靴を履かないのが一番である。
しかしながら、長靴を履いて会社に行くことも出来ないであろう。
その場合は、「防水スプレー」で革靴を雨からガードしてあげよう。
4.長期間、革靴を履かないことがないようにする
革製品というものは、実に気難しい。
長い期間、履かないで保管をしておくと、劣化が進行する性質を持っている。
私の経験では、まず革靴のシワが裂け、ソールが割れた。
これは革靴があまりにも乾燥しすぎたのが原因である。
長期間、革靴を履かない場合でも、最低でも半年に1回は、「長期間、履かずにいた革靴の手入れ方法」で、栄養を補給させてほしい。
5.品質の良い革靴を選ぶ
信頼あるメーカーの革靴を履くことも大切なポイントである。
私が45年革靴を履き続けている中で、優良と思うメーカーは、リーガル、コールハーンである。
この2大メーカーは、頑丈で修理がきく。
革靴の手入れに必要な7つのアイテム
この章では、革靴の手入れに必要なアイテムを紹介しよう。
革靴の手入れに必要な7つのアイテム
2.汚れ落としクリーム
3.栄養剤(ワックス)
4.靴墨(グリース)
5.やわらかめのブラシ
6.仕上げ用のやわらかい布
7.シューツリー
1.やわらかい布
2.汚れ落としクリーム
3.栄養剤(ワックス)
4.靴墨(グリース)
5.やわらかめのブラシ
6.仕上げ用のやわらかい布
7.シューツリー
靴墨について
靴墨は、革靴と同じ色を選ぶことは承知しているかと思う。
しかしながら、茶色の革靴を履いている君は、自分の革靴と同じ色の茶色の靴墨を探すのは難しいと思っていないだろうか?
私個人の見解であるが、茶色であれば何でも良いと考える。あまりこだわらずに手に入る茶色で良いだろう。
私は茶色の靴を好んで履いているが、靴墨で色の変化を楽しんでいる。
革靴は、革の変化を楽しむものでもあるからである。
もし、革靴と色に同じ色の靴墨を手に入れたい場合は、靴専門店や東急ハンズなどで相談するとよいだろう
わたしの経験上、靴専門店は意外に欲しい色を置いていなかったが、好みの色を相談して、品番等を教えてもらうことが出来るだろう。
まとめ
45年革靴を履き続けている私が考える「革靴の手入れ」とは、以下のとおりである。
革靴の手入れは、きれいにするためではなくて、エイジングを楽しむものである。
モノというものは、必ず劣化をする。
しかし、時を経ることによって「価値」が生まれるものがある。
それは工芸品であり、家具であり、そして「革製品」である。
私は、革靴をより格好よくさせるために、日々手入れをしているといって過言ではない。
価値があるものは、一朝一夕で生まれるものではないことを、革靴は証明してくれる。
※ 本ページは個人の見解のもと、ご紹介いたしました。