農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、収量がアップする 里芋の種イモの植え方について、ご案内いたします。
一般的にサトイモは、種イモをそのまま畝に植え付けますが、今回ご紹介するものは、種イモの尻を切って植え付ける方法です。
この植え付け方は、江戸時代の農家さんが行っていた伝承農法で、サトイモの収量アップが期待できる方法ですので、参考になさってください。
尻を切って収量アップ!里芋の種芋の植え方|昔農家さんに学ぶ伝承農法
江戸時代から伝わる伝承農法
サトイモの種イモの尻を切って植え付ける方法は、江戸時代から行われていた伝承農法です。
その方法は、サトイモの種芋を一度植え、発芽したら掘り上げて、下の部分を半分程度カットしてから もう一度植え付けます。
畑に床植えして、芽が二、三寸(約6~9cm)立ちたるとき、田畑に移しかえる。
この時、種芋の尻を四、五割ばかり小刀にて切り、切り口に灰をつけ、植え替え、肥(こえ)を施すべし。
芋の入りが倍になる引用 天保11年 伊藤正作「農業蒙訓」(木嶋利男著「野菜づくりの知恵とワザ」)
尻を切ると収量アップする理由
サトイモは、種イモに子イモや孫イモを用いることが多いですね。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、子イモの株は親イモ、孫イモの株は子イモとつながっていた側で、冬の休眠期には芽が伸びないよう、発芽抑制物質を出しているのだそうです。
そこで、下部を切ることにより、その抑制がはずれ、上部の芽の生長が促進されるという仕組みです。
葉が大きく伸びて 枚数が増えたサトイモは、光合成がよくできるようになりますので、イモの数が増える効果が期待できます。
サトイモの種イモの尻を切る方法と植え付け方
1.種イモの芽出し
一般地では、3月中旬~下旬に、3~3.5号のポリポットに畑の土や腐葉土などを入れて、芽を上向きに植えます。
2.種イモの下部を切る
種イモの芽が6~9cmほど伸びてきましたら掘り上げて、下部を包丁などで切ります。
根っこはイモの上部から伸びていますが、傷をつけないように気を付けます。
3.切り口に草木灰を付けて植えつけ
切り口から腐ることがありますので、殺菌をするために、草木灰をつけて植えつけます。
それ以降は、通常の里芋栽培とおなじです。
サトイモの尻切りのおもな効果
尻を切って植え付けた種イモは、茎葉の伸びが旺盛になり大きく生長します。
また、光合成の量が増え、地下のイモに流転する栄養分が増えます。
💡 食べやすい大きさの美味しい子イモがたくさんできます。
💡 孫イモ、ひ孫イモも大きくなり、大きさが揃いやすくなります。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、収量がアップする 里芋の種イモの植え方について、ご案内いたしました。
この植え付け方は、江戸時代の農家さんが行ってきた伝承農法で、サトイモの収量アップが期待できる方法です。
今から200年ちかくも前に、先人は里芋の特性を知っていたことに、驚きますね。
現在でも行える方法ですので、参考になさってください。
[参考文献]
木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」