畑をピョンピョン飛び回るバッタは、大切に育てている野菜の葉を大きな穴が開くほど食害し 家庭菜園では害虫の扱いになっています。
今回は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「無農薬でバッタの食害を減らす対策」についてご案内いたします。
木嶋先生が紹介されている方法は、バッタの特性を活かした対策ですので、家庭菜園でバッタ被害にお困りの方は参考になさってください。
バッタについて
バッタの種類と発生時期
草むらや畑にいるバッタは 5月~10月頃に発生し、夏の野菜、秋冬野菜の葉を食害します。
バッタの種類は オンブバッタ、トノサマバッタ、ショウリョウバッタなど、多くいます。
侮れないバッタの被害
昨今 世界のニュースでもバッタの被害が報道されていますが、バッタはあなどることが出来ない虫です。
バッタの幼虫は集団で葉を食害し、成熟したばかりのバッタは食欲旺盛で野菜の葉に大きな穴を開けます。
バッタが野菜に付く理由
雑草がないきれいな畑や、カマキリなどの天敵が少ない畑、弱った苗はバッタに狙われやすい傾向にあると言われています。
家庭菜園でバッタの食害を防ぐ対策
防虫トンネルで幼い苗を守る方法
野菜の苗を植え付けた直後に、防虫トンネルで覆いましょう。
トンネルにすき間がありますとバッタに侵入され、ネットの中が虫かご状態になり野菜を豪快に食害されますので、畑に足を運ぶ際は入念にチェックすると安心です。
わが家は、防虫ネットの中にカマキリやクモを入れて、用心棒になってもらっています。
野菜のまわりは適度な雑草を
農学博士の木嶋利男先生は、野菜のまわりの雑草は適度に残しておくことをおすすめされています。
なぜなら雑草をきれいに刈ってしまいますと、バッタは野菜の葉の裏に隠れるようになりますので被害が出やすくなるからです。
おとり作物で野菜を守る対策
木嶋先生によりますと、オンブバッタは雑食性でさまざまな野菜を食害しますが、とくにキク科とシソ科を好みますので、守りたい野菜のそばにおとり作物を植えておくことで、バッタから野菜を守ることが出来ます。
バッタの種類 | 好む野菜 | |
オンブバッタ | キク科 (レタスなど) |
シソ科 (シソなど) |
ショウリョウバッタ |
イネ科 (ソルゴー、エンバクなど) |
2021年
2021年真夏、わが家はシソをバッタに食べ尽くされました。
来年以降は それを逆手に取り、守りたい野菜のそばに植えることにします!
2022年
翌年2022年の畑です。
こぼれ種から発芽したシソを、野菜と通路の邪魔にならないよう適度に刈り込んで、オトリにしています。
相変わらず野菜の葉っぱも食べられていますが、シソのおかげで著しい被害に困ることがなくなりました。
2023年
2023年です。
春に引越しをしまして、家の庭で野菜を育てています。
どこからか飛んできたシソのこぼれ種が次々と発芽して、おとり作物になってくれています。
上の画像は、枝豆の近くに発芽したこぼれ種のシソです。新居の庭には巨大なバッタ(キリギリス?)が多数いますが、シソのおかげでしょうか?大きな被害は免れています。
バッタが畑に発生した時の対処法
野菜の苗が小さい時期にバッタが付いていましたら 補殺しましょう。
なお、大きく育った株であれば、多少葉を食べられても問題はありません。
無農薬で野菜を育てるポイントは天敵が畑に集まる工夫を
無農薬で家庭菜園を行う場合、害虫が全くいない畑をつくるのは困難です。
害虫は野菜を食害する厄介者ではありますが、害虫がいない畑は、カマキリやクモなどの天敵、ミツバチなどの益虫も寄ってこなくなりますので、よい環境とはいえないのです。
そこで、畑に天敵・益虫が集まる工夫をすることが、無農薬で野菜を育てるのに大切なポイントになります。
木嶋先生は天敵が集まる畑の作り方についても紹介されていますので、本ページ最後の関連記事を参考になさってください。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、家庭菜園における無農薬でのバッタ対策についてご案内いたしました。
薬剤を使わずにバッタを畑からシャットアウトすることは困難ですが、バッタが好む作物(キク科、シソ科、イネ科)を守りたい野菜のそばに育てることにより、食害を減らすことが可能になります。
また、雑草が生えていないツルツルの畑はバッタを始めとする害虫に野菜を狙われやすい環境とも言えますので、適度に草を残したり、お花を植えるなどして 天敵をも呼び寄せる畑づくりを目指してゆきましょう。
[関連記事]
病害虫を防ぎマルチになる「エンバク」のコンパニオンプランツ栽培
[参考文献]