無農薬で野菜を育てていますと、虫の食害に悩まされますね。
今回は、野菜に害虫が寄り付かなくなる手作りの防虫スプレーを、ご案内いたします。
ご紹介する手作り防虫スプレーの中には、農学博士 木嶋利男先生のコンパニオンプランツ栽培を活かしたものもありますので、参考になさってください。
家庭菜園の強い味方!手作り防虫スプレー8選
野菜に害虫が寄り付かなくなる手作りの防虫スプレーをご紹介いたします。
殺虫剤ではありませんので、害虫を完全に除去することは難しく、野菜を栽培している間 たえずスプレーをする場合もありますが、自然に優しく安全に野菜を育てられるかと思います。
手作り防虫スプレー一覧
※青い文字は作り方のページにリンクしています
種類 | 材料 | 主な効果 | 利用方法 | ポイント |
ニンジンスプレー | ・ニンジンの葉 ・水 |
モンシロチョウ、コナガを忌避 | アブラナ科野菜の葉の表と裏にスプレー | |
ホウレンソウスプレー | ・ホウレンソウの葉 ・水 |
キアゲハを忌避 | ニンジンの葉にスプレー | |
唐辛子スプレー | ・ホワイトリカー・ウォッカ ・赤トウガラシ ・水 |
アブラムシほか、害虫忌避 | 週に1回程度、葉っぱの表と裏に1スプレー | 晴れ・曇りの日の朝or夕方にスプレー
たくさんスプレーすると葉が傷むので注意します |
ハッカ油スプレー | ・ハッカ油 ・水 |
カメムシ忌避 | ||
油せっけん水 | ・食用油 ・水 ・食器洗剤 (無香料無着色) |
アブラムシの死滅 | スプレー後、10分ほどで死滅します | |
酢水スプレー |
・食酢 ・水 |
野菜の新陳代謝を高める。病気予防・害虫対策 | ・肥料過多、栄養不足の野菜の葉の裏表にスプレー。 ・アブラムシに1~2噴きスプレー |
木酢液は使わないほうが無難です |
トマトの葉スプレー | ・トマトの葉、茎 ・熱湯 |
アブラムシ、蛾の幼虫を忌避 | 野菜の葉の表と裏にスプレー | 食用の果実には出来るだけ吹きかけないようにします |
牛乳スプレー | ・牛乳 ・水 |
アブラムシの死滅 | アブラムシに1~2噴きスプレー | スプレー後、10分ほどで死滅します |
手作り防虫スプレーの作り方
1.モンシロチョウ、コナガを寄せ付けない「ニンジンスプレー」
キャベツやハクサイ、カブ、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜は モンシロチョウやコナガの幼虫に食害されやすく悩ましいですね。
コンパニオンプランツ栽培の第一人者でおられる 農学博士の木嶋利男先生は、すりつぶしたニンジンの葉をアブラナ科野菜にスプレーすることで、モンシロチョウやコナガが ニンジンの独特の香りを嫌い、寄り付かなくなりますと、紹介されています。
用意するもの
・ニンジンの葉
・水
・すり鉢(ない場合は細かく刻んで)
・スプレーボトル
ニンジンスプレーの作り方
ニンジンの葉をすりつぶして水で薄めます。(わが家の配合は適当です。)
ニンジンスプレーの使い方
すりつぶした汁を濾し、スプレーボトルに入れて、アブラナ科野菜に吹きかけます。
※ニンジンの葉がボトルに入りますと、ノズルがつまる場合がありますので、濾してからボトルに入れられることをおすすめいたします。
2.キアゲハを忌避する「ホウレンソウスプレー」
ニンジンはキアゲハに卵を産み付けられやすく、孵化した幼虫がニンジンの葉を食べ尽くしてしまいます。
そこで、ニンジンのコンパニオンプランツ「ホウレンソウ」の葉をすり潰して水に溶かしたものをニンジンの葉にスプレーして、キアゲハを寄せ付けなくします。
用意するもの
・ホウレンソウの葉
・水
・スプレーボトル
ホウレンソウスプレーの作り方
ホウレンソウの葉をすりつぶして水で薄めます。(配合は適当です。)
ホウレンソウスプレーの使い方
ホウレンソウの汁をこし、スプレーボトルに入れて、ニンジンの葉に吹きかけます。
※ホウレンソウの葉がボトルに入りますと、ノズルがつまる場合がありますので、濾してからボトルに入れられることをおすすめいたします。
3.アブラムシなどに「唐辛子スプレー」
※ カメムシが付く前に噴霧して対策します
唐辛子のカプサイシンという物質は、アブラムシなどの害虫を寄せ付けなくする効果があると言われています。
用意するもの
・密閉できるガラス瓶
・赤唐辛子 10~20本
・焼酎・ホワイトリカー、ウォッカなど、アルコール度数が35度以上のお酒 200ml
・スプレーボトル
唐辛子スプレーの作り方
1.密閉できるガラス瓶に唐辛子を丸ごと入れます。
2.1に焼酎・ウォッカ(アルコール度数が35度以上のお酒)を入れます。
3.冷蔵庫などの冷暗所に1か月以上おきます。
唐辛子スプレーの使い方
1.熟成させた唐辛子の液体を、水で300倍に薄めてスプレーボトルに移します。
2.1週間に1回程度、植物に吹きかけます。
4.カメムシを寄せ付けないハッカ油スプレー
ハーブであるハッカは、動物や昆虫、微生物を寄せ付けないアレロケミカルを放出していますので、カメムシなどの害虫忌避に効果的と言われています。
用意するもの
・ハッカ油 小さじ 1/2杯
・水道水 500ml
・スプレーボトル 500ml
プラスチックのスプレーボトルを使われる場合は、「ポリスチレン製以外(PS)」の材質のものをお選びください。ハッカ油の成分は、ポリスチレンと化学反応をおこしてボトルが溶ける場合があります。
ハッカ油スプレーの作り方
野菜の葉っぱの表と裏にスプレーします。
吹きかける回数が多すぎますと植物が弱ることがありますので、1週間に2回程度行います。
5.アブラムシを死滅させる「油石鹸水スプレー」
アブラムシを窒息させて死滅させることが出来る油石鹸水スプレーです。
用意するもの
・食器洗剤 ペットボトルキャップ1杯分
・サラダ油 ペットボトルキャップ2杯分
・水 2リットル弱
・2リットルの空ペットボトル
・スプレーボトル
油石鹸水スプレーの作り方
アブラムシを死滅させる油石鹸水の作り方
1.空のペットボトルに、食器洗剤をペットボトルのキャップ1杯分入れます。
2.サラダ油をペットボトルのキャップ2杯分入れます。
3.水を1リットル入れてよく振って混ぜます。
4.振ると泡が立ちますので、泡が無くなるまでしばらく待ちます。泡がなくなりましたら、残りの水1リットルを入れて、ペットボトルを満タンにします。
5.食器洗剤、サラダ油、水が混ざり、白濁してきましたら完成です。
6.スプレーボトルに移して使います。油石鹸水は、薄めずに使用します。
6.酢水スプレー
酢水スプレーは、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法です。
このスプレーは、害虫を撃退するのではなく、肥料過多や栄養不足で弱った野菜に吹きかけて代謝を上げ、害虫を寄せ付けなくする目的として使います。
たとえば、腐りかけの食品は小さい蝿がたかりますね。それと同じように、弱っている野菜は害虫につけこまれやすいのだそうです。
用意するもの
・食酢(米酢、リンゴ酢、ミカン酢など)
・水
・スプレーボトル
酢水スプレーの使い方
食酢を水で400~1,000倍に薄め、弱った野菜に吹きかけます。
葉の表と裏にたっぷり吹きかけるのがポイントです。
7.トマトの葉スプレー
「トマトの葉スプレー」も、木嶋先生が紹介されています。
トマトに含まれるトマチンという毒素を野菜の葉に吹きかけますと、アブラムシなどを忌避する効果があります。
トマトの葉スプレーを使い始めてから、わが家の庭のバラに付いたアブラムシが数回の噴霧で姿を消しました。
それ以来、このスプレーを、毎年作っております。
また トマトの葉スプレーは、レモンやユズの葉に付くハモグリバエも寄せ付けない効果を実感しましたので、お試しになってみてください。
ハモグリバエの被害にあったレモンの葉です。
トマトの葉スプレーを吹きかけている間は、被害がほとんどなくなりました。
用意するもの
・トマトの葉と茎
・鍋(バケツなど)
・熱湯
・スプレー容器
トマトの葉スプレーの作り方
1.トマトの枝葉を細かく切り、鍋に入れて熱湯を注ぎます。
2.お湯が冷めましたら、スプレーボトルに注いで完成です。
※トマトの葉や茎がボトルに入りますと、ノズルがつまる場合がありますので、濾してからボトルに入れられることをおすすめいたします。
トマトの葉スプレーの使い方
アブラムシやハモグリバエが付きそうな(付いている)野菜にスプレーします。
トマチンという毒素は、ジャガイモの芽に含まれる毒素「ソラニン」に似ていますので、野菜の実にはできるだけ吹きかけないように、気を付けましょう。
8.牛乳スプレー
アブラムシやハダニを窒息させて死滅させる「牛乳スプレー」もおすすめです。
アブラムシは別名エアープランクトンと呼ばれ、空中をフワフワと飛んでおり、次々と野菜に付きますので、何度もスプレーをする必要がありますが、アブラムシ駆除に効果的です。
用意するもの
・牛乳 50cc
・水 500cc
・スプレー容器
牛乳プレーの作り方と使い方
牛乳と水を合わせ、アブラムシが付いている野菜に吹きかけます。
保存方法
冷蔵庫で保存し、1週間程度で使い切るようにします。
まとめ
家庭菜園の強い味方「手作り防虫スプレー8選」をご紹介いたしました。
葉が傷んでいるホウレンソウや、間引きをしたニンジンの葉、トマトの葉茎などを使って害虫を防ぐ方法です。
畑の野菜を使った お財布と自然にやさしいな害虫対策ですので、参考になさってください。
-参考文献-
木嶋利男著 コンパニオンプランツで野菜づくり (ひと目でわかる図解)(主婦と生活社)