秋に畑で収穫したサツマイモを、室内で保存する方法をご紹介いたします。
サツマイモは、長い冬に備えたい貴重な野菜ですね。
昔の農家さんは、深さ1メートル以上の溝を掘り、サツマイモを穴の半分くらいの深さまで入れて、その上にワラやもみ殻をのせた上に、かまぼこ状に土を盛って保存をしていたそうですが、現在は、発泡スチロールの箱などを用いますと、それと同等の保存を維持することが出来るようになりました。
今回ご案内する保存方法は、雑誌「やさい畑」に掲載されているもので、千葉県成田市で有機農業を50年営まれているベテラン農家 石井恒司さんの方法です。
サツマイモがねっとり甘く熟成させる裏ワザについてもご紹介いたしますので、参考になさってください。
ベテラン農家さんに学ぶ|畑で収穫したサツマイモを室内で保存する方法
誤解しやすいイモ類の保存適温
[参考文献]やさい畑 冬号 2018年 12月号
サツマイモ、ジャガイモなどのイモ類は、果菜や葉物に比べて保存が効くため、自然の冷蔵庫になる「温度の低い場所」に保存をすれば長持ちすると思いがちです。
千葉県成田市で50年有機農業を営まれている石井恒司さんによりますと、イモ類を保存する時に気を付けなければならないのは、むしろ”寒さ”なのだそうです。
風邪をひきやすいサツマイモ
※ 霜があたって葉が黒くなったサツマイモの葉
原産地が中南米であるサツマイモは、寒さに弱い作物です。
初霜が降りると、サツマイモは たった一晩でも地上部の葉が黒く枯れてしまいますので、急いで掘り上げてしまいませんと、イモが寒さにやられて傷んでしまいます。
また、収穫したサツマイモは、気温が10℃を下回りますと、細胞が生理現象を起こして、傷がなくても壊死し始めます。
この状態を、昔農家さんは、「サツマイモが風邪をひく」と、言っていました。
昔農家さんは、サツマイモが風邪を引かないよう、温度が安定的である土の中を利用し、穴を深く掘って保存しておりましたが、現在は、発泡スチロールなどの箱に入れるだけで、風邪を引くことなく保存することができるようになりました。
貯蔵するサツマイモの扱いについて「収穫編」
石井さんは、貯蔵するサツマイモを 次のように扱うことをおすすめされています。
サツマイモを収穫する時のポイント
🍠 よく晴れた日に収穫し、掘り上げましたら3時間ほど日に当てて土をしっかり乾燥させます。濡れたまま保存しますと、腐りやすくなります。
🍠 地上部が枯れ、養分がイモに流転したタイミングで収穫し、初霜までを目安とします。
🍠 茎とイモをつなぐツルはなるべく切らないように、なるべく長いまま残しておきます。尻尾の部分も切り取らず、付けたままにしておきます。
貯蔵するサツマイモの扱いについて「保存編」
風邪を引かせないように保存したサツマイモは、呼吸をし続けるうちに、少しずつ水分が抜け、味が凝縮されると同時に、デンプンが糖に転換しますので、甘くねっとりした味わいになります。
サツマイモを保存する時のポイント
🍠 13~15℃ある室内で保存をします。玄関より暖気が残りやすい居間、台所などがおすすめですが、18℃以上ある場所に置いておきますと、芽が出る場合があります。
🍠 サツマイモを1本ずつ新聞紙にくるみ、保温力の高い発泡スチロールの箱、厚手の段ボール箱に入れます。サツマイモが呼吸する際、水分を放出し湿気がこもりやすくなりますので、保温に影響しない程度に通気穴を空けておくのもおすすめです。
※ わが家は、茶箱の中に入れて、キッチンで保存をしております。
まとめ
千葉県成田市で、有機農業を50年 営んでおられる石井恒司さんが紹介されている、畑で収穫したサツマイモを室内で保存する方法をご案内いたしました。
よく乾燥させたサツマイモを新聞紙で個別にくるみ、発泡スチロールの箱などに入れますと、ねっとり甘く熟成しますので、おためしになってみてくださいね。
[参考文献]やさい畑 冬号 2018年 12月号