農学博士の木嶋利男先生が紹介されている伝承農法、「植物を使った野菜の防寒対策」について、ご案内いたします。
秋から早春の寒い時期に栽培する野菜は、苗が霜や寒風などで傷む心配がありますね。
防風ネットやビニールマルチ等がなかった時代の農家さんは、工夫を凝らして植物を使った防寒対策、野菜の越冬栽培を行っていました。
今回ご紹介する対策は、今でも活用できる方法ですので、参考になさってください。
野菜の防寒対策で大切なこと
風の通り道を読む
農学博士の木嶋利男先生は、野菜の防寒対策に大切なことは、「風の通り道」を読むことですと、述べられています。
木嶋先生によりますと、風の通り道は 空気が常に動いており、意外なほど霜柱が立たないのだそうです。
逆に、霜柱が立ちやすく冷害が起こりやすいのは、冷たい空気が溜まる場所「霜だまり」で、霜柱が帯状に連なってつくられる「霜道」があります。
野菜の防寒対策を「野菜」で行う方法|植物を使った越冬栽培
ササの枝
エンドウやソラマメの防寒対策にササの枝を使うことは、お馴染みかと思います。
この方法は、現在もよく行われている伝承農法で、長さ20~30cmのササの枝を寒風が吹く風上側(多くの場合、北西方向)に挿します。
なお ソラマメは、エンドウよりも寒さに弱いため、両側に挿すと安全で、防寒の効果が大きくなります。
ブロッコリー・カリフラワー・キャベツなど
ブロッコリーやカリフラワーなど、草丈が高い野菜の株間やウネの間を利用して野菜を育てる方法もあります。
オクラ
オクラの栽培が終わったあと、茎を処分せずに エンドウの支柱代わりにする方法もあります。
わが家はこの方法を採用しておりますが、オクラの葉を取り除かずに残しておきますと、より防寒対策になると思います。
ムギ類
伝承農法でよく利用されていたのがムギ類で、これを防寒対策に用いますと、お住いの地域の種まきの時期より、早く栽培をスタートさせることも可能です。
方法は、秋にエンバクやオオムギなどの種をまいておきます。すると、春には草丈が高く生長します。
その条間にエダマメやラッカセイの種をまいたり、サトイモを植え付けます。
なお、生長したムギは、刈ってマルチの代わりにすることも出来ます。
なお、ムギとエンドウ(ソラマメ)の種を同時にまいて、一緒に育ててゆく方法もあります。
わが家の経験ですが、ムギの種まきを早めに行い、草丈を大きくしておくのも良いかもしれません。
もみ殻
ソラマメやエンドウ、玉ねぎなど 晩秋から育てはじめる野菜の株元に、もみ殻をまいて防寒対策をする方法です。
上の写真は敷きわらも利用しておりますが、敷きワラがかさばって置きづらい野菜を育てる時に、もみ殻が重宝します。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている伝承農法、「植物を使った野菜の防寒対策」について、ご案内いたしました。
この方法は、防風ネットやビニールマルチ等がなかった時代の農家さんが、工夫を凝らして野菜を越冬させた対策です。
今でも活用できる方法ですので、参考になさってください。
[参考文献]昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ