竹行李「竹かご弁当箱」をあと1つ欲しいと思っていたところ、幸運なことに、義母が使っていたものを譲り受けることになりました。
昔、息子(私の夫)のために買ったという、40年前の竹かご弁当箱です。
今は亡き義父と一緒に秋田旅行で買ってきたものとのことです。
社会人になった夫は、弁当箱を使う機会がなくなったので、その後は義母が時々使って、最近はもっぱらアクセサリー入れとして使っていたそうです。
別の記事で私は、竹かご弁当箱のことを書いているのですが、あと1つ欲しいという気持ちが、義母に届いたのでしょうか。
きょうは、40年経った、網代編みの竹かご弁当箱をご紹介したいと思います。
40年たっても丈夫な竹かご弁当箱
竹で作られた道具は「丈夫」ということはご存知ですね。
でも40年という時が経ったら、さすがに竹にヒビが入って劣化しているのでは?と思い、目を凝らして入念に観察しました。
一カ所だけピキっと亀裂が入っていましたが、そのほかはどこも傷んでいませんでした。
まるで新品のように見えますでしょう。
竹は、「天然素材の機能材料」と言われていて、その強さは「鉄鋼と同等クラス」なのです。
その証拠に、「鉄筋」という漢字にも「竹かんむりが」付いているでしょう?
竹の強さを実感しました。
日本の伝統技術の素晴らしさ
この編み方は、「網代編み(あじろあみ)」といって、秋田の職人さんが丹精込めて作られたものです。
職人さんは、竹ひごで編むばかりが仕事ではありません。
竹かご弁当箱は、完成に至るまでに、大勢の職人さんの「力」「目」「技」が注がれているのです。
竹林に入って竹を伐採する職人さん、良い竹を選定する職人さん、伐採した竹を加工して、竹ひごに仕上げる職人さん。そして、竹ひごで芸術品ともいえる弁当箱を編む職人さん。
1つのモノを作り上げるのに、数多くの職人さんの力が注がれているのです。
日本の伝統技術は、とても奥が深いことを思い知らされます。
「網代」は、どういう意味?
日本の伝統技術は、実にすばらしいと思いつつ、「網代(あじろ)」の意味を知らなかったので、調べてみました。
網代 意味
網代とは、木や竹、草などの植物を、細く薄く加工した物を材料として縦横交互に編んだ物の総称で、 敷物のような平面的な物や、籠や笠のような立体的な物がそれにあたります。
網代は、使用する素材や編み方を変えることにより、様々な種類と模様を作り出すことができます。
網代 由来
「網」は「あみ」、「代」は「代用する」などの言葉にあるように「かわり」を意味し、 「網代」の名は、魚を捕る為に川に立てた、竹や木を組んだ網状の仕掛けに由来します。
網代 歴史
植物を編むという意味において網代の歴史は古く、縄文時代以降の遺跡からは、かご類の一部が発見されています
(網代商会さん公式ページ http://www.ajiroshokai.com/about.html より引用させていただきました)
「網の代わり」として、植物を編み込んだものなのですね。
縄文時代以降から、植物を編む技巧が存在していたとは、もはや脱帽です。人間の知恵ははかり知れませんね。
時間が経ってこそ、味が出る
新品の竹かご弁当箱は、時間とともに美しい「アメ色」に変化してゆきます。
義母からもらった弁当箱も、40年前は白かったそうです。
ちなみに、私が一年前に購入した竹かご弁当箱はこちらです。
真っ白でしょう。まだまだ赤ちゃんですね。
編み目もまだやさしい感じです。これが長年使ってゆくと、光沢が出てきて網目もギューっと引き締まってゆくんですって。
果たして本当にアメ色になるのか、一年ごとに写真を撮っておこう考えておりますので、このページでご報告いたします。
なめらかな手ざわりが気持ち良い
実物を触っていただけないのが残念なのですが、手ざわりは、すべすべでツルツルしています。
夏の暑い日に、田舎のタタミにごろんと寝そべったような感覚です。
40年経っても使えるよろこび
竹かご弁当箱は、「ざる」の代わりになるので、とても便利です。
きょうは、琵琶とサクランボを入れて、夫のお弁当にしました。
果物を水で洗って、竹かご弁当箱に入れて水を切り、そのまま冷蔵庫に入れておくことが出来ます。しかもフタ付きで保存ができますので重宝しています。
前の日に準備しておけば、翌日の忙しい朝は家事がはかどります。
40年前のものを、日常の生活で使うことが出来る喜びは、何にも代え難いものです。
まとめ:感謝とモノを大切にしたい気持ち
このページを訪れてくださった方は、竹かご弁当箱は決して「時代遅れで古臭いもの」ではないことを、おわかり頂けたのではないでしょうか。
40年前の宝物を「もう私は使うことがないから」といって、譲ってくれた義母。
将来わたしも、この竹かご弁当箱を人に譲り渡す日がくるわけです。親から子へ、代々受け継いでゆきたいと思っています。