農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、糖度が増して害虫被害が減る栽培法「トウモロコシの超遅植え」について、ご案内いたします。
地域と品種によって前後しますが、トウモロコシは暖地では3月下旬から、一般地では4月中旬から、寒冷地では5月中旬から種をまき始めます。
この時期に育てるトウモロコシは、害虫アワノメイガの被害に遭いやすため、家庭菜園でお困りの方も多いかと思います。
本日ご案内する方法は、種まきの時期をずらして栽培します。
一般的な種まきより遅くすることにより、トウモロコシの糖度が増して、害虫被害が減る効果があると言われていますので、参考になってください。
「トウモロコシの超遅植え」糖度が増して害虫が減る栽培法
メリット1「糖度が増す超遅植え」
農学博士の木嶋利男先生によりますと、トウモロコシは太陽のエネルギーを使い、水と二酸化炭素から炭水化物をつくります。
日中につくられた炭水化物のすべては 茎・葉・実になるのではなく、一部はトウモロコシ自身のエネルギーとして夜の間に消費されるのだそうです。
そのため 夜間の温度が高すぎますと、エネルギーの消費量が多くあるため実の糖度が高くなりません。
そこで、トウモロコシの種まきの時期を遅くして、夜間の温度が低くなる10月以降に収穫できるように栽培しますと、糖度が20~25度と高くなるトウモロコシを収穫することができるようになります。
メリット2「害虫アワノメイガの被害が減ります」
トウモロコシは、害虫アワノメイガの幼虫に食害されやすいですね。
一般的なトウモロコシ栽培は、アワノメイガの発生と重なるため、被害に遭いやすくなります。
一方で、「超遅植え」は、アワノメイガの発生時期と重ならなくなりますので、被害を減らすことが出来ます。
ちょっと難点「栽培期間が長くなります」
トウモロコシを超遅植えで栽培しますと、糖度が増してアワノメイガの被害を減らすことが出来ますが、低温期に向かう作型になりますので、栽培期間は一般的な栽培より長くなります。
また、台風シーズンと重なりますので、ウネの両側に支柱を立てて、茎の真ん中あたりにヒモを張るなどの対策が必要になります。
トウモロコシの「超遅植え」栽培法
ポリポットで苗の準備
トウモロコシの種を植え付ける約30日前(7月上旬~中旬)に、ポリポットに3粒まきます。
本葉2~3枚になりましたら、健康な株を1本残し残りを間引きます。
8月上旬~中旬に苗の植え付け
一般的な作型のトウモロコシの収穫時期(8月上旬~中旬)に、本葉4枚になった苗を植え付けます。
超遅植えの定植のポイント
ポットにたっぷり水やり
苗を植え付ける時期は高温多湿ですので、ポットにたっぷり潅水して植え付けます。
植え付けの時間帯は、午前中がおすすめです。
肥料は控えめ、追肥はしないで
木嶋先生によりますと、真夏の畑は土壌微生物が活発にしていますので、たい肥・有機質肥料は速攻で分解され、効果が早く出てきます。
そのため肥料は普通の栽培より少なくして、追肥も控えます。
南北ウネがおすすめ
トウモロコシの株すべてに日が当たるよう、南北ウネを立てるのがおすすめです。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、糖度が増して害虫が減る栽培法「トウモロコシの超遅植え」について、ご案内いたしまし。
この方法は、栽培期間が普通のトウモロコシ栽培より長くなりますので、秋冬野菜用にウネを使いたい場合は難しいかもしれませんが、畑のスペースに余裕がある方はおためしになってみられてはいかがでしょうか。
一般的な栽培よりも低温期に向かう作型になりますので、甘いトウモロコシを収穫することができ、害虫アワノメイガの発生期を過ぎた頃に生長しますので、被害を減らすことが可能になります。
[参考文献]
[木嶋先生のトウモロコシ関連記事]
参考サイト 長野県農業関係試験場「農作物害虫データベース」より