きゅうり栽培で、葉っぱの一部が薄くなって黄色い斑点が付いたり、葉がねじれたり株の全体が縮んでしまったことはないでしょうか。
これは、「モザイク病」というウイルスが原因かもしれません。
モザイク病は、3月から11月頃に発生し、きゅうりをはじめとする、あらゆる野菜が この病気にかかります。
今回は、「きゅうりのモザイク病の原因と対策、病気にかからないポイント」について、ご案内いたします。
この対策は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されているもので、薬などを使わずにキュウリを育ててゆきたい方におすすめです。
モザイク病にかかる原因
モザイク病はウイルスによる病気で、きゅうりをはじめとする野菜はこれによくかかります。
原因1「害虫による感染」
原因はおもに昆虫からの伝染で、ウイルスを持ったアブラムシ・コナジラミ類などが葉っぱや茎を吸汁して感染します。
原因2「種や土壌、接触から伝染」
きゅうりのモザイク病は、土や種、苗から伝染する場合、ウイルスが付いた手やハサミで他の葉を切ったり触ったりすると伝染する場合があります。
きゅうりのモザイク病にかかってしまった時の対策
モザイク病にかかっている葉を発見しましたら、すぐに切って処分します。
葉っぱを畑に放置しておきますと、病気が周囲の野菜に蔓延してしまいますので、畑の外に持ち出すか、土に埋めてしまいましょう。
きゅうりのモザイク病を防ぐ方法
アブラムシ・コナジラミ類の予防対策です。
アブラムシ対策
防虫ネット
アブラムシは空から落ちてきますので、目合い0.8mm以下の防虫ネットを覆いますと防ぐことが出来ます。
バンカープランツ(おとり作物)
アブラムシに寄生される前に、別の植物におとりになってもらう方法です。
きゅうりの近くにソルゴーやムギを植えておきますと、アブラムシはきゅうりに寄生する前にバンカープランツに吸汁します。
別の植物を吸汁しますと ウイルスは不活化しますので、感染から免れることが出来ます。
コナジラミ対策
水で撃退
コナジラミは水に弱いため、きゅうりの葉の表と裏に水を吹きかけます。これだけでも密度が下がりますので効果的です。
バンカープランツ(おとり作物)
ナスタチウムをきゅうりの株元に植えておきますと、コナジラミの天敵「カメムシ」がよく集まり捕食してくれます。
健康な苗・タネを使います
健康なきゅうりの苗やタネを選んで植え付けるのが、モザイク病を防ぐ一番の方法です。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、苗をウネに定植する時と、種の発芽の時期が病原菌の感染リスクがもっとも高いのだそうです。
次の章で、病気を出さないように苗を植えるポイントについて、ご案内いたします。
モザイク病を出さない苗を植えるポイント
木嶋先生がおすすめされている きゅうりの苗を植え付けるポイントをご紹介いたします。
🥒 苗を植え付ける前にポリポットに水を注ぎます。
🥒 ポットをバケツの水に浸し、ブクブクと泡が出なくなるまで根鉢に水を含ませます。
🥒 ポットを取り出して日陰に2時間置いておきます。
🥒 苗を植え付けます。土と根鉢を密着させます。
🥒 仮支柱を立てて、苗を安定させます。出典 農薬に頼らない病虫害対策(学研)木嶋利男著
病気を出さないようにするポイントは、土に穴を開けた時に水を注がないこと、苗を植え付けた後も水やりをしないことです。
苗を植え付けた後に水やりをしますと、苗は根を伸ばそうとせず、病原菌の侵入を許してしまうからです。
根っこの先端には根冠(こんかん)というヘルメットのような組織があり、粘液を出して根の生長点を保護して土の中を進んでゆきます。
その粘液の中にはさまざまな根面微生物がひそんでいて、外部から侵入しようとする病原菌を排除します。
まとめ
きゅうりのモザイク病の原因と対策、病気にかからない苗の植え方のポイントを、ご紹介いたしました。
モザイク病は、ウイルスでもっとも多い病気です。
もし発病してしまったら、すぐに葉を切って畑の外に持ち出すか、土の中に埋めましょう。
病気にかかりにくくするポイントは、健全なタネや苗を使って植え付けることですが、おとり作物(バンカープランツ)を使ってウイルスを媒介する害虫を防ぐ方法もあります。
今回ご案内しました「きゅうりのモザイク病対策」は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法ですので、ご参考にしていただければ幸いです。
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[参考文献]
[バンカープランツの種]