畑に霜が降りる厳寒期に、土を掘り起こして寒気にあてる作業を「寒おこし」といいます。
これを行うことによって、次に栽培する野菜の育ちが格段に違うと言われています。
今回は、「寒おこしのやり方」「寒おこしを行う理由と目的」「天地がえしとの違い」についてご紹介いたしますので、参考になさってください。
寒おこしを行う理由と目的
地域によって前後しますが、日本列島は 1~2月頃の厳寒期に、畑に霜が降ります。
その時期に土を掘り起こして、寒気をあてる作業を「寒おこし」といいます。
寒おこしを行う理由と目的は、以下のとおりです。
・寒さで病害虫・病原菌を死滅させるため
・土が凍結と解凍を繰り返すことによって、土壌の構造が団粒化し、土壌改良になるため
・土中の有毒ガスや腐った水を除去し、新鮮な酸素と水を供給するため
・雑草の増殖をおさえるため
寒さで病害虫・病原菌を死滅させるため
土を霜や雪などにさらして凍らせることにより、害虫駆除や病原菌の死滅効果が期待できます。
土が凍結と解凍を繰り返すことによって、土壌の構造が「団粒化」するため
土が凍結と解凍を繰り返されることによって団粒化し、土壌改良が期待できます。
土中の有毒ガスや腐った水を除去し、新鮮な酸素と水を供給するため
地中の土を掘り起こすことによって土の品質を均一化にする効果が期待できます。
雑草の増殖をおさえるため
冬に繁殖する雑草が増えるのを、おさえる効果が期待できます。
「寒おこし」のやり方
用意するもの
・スコップ
寒おこしのやり方
1.収穫が終わったウネの残渣を取り除いて、更地にします。
2.スコップの刃を30~40cmほど深く土にさしこみ、表面の土とその下の土を、上下に入れ替えるように端から端まで荒く土を起こしてゆきます。
3.土の中にいた幼虫や、卵を発見しましたら、踏みつけるなどして殺処分します。(ポーンと放り投げずに必ず退治してくださいね)
寒おこしのポイント
寒おこしのポイントは、土を細かく耕したり、たい肥を混ぜる必要はありません。
粗く掘り返し、そのまま1か月以上置きます。
粗いカタマリのままにしておく理由は、凍結・解凍ををしたときに空気を含み、やわらかくなるからです。
なお、土の中にある根っこや、石、ゴミ、害虫は除去します。
ただし、ミミズがいた場合はのフンが土の肥料となるためそのままにしておきます。
※ わが家は、根っこは取り除かない場合が多いです。
・土の中の石、ゴミ、害虫、害虫のサナギは除去します。
・ミミズは取り除かずそのままで。
「寒おこし」と「天地がえし」の違いについて
「寒おこし」と「天地がえし」は、やり方が似ていますので、同じ作業のように思われがちですが、それぞれ意図が違います。
この章では「天地がえし」について、ご説明いたします。
「天地がえしの目的」作土と心土を入れ替えて連作障害を防ぎます
畑は、「作土」「心土」という二重構造になっています。(その下にも層は続いてゆきますが、ここでは2つの構造についてお話しします。)
作土と心土を入れ替えることを「天地がえし」と呼んでいます。
寒おこしとの大きな違いは、天地がえしは土を1mくらい深く掘るところです。
天地がえしは一般的に、野菜の連作障害の対策として、深く土を掘り起こして土を入れ替えることを目的としています。
作土(さくど)
耕土ともいう。土壌の表層にあって,耕耘によって攪拌され,下層に比し膨軟となっている部分。腐植や植物根に富み,植物根は養分や水分の大部分をこの層から吸収する
引用 コトバンク
同じ作土で野菜を作り続けてゆきますと、病害虫や、野菜によくない微生物の宝庫になりがちで、土に含まれる栄養素が不足したり偏ってきます。
心土(しんど)
作物栽培の立場からみた土層の呼び名で,耕作された部分 (作土) の下の層をいう。作土に比べ有機物の含量が低く,一般により緻密である。植物根は太い支持根は別として吸収根はほとんど存在しないかまたは少いが,養水分の貯蔵庫である
引用 コトバンク
心土は、作土から浸みてきた栄養素が蓄えられていて、病害虫や微生物はいませんが、酸素不足になっているため土壌的に良くありません。
それをひっくり返すことにより、作土をより深く作ります。
これにより野菜の根が伸びやすくなったり、土中の水はけが良くなったりしますので、連作障害の対策になります。
まとめ
※ 画像はバテる夫です
「寒おこしのやり方」「行う理由と目的」「天地がえしとの違い」について、ご紹介いたしました。
寒おこしを行った土には鳥たちがやってきて、害虫や雑草のタネを食べてくれるのだそうです。
先人の知恵は、素晴らしいですね。
寒い季節の畑仕事はとてもキツいですが、寒おこしを行って、次の野菜が元気に育つようがんばりましょう。
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