リーガル社製における「サドルオックスフォードシューズの手入れ方法」をお伝えしようと思う。
リーガル社製の「サドルオックスフォードシューズ」の手入れは、革靴と異なる。
君がもし、同じメンテナンスをしているならば、今すぐ止めておいたほうが良いかもしれない。
この靴は、正しい手入れを行えば、梅雨の時期でも履くことが出来るため雨靴が要らなくなるので、参考にしていただきたい。
普通の革靴とは異なる材質「リーガル社製のサドルオックスフォードシューズ」
「サドルオックスフォードシューズ」について、お話しよう。
靴のヒモ締めの部分の色と素材が、靴の先端や後ろの部分と異なったモチーフの靴のことを「サドルオックスフォードシューズ」という。
名前から想像できると思うが、この靴は19世紀末のイギリスが起源である。
また、馬の鞍に取り付ける「サドル」に模した、足の甲に馬の鞍状に独立したレザー(革)を、上から下にのせて、そこに鳩目(ヒモを通す丸い穴のことを言う)を付けた靴である。
そしてイギリスの靴は、後世アメリカへ渡った。
現在、我々が履いているリーガル社製の「サドルオックスフォードシューズ」は、まさにアメリカタイプである。
リーガル社製「サドルオックスフォードシューズ」が雨靴になる理由
リーガル社製の「サドルオックスフォードシューズ」は、純粋な動物の革でないところがポイントである。
この靴は、エナメルレザーと同じようにガラスコーティングされた「ガラスレザー」が使われている。
つまり、「本革の靴より 水に強く、水をはじく」のである。
また、ソール部分は硬質なゴムでできている。
私がこの靴が雨靴になると言ったのは、これ故だ。
それでは、どのような手入れをすれば良いのかを、次の章でお伝えしてゆこう。
リーガル社製「サドルオックスフォードシューズ」はパーツごとに異なるメンテナスを
前の章で、リーガル社製のオックスフォードシューズは通常の革靴と素材が異なるとお伝えした。
いよいよ手入れについて、話をしたいところだが、ここでもう1つの注意点がある。
それは、「靴の本体とソールの手入れ方法は全く異なる」ということも、覚えておいてほしいのだ。
手入れの方法が異なるということは、「用意する道具も異なる」ということである。
靴の本体と、ソールのそれぞれに必要なものと、手入れ方法は以下のとおりである。
リーガル社製「サドルオックスフォードシューズ」手入れ方法と道具について
ケアの順番は「ソール」から
手順として、ソールから手入れを始める。
普通の革靴は、上の本体から手入れを始めるが、リーガル社製のサドルオックスフォードシューズはソールから手入れをする。
要するに「荒仕事」から始めるのだ。
「ソール」の手入れに使う道具と方法
ソールの日常の手入れに必要な道具と方法
道具 | 手入れ方法 |
靴磨き用のブラシ・布 | 本体にブラシの毛が当たらないように、ソール側面をブラッシングする。硬質ゴムのため、ガシガシとブラシをかけて良い。ブラシOK、水拭きOK |
ブラシは、ゴムをブラッシングするので上等なものでなくてよい。
ソールの汚れが気になる場合に必要な道具と方法
道具 | 使い道 |
・靴磨き用のブラシ | 普段の手入れと同じもので良い |
・雑巾1枚 | ソールを拭くので、タオルや手ぬぐいなどで良い |
・シリコンスプレー | これを使うとゴムが長持ちする |
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ソールの汚れが気になる場合の手入れ方法
水で薄めた中性洗剤を雑巾に浸し、ソールの汚れを落としてゆく。
中性洗剤の量は ごく薄めに。2リッターに小さじ1杯程度で良いだろう。
① ソールの側面を乾いた雑巾で拭き、汚れを落とす。
② 靴底の汚れも、おなじ雑巾で汚れを落とす。
③ 使った雑巾をよく洗い、その雑巾で今度は水で薄めた中性洗剤でもう一度ソールの側面と靴底を拭いて汚れを落とす。
④ もう一度、雑巾をよく洗い、最後に付着した中性洗剤を落とす。
⑤ ソールの側面とソールの靴底にシリコンスプレーを吹きかける。本体に決して吹きかけないように気を付ける。
これでソールの手入れは終了だ。
「本体の手入れ」に使う道具と方法
前の章でも述べたように、本体の革は、ガラスコーティングされた「ガラスレザー」が使われているため、傷を付けないよう「やわらかい布」を使い、本体を拭いて手入れをしてゆく。
通常の革靴のようにブラシなどでゴシゴシこすると傷が付いてしまうので、気を付けてほしい。
パターン1 本体の日常の手入れ
本体の日常の手入れに必要な道具
・やわらかい布(大きめのメガネ拭き、ガーゼなど)
〇使ってよい布 | ×使ってはいけない布 |
・ガーゼ ・使い古しのやわらかい手ぬぐい ・大き目の眼鏡ふき ・ネルの生地 など |
・ゴワゴワした布 ・おろしたての手ぬぐい ・麻 ・タオル など |
本体の日常の手入れ方法(毎回履いたあと)
乾いたやわらかい布で汚れをやさしく拭く。
パターン2 汚れを感じ始めた時
本体の汚れを感じ始めた時に必要な道具
・やわらかい布(大きめの眼鏡ふき、ガーゼなど)
・泡の汚れ落とし
・無色の靴クリーム
・革靴用の防水スプレー
本体の汚れを感じてきた時の手入れ方法
① 靴ヒモを外す
② 乾いたやわらかい布で汚れをやさしく拭く。
③ 布に泡の汚れ落としを付けて全体の汚れをとる(布は②と別の面で拭く)
④ 布に無色の靴クリームを少量とり全体に薄くぬる(②と③と別の面でぬる)
⑤ 布で本体が光ってくるまで磨く。塗った靴クリームが落ちてくると光沢が出てくる。これを目安にすると良い。
⑤ 靴ヒモを取り付けて終了。
パターン3 著しい汚れの時
本体の汚れを感じ始めた時に必要なもの
・やわらかい布(大きめの眼鏡ふき、ガーゼなど)
・泡の汚れ落とし
・食器洗い洗剤または合成洗剤
・革靴用の防水スプレー
本体の汚れを感じ始めた時の手入れ方法
① 靴ヒモを取る。汚れ具合によっては中性洗剤で手洗いする。
② 乾いたやわらかい布で本体の汚れをやさしく拭く。
③ 布に水で薄めた中性洗剤をつけて、本体の汚れを落とす(布は②と別の面で拭く)
④ 洗剤を拭き取る。
⑤ 日陰で乾かせる。
⑥ 乾いたら布に無色の靴クリームをとって全体に薄くぬる(②~④と別の面でぬる)
⑦ 布で本体が光ってくるまで磨く。塗った靴クリームが落ちてくると光沢が出てくる。これを目安にすると良い。
⑧ 靴ヒモを取り付ける。
⑨ 防水スプレーを吹きかける。
本体部分に防水スプレーをかけると水を弾くうえ、汚れにくくなる。
なお防水スプレーを使う際、必ず屋外で、風下に向けて行うこと。
ドアを閉めた玄関等で防水スプレーを使うと成分を吸い込み重篤な空気呼吸困難におちいる症例が報告されているため、注意していただきたい。
[参考商品:泡の汚れ落とし]
[参考商品:防水スプレー]
[参考商品:無色の靴クリーム]
リーガル社製「サドルシューズ」の手入れにおける重要ポイント
上(本体)と下(ソール)は必ず隔離したメンテナンスを
本体の手入れに使用した成分はソールに付いても良いが、その反対はNGである。
つまり、ソールに吹きかけたシリコンスプレーは決して上に付いてはならないことを、覚えておいていただきたい。
なぜならシリコンスプレーは、革を劣化させる性質があるからだ。
慣れるまでにはテクニックを要するかもしれないが、サドルオックスフォードシューズを履く者として、身に付けていってほしい。
おすすめしたい手入れ用のブラシ
靴用の定番ブラシは、日本の老舗メーカー「コロンブス」であろう。
わたしが40年愛用しているものは、「コロンブス102」であるが、日本人の手にぴったりで持ちやすく、手入れがしやすい。
ゴム製の靴の側面と靴底の手入れに最適なので、この機会に1つ求めておいても良いかもしれない。
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長く履き続けるための「シューツリー」
ここまで読み進めてくれた君は、リーガル社製「サドルシューズの本体」は、あくまでもコーティングされたガラスの表面であり、革には全く栄養が行き渡らないことをお解りいただけたかと思う。
ガラスレザーは水に強く、輝きを保つというメリットがある反面、栄養不足により劣化は普通の革靴より早くなる。
そこで、長く履き続けるために、「劣化の時間をいかに遅くするか」が大事になってくる。
サドルシューズの劣化は、靴先のシワから始まるため、手入れの最中と、履いていない期間は、シューツリーを入れておくおくことをおすすめしたい。
シューツリーの役目は、型を整えるだけでなく、湿気を取り除く効果もあるため、劣化の進行を遅らせることが出来るだろう。
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まとめ
リーガル社製の「サドルオックスフォードシューズ」のメンテナンスは、普通の革靴と異なることをお解りいただけただろうか。
サドルオックスフォードシューズは、「本体の革の部分」と「靴底(ソール)」の手入れの方法が異なるため、慣れるまで手間だと感じるかもしれないが、じきに会得してゆくだろう。
手入れの行き届いたサドルオックスフォードシューズさえあれば、梅雨でもいける。
雨靴がいらなくなるだろう。
間違っても先の尖った靴や、餃子靴など履かずに、リーガル社製の「サドルオックスフォードシューズ」で、君が雨の街を闊歩することを願っている。