「バブーシュの汚れの落とし方、お手入れの方法」を、ご紹介いたします。
革製のバブーシュは、革靴と同様のあつかいになりますので、革製品全般のお手入れが可能になります。
今回ご紹介する方法は、一般家庭で行えるもので 特に難しさはないかと思いますので、参考になさってください。
※ わが家のバブーシュは9年物ゆえに、オンボロです。ビジュアル的に美しくない部分があるかと思いますが、ご容赦いただきたく存じます。
9年物のモロッコバブーシュ
恥を忍んで(?)わが家で9年履いているバブーシュをご紹介いたします。
結構 劣化していますでしょう(笑)。
9年も履いていますので、いたる所 擦り切れています。
いちじるしい劣化は「カカトの擦り切れ」です。
さすがに9年毎日履いていますので一番「重心」がかかるカカトに負担がかかります。
しかしながら、糸がほつれて穴が開いて足の指が出てしまったり、バブーシュの底がすり減って穴が開いてしまうという致命的なダメージはまだありません。
写真を撮って改めて凝視すると、縫い目の周りも擦り切れていますね。
キッチンでもバブーシュを履いて料理をしますので、足の甲に油と思われる「シミ」もあります。
閲覧注意ですね、ごめんなさい。
全体的にに白く見えるものはカビではなく、やはり「擦り切れ」です。
バブーシュの裏面は、もっとも床と触れ合うために摩擦でどうしても黒くなります。
また、ホコリや油などと融合し、このような恐ろしい色になってしまったわけです。
この章は、本題の「お手入れ」からそれてしまいましたが、まずは9年履いているバブーシュの実態を知っていただきました。
それでは次の章で「お手入れの方法」について、具体的にご紹介してまいります。
バブーシュのお手入れ方法
この章では「日常生活のお手入れ」と「気合を入れるお手入れ」の2パターンをご紹介いたします。
日常生活のお手入れ
ホコリや湿気を拭き取るだけで、皮製品は数年後に大きな違いが出てきます。
日常のお手入れは、「乾いたやわらかい布でなでる」ように、バブーシュの表面→内側→裏側を拭きます。
気合を入れるお手入れについて
季節の変わり目がおすすめ
気合を入れるお手入れは、どのタイミングで行ったら良いの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
毎日履いている方は「3~4か月に1度のペース」でお手入れされることをおすすめ致します。
春から夏、夏から秋、秋から冬と、お洋服を変える時期にバブーシュもお手入れしてあげると良いでしょう。
皮製品はお肌のお手入れと同じ
バブーシュのお手入れは、「汚れが気になる前におこなうことが望ましい」と考えます。
なぜなら、革製品は先手でケアをしてあげると「いつまでも美しく」いられるからです。
しかしながら、あまり過保護にしてしまっても革によろしくない。つまりバブーシュ(革製品)は、お肌と同じと考えて良いのかもしれません。
お手入れに使う道具について
わが家で使っている、バブーシュのお手入れに使う6つの道具です。
写真をご覧になると「こんなに要るの?」と、思われるかもしれませんがいずれも革製品のお手入れに大事なものなのです。
なお、この6つの道具を揃えておかれますと、バブーシュだけでなく、ほかの革製品のお手入れにも使うことが出来ます。
お手入れ道具6点
1.汚れてもよいやわらかい布
使い込んだ手ぬぐいは大変柔らかくなるので、バブーシュを拭く道具として最適です。
2.汚れ落としクリーム
普段のお手入れと違うのは、ここからです。
汚れ落としクリームを使って、拭いただけでは落ちないバブーシュの汚れを落とします。
お肌をクレンジングするイメージです。
3.皮革専用保湿クリーム
汚れ落としクリームで、カサカサになったバブーシュに保湿クリームを塗ってしっとりさせてあげます。
顔に乳液を付けるイメージですね。
4.くつずみ
今回の見本は茶色のバブーシュですので「茶色のくつずみ」を使います。
黒いバブーシュをお手入れされる場合は「黒のくつずみ」、ホワイトやその他の色の場合は「透明のくつずみ」を使います。
くつずみの用途は、顔にファンデーションを塗るイメージですね。
なお茶色のくつずみの種類はこげ茶や、薄いブラウンなどたくさんあります。
選ぶポイントはあまりこだわらなくても良いかと思います。なぜなら、どんなに濃い茶色のくつずみを塗っても、いずれは色落ちするからです。
くつずみを塗る回数が増えてゆくと、バブーシュが「いい味」に変わってゆきます。
5.ブラシ
バブーシュだけでなく、革靴のケアのマストアイテムがブラシです。
ブラッシングをしてあげるとホコリを落とし、バブーシュの傷みを軽減させます。
さらにブラッシングの役目は2つあります。くつずみの栄養分をバブーシュに浸透させること、もう1つは余計なくつずみを取り除くことです。
顔に付着した白粉をササっと拭き取るイメージです。
6.仕上げ用のやわらかい布
バブーシュに付着した余分なクリームを最終的に拭き取るために使います。
お手入れの手順
1.汚れ落としクリームで汚れを取ります
汚れてもよいやわらかい布に「汚れ落としクリーム」を1cmほど出します。
「汚れ落としクリーム」をやわらかい布になじませます。クリームを直接バブーシュに付けるとシミの原因になりますので気を付けて。
手をバブーシュの中に入れると拭きやすくなります。
バブーシュのつま先から拭いてゆきます。
やわらい布をバブーシュの内側に入れて拭きます。
内側の上、下、側面も拭きます。
バブーシュをひっくり返した写真です(底の表面)。
汚れ落としクリームは「一度だけ」付けるだけでなく、「つど」柔らかい布に付けて、拭いてゆきます。
2.皮革専用保湿クリームで拭きます
次に「皮革専用保湿クリーム」で、同じように拭いてゆきます。
使う布は、同じものでOKです。ただし、折り返して別の面で拭きます。
拭き方の手順は、汚れ落としクリームと同じです。
保湿クリームを布に1cmほど付けて、布になじませたあと、バブーシュに拭いてゆきます。
保湿クリームも「つど」やわらかい布に付けて薄くのばすように拭いてくださいね。
3.くつずみを塗ります
わが家のくつずみはこのようなチューブタイプですが、キャップを開けるとブラシが付いていて、バブーシュに直接塗ることができるものもあります。
くつずみも、使っていない面の布に出して拭いてゆきます。
夫が使っているくつずみは旧式なので、このように指にくつずみが付着してしまいますが、水で洗えば落ちます。
くつずみはいわゆる「お化粧」です。
色があせた箇所は特に念入りに塗ります。薄く重ね塗りをしてゆくのがムラにならないコツです。
4.30分乾かします
これで作業は半分以上終わりです。くつずみを塗り終わりましたら、30分ほど落ち着かせます。
写真のバブーシュをご覧になってみてください。
お手入れの前よりきれいになっているのがお分かりいただけますでしょうか。
5.ブラッシングします
つま先からブラッシングします。
ブラッシングの役目は2つで、くつずみの栄養分をバブーシュに浸透させること、もう1つは余計なくつずみを取り除くことです。
6.最終仕上げはやわらかい布で撫でます
これが最終仕上げです。
革靴用のやわらかい布で、なでるように余分なクリーム、ホコリを取り除きます。
7.シューツリーがあると便利です
お手入れが終わりましたら、シューツリーに入れますと、かたちが整います。
また、シューツリーは湿気を吸い取る働きもありますので便利です。
バブーシュのお手入れのポイント・コツ
お手入れ用に使う3つのクリームは、厚塗りしないように力を入れずに拭いてゆくのがポイントです。
バブーシュは動物の革から作られていますので、丈夫とは言えどもデリケートです。
わたしたちの顔と同じと思って優しく取り扱いましょうね。
なお、くつずみを塗ったことにより、バブーシュに色が付きました。靴下を履いてバブーシュを履くと色がうつる場合がありますので、気を付けてくださいね。
バブーシュに付いた汚れについて
結論を申し上げますと、「油汚れで付いたシミ」を落とすことは難しいです。
わが家は 台所でも履いていますので、油のシミは「避けられない道」でした。
もしこのようなシミを付けたくない方は、キッチンでお履きにならないほうが良いかもしれません。
なお、多少ではありますが、今回ご紹介したお手入れで、シミを目立たなくさせることは可能です。
こちらがお手入れ前の写真です。
こちらがくつずみを塗った後の写真です。
くつずみの効果で、若干ではありますが目立たなくさせることが出来ます。
こちらはくつずみを塗る前の擦り切れたカカトです。
くつずみを塗った結果が、下の写真です。
意外に色が修復されますでしょう?
劣化したバブーシュを再生することは困難ですが、素人のお手入れでも、これだけの結果を出すことが可能です。
バブーシュのお手入れにおすすめの道具
1.汚れてもよいやわらかい布
使い込んだ手ぬぐいは大変柔らかくなりますので、バブーシュを拭く道具として最適です。
また、着古した綿のTシャツでもOKです。
2.汚れ落としクリーム
汚れ落としクリームを使って、拭いただけでは落ちないバブーシュの汚れを落とします。
3.皮革専用保湿クリーム
汚れ落としクリームを使った後に、保湿クリームを塗ってしっとりさせてあげます。
4.くつずみ
バブーシュの色に合わせた「くつずみ」をお使いになってください。
くつずみを塗る回数が増えてゆきますと、バブーシュが「いい味」変化します。
「茶色のくつずみ」
「ブラックのくつずみ」
「白、赤などに使うくつずみ」
5.ブラシ
バブーシュだけでなく、革靴のケアのマストアイテムがブラシです。
ブラッシングはホコリを落とし、バブーシュの傷みを軽減させます。
さらにブラッシングの役目は2つあり、くつずみの栄養分をバブーシュに浸透させること、もう1つは余計なくつずみを取り除くことです。
ブラシは馬毛と豚毛がありますが、今回は仕上げに使うので「馬毛」が適しています。
馬毛は、毛が柔らかくて細いのが特徴で、ホコリ取りや仕上げのブラッシングに使います。
ちなみに「豚毛」は、かたくて鋭いのが特徴で、クリームを伸ばすのに適しています。
6.仕上げ用のやわらかい布
織り目が細かい「フランネルの生地」が最適です。
使い終わったフランネルの生地は洗って使い続けますと、生地がどんどんやわらかくなり、吸水性が増して、汚れや残ったクリームが拭き取りやすくなります。
同様に、パンストも使うことも出来ます。
シューツリーもオススメ
バブーシュにシューツリーを入れておきますと、形を整える役割と、湿気を吸収する役目を果たしてくれますので、1足分あると安心です。
バブーシュだけでなく、大切な革靴に使うことも出来ます。
バブーシュについてカジトラが考えること
この章は、お手入れと外れるお話になり、個人の見解です。
寿命と耐久性について
世間では、バブーシュの寿命は1年と言われているようですが、あまりにも短かすぎるように思います。
バブーシュの種類は、本革、合皮、モロッコ産、日本製、手縫い、大量生産などさまざまな種類がありますので、それらを同等に比較することは出来ないように思います。
わが家は、日本のネットショップで「モロッコ産の本革」のバブーシュを購入しましたが、9年履いて感じたことはやはり「本革」が耐久性にすぐれ、丈夫で長持ちするということです。
また、大切に扱うという定義についても難しいところですが、擦り切れると当然起こりうる経年劣化の事象は置いておき、9年以上履いていられるのは、「革の質が良く、縫製がしっかりしたバブーシュに出合えた」からだと思います。
したがいまして、バブーシュの寿命は1年とは言い切れないというのが、個人の見解です。
バブーシュのニオイ対策について
「バブーシュ」=「くさい」というイメージがあります。
わが家も初めて購入した際、これが世の中で言われているバブーシュのニオイなのねと思いました。
しかし、ニオイは必ず遠くなります。
じつは、バブーシュの独特なニオイは「本物のバブーシュの証(あかし)」なのだそうです。
バブーシュは独特の製法で「なめし」ます。(なめすとは革を柔らかくする製法です)
この「なめし」は化学薬品を使わないことが大きなポイントで、肌に優しく履き心地の良い革を作りだすのです。
とはいうものの、毎日の暮らしで使う履き物がクサくてクサくて履きたくても履けないわという方もいらっしゃると思います。
お手入れ方法とは少しずれますが、2つのニオイ対策をご紹介いたします。
対策1:日光に当てる
バブーシュを日光に30分~1時間ほど当ててニオイを遠くする方法があります。
ただし、バブーシュの革はとてもデリケートですからずっと放置はしないように1時間で引き上げてみてください。
これを数回繰り返しますと、何もしないで履いているよりニオイは遠くなります。
対策2:風にさらす
風にさらしてニオイを飛ばす方法もあります。
革はデリケートですので、洗濯ばさみなどで留めますとバブーシュに跡が残りますので(時間が経てばもとに戻ります)気を付けてくださいね。
なお家の中で扇風機、ファンなどに当ててニオイを飛ばす方法もありますが、家の中にニオイが充満するという可能性があります。
換気をして扇風機などに当ててみてください。
バブーシュの保管について
湿気が多い日本ならではの問題とも言えるのですが、バブーシュは革製品ゆえに「カビ」が付きやすいのが難点です。
バブーシュを履かない場合、保管をする場所は「靴箱」に入れる場合が多いと思います。
その場合、ときどき「下駄箱のとびらを開けて風を入れる」と良いでしょう。
わが家は、特に梅雨の間、出がけに下駄箱のとびらを開けて、帰宅したら扉を閉じるという方法をとっています。
2.通気性の良い「不織袋」や「綿の袋」に入れて保管をすること
(靴を購入した時に付いてくる袋が良いですね)
3.下駄箱の扉を開けて、風通しをよくする
4.シューツリーで湿気を取る
この1~4の方法を参考にしていただき、バブーシュをカビから守ってあげてくださいね。
まとめ
9年愛用しているバブーシュを使って、わが家のお手入れ方法をご紹介させていただきました。
ご覧になった方は、手がかかって面倒くさいと思われたかもしれませんが、この方法は皮製品全般のお手入れが可能になりますので、参考にしていただけましたら幸いです。
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