「鉄のフライパン」のお手入れ方法をご紹介いたします。
鉄のフライパンは「焦げ付きやすそう」「お手入れ(メンテナス)が面倒そう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、さほど難しいことはありません。
特別な手間をかけなくても一生使える調理道具になりますので、参考になさってくだださい。
・新品の鉄のフライパンを使うときにおこなう「空だき・油ならし」
・ふだんの料理で「焦付かない方法」
・料理のあとの簡単な「お手入れ」
・万が一「サビてしまった時の対策」
新品の「鉄のフライパン」最初に1回だけおこなうこと
新品の鉄のフライパンで、一番最初に行う作業を「油ならし」と言います。
① 鉄のフライパンに被膜(ひまく)をつくり、
② 金属の臭いや汚れを取り除くことです。
最近はユーザーの手間を考慮して、購入後すぐに使える鉄のフライパンも販売されているようですが、このページでは「一般的な油ならしの方法」をご紹介いたします。
新品の鉄のフライパンで最初に1回だけおこなう手順
① 最初だけ、やわらかいスポンジに中性洗剤を付けてきれいに洗います。水かお湯で洗剤をよく洗い流して水気をよく切ります。
② 油を塗り、中火で白い煙がでるまで熱し「空だき」します。これを2回おこないます。
③ つぎに、中火で白い煙がでるまで熱し、多めの油をひいて、大根の皮やキャベツの芯などのクズ野菜を入れます。火を弱火にし、フライパンの全体に(側面も)野菜がいきわたるように「じっくり」炒めます。
④ くず野菜を処分します。(ここで鉄のフライパンを中性洗剤などで、うっかり洗わないようにします!)油分が気になる場合は、お湯を張って5分ほど沸騰させた後お湯を捨て、キッチンペーパーなどで拭き取ります。
⑤ これで初回のみ行う「油ならし」は終わりです。このあと いよいよ調理ができます。
「鉄のフライパン」で食材を焦付かせないコツ
鉄のフライパン=焦げ付きやすい+こびり付きやすいイメージがありますね。
しかし、これからご紹介する方法で、あなたも鉄のフライパンをあやつる「達人」になることが出来るでしょう。
食材を焦付かせない・こびり付かせない最大のポイントは「十分に予熱する」ことです。
「十分に予熱する」とは一体どのような状態なの?と、疑問に思われるかもしれませんので、4つのポイントをご紹介いたします。
料理で焦付かせない4つのポイント
② 白いけむりがうっすら立ちはじめるのを待ちます(これ大事)
③ 油を入れます。
④ フライパンを水平にゆっくり回します(傾けないで水平です!)
この4つのプロセスが、十分に予熱することになります。
作業④の「フライパンを傾けずに水平にゆっくり回す」を行いますと、鉄のフライパンに熱がしっかり伝わります。
なぜなら、鉄のフライパンはフッ素加工のものより熱の伝わりにムラがあるため、クルクル傾けずに水平にゆっくり回して熱することで、均等に熱が伝わり食材がこびり付かなくなるからです。
空だきで高温にして油をなじませますと、焦付き・こびり付きがなくなります。
日常の「鉄のフライパン」のお手入れについて
調理のあとに行う日常のお手入れの手順をご紹介いたします。
② 水分をふきんで拭き取ります。
③ 綿の布などに食用油をたらし、鉄のフライパンの表と裏にうすく塗り、被膜(ひまく)を作ります。
① 水・お湯で洗います
亀の子だわし・ササラなどを使ってシャカシャカ洗います。
水でも汚れは落ちますが、お湯のほうが簡単に落ちますのでオススメです。
② 水分を拭き取ります
サビの防止のために、洗い終わりましたら ふきんで水分を拭き取ります。
③ 食用油で被膜(ひまく)を作ります
とくに使いはじめの頃は、油を塗りましょう。
鉄のフライパンに油を塗ることによって、浸透&なじんで「使いやすく=焦付きづらく」なってゆきます。
食用油の量は、24cmの鉄のフライパンに小さじ1杯程度です。
木綿の布にしみこませ、ササっと「表と裏」の両面にぬります。
キッチンペーパーでも構いませんが、種類によっては繊維がボロボロくずれてしまうことがありますので、木綿の布が無難かもしれません。
「鉄のフライパン」の乾かし方について
新しい鉄のフライパン
使い始めたばかりの鉄のフライパンは、火にかけて乾かし、食用油を塗られると良いでしょう。
なぜなら、「鉄を熱くして中に油をドンドンしみ込ませるため」です。
使い込んできた鉄のフライパン
使い込んできた鉄のフライパンは、皮膜が作られているため、ふきんで拭き取る程度でよくなります。
わが家のような12年も使い続けている鉄のフライパンになりますと、長い年月をかけ油がしみ込んでいますので、火にかけて乾かず、自然乾燥です。
「鉄のフライパン」に洗剤を使うことについて
鉄製品を洗うとき「洗剤を使ってはいけません」と、耳にされたことはないでしょうか。
昔、NHKの番組「ためしてガッテン」で、中華料理の達人が中華鍋を一般的にはタブーとされていることを放送していました。
・洗剤を使って洗い、
・乾かすこともなく、
・朝までその状態でふせておく
達人はなぜ、常識破りのようなことをしていたのでしょうか。
そもそも、鉄のフライパンを洗剤で洗ってはいけないとされている理由は、「被膜(ひまく=油の膜)が落ちてしまうから」です。
しかしながら、何十年も使っている鉄のフライパンや中華鍋は、ぶ厚い被膜が張られていますので、ちょっとやそっとの洗剤で皮膜が落ちてしまうようなヤワな代物ではなくなっているのです。
したがいまして、中華料理の達人は 洗剤を使っているのですね。
わが家で12年使っている鉄のフライパンは、丁寧なお手入れをしなくても、より使いやすくなっていることを実感しております。
(大きな声では言えませんが、非常にテキトーなお手入れで、ニンニクなどニオイが強いものや、油が多い料理の場合、洗剤をたくさん付けて洗っちゃっています。)
つまり、年季が入り厚い被膜が付いた鉄のフライパンは、洗剤を使ってもへこたれず、水分を丁寧に拭き取らなくても問題がなくなってくるのです。
「鉄のフライパン」のこびり付き対策は?
前の章で、鉄のフライパンを十分に予熱して調理をすると 焦付きづらくなりますとご紹介いたしましたが、こびり付かせてしまうこともあります(汗)。
忙しさを理由に熱する時間が足りなかったり、油を入れてからゆっくり回しませんと、今でもうまくいかないこともしばしばです・・・。
このような場合は、亀の子たわしや、ササラを使ってお湯で洗うと たちまちキレイになります。
ササラは、熱いお湯に触ることなく洗うことが出来ますので便利です。
サビてしまった「鉄のフライパン」を復活させる方法
鉄は「塩分」や「酸」に反応して、赤茶けたサビが出る場合がありますので、料理したものをフライパンに入れた状態で保存することは控えてくださいね。
この章では、サビてしまった時の対策をご紹介いたします。
水に濡らして金属タワシでこすります
鉄のフライパンを水に濡らし、金属製のタワシやSCOTCH BRITEなどの粗いタワシで表面のサビをゴシゴシ削ります。力強くこすってかまいません。
この作業で鉄のフライパンの表面に付着しているコーティングが削られますが、次の作業で被膜(ひまく)を作りますので 心配はありません。
換気扇を回します
強火で煙が出ますので、換気をして作業します。
油たっぷり強火にかけます
鉄のフライパンの中にたっぷり目の油を垂らして強火にかけます。白い煙がモクモクでてきますので、油がなくなるまであぶり、被膜を作ってゆきます。
布で拭き取れば復活します
余分な油を布などで拭き取ります。黒光りして光沢がでてくれば復活です。
白いモヤっとしたものはなに?
ときどき鉄のフライパンの表面に白いモヤっとしたものが現れることがあります。
これはサビではなく「地金(じがね)」が出ている状態です。この場合も、油を塗って加熱しますと白いモヤはなくなります。
「鉄のフライパン」の最大のメリットは料理が美味しいこと
鉄のフライパンのメリットはいろいろあります。
・つよい。壊れない。
・そのまま食卓で食器がわりとして使える。
・鉄分が微量に溶けだすので身体に良い。
なかでも鉄のフライパンを使う最大のメリットは、「食材の旨味を引き出す」。これに尽きるのではないでしょうか。
鉄という素材は、蓄熱性が非常にすぐれていますので、食材の「うま味」を存分に引き出します。
したがいまして、野菜の素焼きは甘く美味しくなり、ステーキなどの肉は香ばしくうま味が出ます。
そして、最後までアツアツの料理を美味しく食べられるのも、鉄のフライパンならではですね。
「鉄のフライパン」の重さ対策について
鉄のフライパンは重いのが難点ですが、このデメリットを上手に使う方法があります。
それは、ガスコンロに「置いて」、調理をすることです。
鉄のフライパンは熱の伝わり方がテフロン加工のものより鈍く、火から離さないほうが都合が良いため、レストランのシェフのように片手でブンブン振り回す芸当ができなくても十分に美味しくなります。
おすすめの鉄のフライパンのメーカー
アカオ
わが家が愛用しているメーカーで、重くないフライパンというコンセプトのもとに製作されています。
今年で12年になりましたが、時間が経過するごとに こびり付きがなくなり大変使いやすくなってきました。
価格は2千円程度でしたので、非常にリーズナブルな鉄のフライパンと言えるでしょう。
山田工業所
横浜中華街でもっとも使われている中華鍋が「山田工業所製」で、日本で唯一「打ち出し」という技術でつくられています。
「打ち出し」とは、フライパン1個に対し、巨大なハンマーで「3,000回、15分間たたくこと」をいいます。
鉄は叩けばたたくほ鍛えられ、プレス(型押し)したものより丈夫になります。
取っ手の接合部は今でも職人さんが手でたたいて本体に取り付けています。
山田工業所の秘儀「打ち出し」は肉眼では分かりませんが、フライパンの表面に微妙な凹凸ができて、美味しそうな焼き色が付くのだそうです。
まとめ:使い続けてゆくほど強く育つ「鉄のフライパン」
鉄のフライパン簡単お手入れ法「油ならし、焦付かない使い方・サビ対策」をご紹介いたしました。
わが家の鉄のフライパンは今年で12年ですが、時間が経つにつれて扱いやすくなってきた「手ごたえ」を感じています。
こびり付いたらお湯で洗い、ときどき油を塗ってあげるだけで使いやすいフライパンに育ってゆきますので、おためしになってみてください。
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