農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、里芋のコンパニオンプランツ栽培の裏ワザについてご案内いたします。
コンパニオンプランツ栽培は、複数の野菜を育てるイメージがありますが、今回は、里芋の前作に「ムギ」を育てておく方法をご紹介いたします。
秋冬の空いた畝にムギの種をまいて育てておき、翌春に里芋を栽培する方法は江戸時代から行われていた伝承農法で、普通に育てる里芋より早採りが可能になると言われていますので、参考になさってください。
裏ワザ!里芋のコンパニオンプランツ栽培|秋冬の空いたウネを有効利用
ムギの裏作
農学博士の木嶋利男先生によりますと、昔の農家さんにとって、ムギは晩秋から春に育てられる貴重な裏作の作物でした。
ムギの収穫は5月~6月頃ですが、その後に育てられる野菜の種類が限られてしまうため、昔の農家さんは ムギを収穫する前に「条間」で春夏野菜を育てるさまざまな策を考案していたと言われています。
里芋の前作にムギを栽培
里芋の前作にムギを育てる方法は、江戸時代から行われていたようです。
里芋を植ゆる畑に、前作として麦を作るなら、
麦の畝をつくるときに、里芋を植ゆることも考えるべし。
里芋の種芋を植ゆるのは三月のことで、麦の中に穴をあけ、
種芋を一つずつ入れて土を覆う。引用 元禄10年 宮崎安貞「農業全書」(木嶋利男著「野菜づくりの知恵とワザ」)
前作にムギを育てると良い理由
里芋の前作にムギを育てておきますと、次の効果があります。
1.ムギが遅霜よけ・寒風よけになり、里芋を早く植えることができます。
2.ムギをすみかにする益虫がやってきて、害虫を捕食します。
3.刈り込んだムギを草マルチにすることが出来ます。
4.土がふかふかになります。
1.遅霜・寒風よけになるムギ
ムギが遅霜や寒風よけになりますので、里芋を早く植えつけることができ、早く発芽した里芋は、普通の栽培より早採りが可能になります。
2.ムギをすみかにする益虫がやってきます
ムギは、バンカープランツ(おとり作物)といって、里芋に付く害虫の身代わりとなる役目があります。
害虫を捕食する益虫(クモ・テントウムシなど)は、ムギをすみかにします。
3.草マルチになるムギ
麦は、出穂する前の4月下旬頃に、10cmほどの高さで刈り込みますと、ふたたび葉が伸び、夏の終わりまで地表を覆い、ウネを保湿します。
また、刈り込んだムギを草マルチにすることが出来ます。
4.土の質が上がる効果
ムギは根張りが強く、根によって土が耕されます。
また、根が枯れたムギは良質の有機物をすき込んだのと同じ効果があり、ふかふかになります。
ムギの種をまく方法と、里芋の植え付け
1.ムギの種まき
種まきに適した時期 | 一般地で10月中旬~11月下旬 |
条間 | 70~80cm |
ウネの高さ | 10cm |
ムギの種類 | コムギ、オオムギ、ライムギなど |
2.麦踏み
ムギの葉が3枚以上になりましたら、麦踏みします。
1か月ごとに、2月まで行います。
麦踏みの効果は、霜による根の浮き上がりを防ぐことができ、分げつもよくなります。
3.里芋の植え付け
ムギとムギの間(中央)に植え穴を掘り、種芋を植え付けます。
一般地では、通常より10~20日程度早い4月上旬頃に植えつけることができます。
4.ムギの刈り取り
里芋の芽が15cmほどまで生長しましたら、ムギを刈り取り、草マルチ等に使います。
ムギを刈り取ったことで、日当たりがよくなりますので、里芋の生育がよくなります。
5.ムギを収穫する場合
ムギを収穫する場合、一般地で オオムギは5月下旬、コムギは6月上旬頃が適しています。
※ わが家はエンバクを使っています。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、里芋とムギのコンパニオンプランツ栽培の裏ワザについてご案内いたしました。
この栽培は、里芋の前作にムギを育てておく方法で、一般的なコンパニオンプランツ栽培と異なりますが、江戸時代から行われていた伝承農法です。
ムギは、益虫を畑に呼び込み、里芋の生育を助け、土をふかふかにする効果があるコンパニオンプランツです。
普通に育てる里芋より早採りが可能になるといわれていますので、参考になさってください。。
[参考文献]
木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」
[オオムギの種]
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