さつまいも苗の植え付ける前の準備について、ご紹介いたします。
さつまいもの苗を購入する際、どのような苗を選べば良いか 悩まれたことはないでしょうか。
今回は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「サツマイモの苗の選び方」「根を活着させる裏ワザ」「病気対策」「水平植えおよび垂直植え」についてご案内いたしますので、参考になさってください。
さつまいも苗の選び方
さつまいもは「しおれた苗」を選びましょう
農学博士の木嶋利男先生は、さつまいもの苗は しおれたものを選びましょうと紹介されています。
野菜の苗は 一般的に 青々したみずみずしいものを選びますが、さつまいもの苗に関しては、しおれているほうが良いのだそうです。
さつまいもの苗がしおれているほうが良い理由
さつまいもは、切り苗をウネに挿して育てます。
木嶋先生によりますと、苗の植え付け時が病気の感染リスクが最も高く、健康な苗でも病原菌は切り口から侵入して病気を引き起こします。
さつまいもの苗は 切ってから1週間前後で病原菌に感染しづらくなりますので、それ以降にたとえ感染しても発病しなくなるのだそうです。
乾燥気味のさつまいも苗がGOOD!
さつまいもの苗の切り口を乾燥させて植え付けますと、発根が早くなり、さつまいもは健全に生長します。
反対に、ピーンとした状態の苗を植えたり、植え付ける直前まで水に挿しておきますと、つる割れ病にかかりやすくなるのだそうです。
さつまいも苗「植え付け前の準備」
植え付け前の発根処理(その1)
さつまいもの苗を植え付ける1週間~10日前に行う準備をご紹介いたします。
この方法は、当方が日頃 参考にさせていただいている「ヒゲおやじさんのブログ」に掲載されているもので、さつまいもの苗を植え付ける前に発根させます。
やり方は、さつまいもの苗を段ボールに入れて新聞紙で上と下を包み、水をかけて1週間から10日ほど 日かげにおきます。
新聞紙が乾燥してきましたら、時々 上から水をかけます。
段ボールのフタをして、日かげ(玄関)に5日ほど置いておきました。
1日に1回ほど、軽く水をかけてそのまま放置します。
5日でたくさん根が出ました。すごい生命力ですね。
植え付け前の発根処理(その2)
2022年は、自然農法家の山岡亨さんが紹介されている、サツマイモの発根処理を行っております。
ひげおやじさんの方法と ほとんど同じですが、より発根を促すテクニックを紹介されていましたので、ご案内いたします。
水を通すカゴを用意します。
カゴの上に、新聞紙を数枚敷きます。
水をかけて、新聞紙を湿らせます。
挿し穂を並べてゆきます。
自然農法家の山岡さんの方法は、湿った新聞紙の上に1本ずつ挿し穂を重ならないように置いてゆきます。
このとき、根が出る節を新聞紙に密着させるように置いてゆくのがポイントです。
すでに、根が出始めています。
1本ずつ並べた挿し穂の上に、新聞紙を敷きます。
水をかけます。
まだ挿し穂がある場合は、この上に同じように1本ずつ並べてゆきます。
挿し穂を2段(2層)並べました。
最後に 新聞紙を敷いて、水をかけます。
わが家は、ジョウロの”はす口”を取っておりますが、あなたがなさる際は、はす口を付けてシャワーのようにかけたほうが新聞紙が破けなくてよいと思います。
不精をして、ジョウロのはす口を取ったまま水をかけたため、大量の水を注いでしまい、余分な水は流しました。
サボテンの花が咲いたので、一緒に撮ってみました。
挿し穂を日陰に置いて、発根を待ちます。
新聞紙が乾燥したら、水をかけます。
毎日、新聞紙をめくって、チェックしてみます。
※山岡さんの方法は、挿し穂に新聞紙をかけず、日陰に置いて、毎日水を注がれています。
根出しから9日経ちました。
白い根が出ました。
上手な方は、3~4日程度で根が出るようですが、当方は9日かかりました。
ジョウロで水やりする時、豪快にバシャバシャかけると良いかもしれません。
この9日間で、葉が壊滅的にしおれ、光合成が出来る状態ではなくなりました。
しかしながら、この小さな葉がガンバッテ大きくなろうとするのだそうです(不安ですが)。
挿し穂を植え付けて、2週間経ちました。
今年は梅雨のさなかに植えつけました。そのため、ウネが程よく湿っていましたので、無事に活着したようです。
植え付け後、新しい葉が出たら活着したサインです。
昔農家さんの裏ワザ「活着のよい挿し穂づくり」
木嶋先生の著書で、昔農家さんの裏ワザ「活着がよくなる挿し穂づくり」が紹介されています。
市販のサツマイモの挿し穂は 長さが30~40cmほどで、つるの先端7~8節を切ったものが多いのですが、木嶋先生によりますと、先端は細胞分裂が盛んである反面、乾燥に弱く枯れやすい性質があるのだそうです。
一方で、株元に近い部分のツルはかたく、乾燥に強い反面、生育が鈍く、植え付けた後の活着が遅くなりわき芽の伸びも悪くなります。
そこで先端と株元をカットして、中間の充実した部分の4節を使いますと、活着が早く、わき芽も良く伸びますので収穫量が増えます。
さつまいもの病気対策
木嶋先生がおすすめされているさつまいもの病気対策は、ウネの周囲にエンバクやコムギなどをまいておく方法です。
エンバクやコムギは土壌微生物が多様化して病原菌密度が下がるため、病気防除効果が得られます。
引用 農薬に頼らない病害虫対策
さつまいもの苗「植え付け方法」
さつまいもの苗の植え方は、斜め植え、水平植え、船底植え、垂直植え などがありますが、わが家は「水平植え」「垂直植え」を行っています。
水平植え(2020年)
植え付ける土の深さは6~7cm
マルチをカッターナイフで切って土を6~7cmほど掘り、根っこを下に向けて植え付けます。
根っこを下に向けて植穴に置きます
根元を押さえて土を覆います
根元をしっかり押さえて土をかけます。
葉っぱは埋めないで
葉っぱは土の上に出して植え付けるのがポイントです。
水やりについて
さつまいもの苗を植え付けたあと、マルチの中の土がしっとりしている場合は水やりは行いません。
さつまいもは、基本的に水が要らない植物のため、苗を植え付けた時に十分に水をあたえておけば、よほどのことがない限り水やりは必要ありません。
さつまいもの苗を植え付けて40日ほど経ちました。
コンパニオンプランツと一緒に育てていますのでワサワサしています。
しなびたツルを植え付けて本当に育つかしらと心配していましたが、順調に大きくなっています。
垂直植え(2021年)
わが家は広くない畑で野菜を栽培しておりますので、2021年は狭い株間(約30cm)で植えられる垂直植えにいたしました。
支柱をブサっと挿し、
挿し穂を垂直に植え付けました。
水平植えなどより収量は少なくなるようですが、丸々した甘いイモが採れるようですので、楽しみにしています。
垂直植えと斜め植え(2022年)
垂直植え
斜め植え
今年は「垂直植え」と「斜め植え」にしてみました。
垂直植え(2024年)
2024年は垂直植えにしてみました。
さつまいものコンパニオンプランツ栽培
2020年から さつまいものコンパニオンプランツ栽培を行っております。
栽培レポートを別のページにてご紹介しておりますので、「関連記事」を参考になさってください。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている さつまいも苗の植え付け前の準備についてご案内いたしました。
🌱 苗の選び方
しおれて乾燥した苗を選びましょう。植え付け前に湿らせた新聞紙を包み発根させるのがコツです。
🌱 病気対策
ウネのまわりにエンバクやコムギをまいておきますと、病原菌の密度が下がります。
[参考文献]
[関連記事_さつまいものコンパニオンプランツ栽培]
美味しく育つ!サツマイモとコンパニオンプランツで害虫よけと生長促進!
[参考サイト]
ヒゲおやじの気まま流野菜づくり日記「失敗しないサツマイモの植え付け!」
[自然農法家 山岡亨さんの動画]