農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、サツマイモ栽培のポイントについて、ご案内いたします。
つる返しをする理由、肥料が要らない理由、コンパニオンプランツ栽培などについて、盛りだくさんな情報をお届けいたします。
サツマイモ栽培のポイント
サツマイモの原産地
※ 画像はイメージです
サツマイモの原産地はメキシコの砂漠周辺で、原種は乾燥した荒れ地や砂丘のような養分の乏しい場所に生息しているツル性の植物です。
サツマイモの花
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サツマイモはヒルガオ科で、朝顔に似た花が咲きます。
サツマイモの伝来
サツマイモは、16世紀にコロンブスがヨーロッパに持ち帰り、その後、東南アジア、アジア大陸へと渡り、日本へは16~17世紀にかけて宮古島に入ってきました。
その後、沖縄や鹿児島に入り、各地に広がってゆきました。
とくに鹿児島では、温暖で水はけの良い火山灰を含んだシラス土壌であったこともあり、サツマイモの栽培が盛んにおこなわれ、現在でも日本一の生産量を誇っています。
サツマイモの栽培ポイント
サツマイモ栽培に適した場所選び
農学博士の木嶋利男先生は、サツマイモに限らず、野菜は原産地に似た環境で栽培すると、育ちやすいと述べられています。
サツマイモの原種は乾燥した養分の少ない土壌で育つ植物ですので、家庭菜園の場合は、もっとも乾いている場所で栽培するのがおすすめです。
連作が可能なサツマイモ栽培
サツマイモは連作栽培ができますので、もっとも乾燥した場所で毎年作り続けてゆきますと、年々 品質の良いイモを収穫することが出来るようになります。
サツマイモ栽培が堆肥も肥料も要らない理由
木嶋先生によりますと、サツマイモは もともと砂丘に生えていた植物ですので、低い栄養状態に強い性質をもっています。
サツマイモの組織の内部には、窒素を固定する「アゾスピリラム」という菌が共生しており、それは葉に多く生息して空気中の窒素を固定しています。
つまり、サツマイモは自ら養分をつくり出しているのです。
この能力は、マメ科のレンゲ並みとも言われており、痩せた土地でもサツマイモがよく育つのは、こういった理由によるものなのです。
以上の理由から、栽培する前に畑に肥料(窒素分)を施しますと、サツマイモは「つるぼけ」という現象になり、葉だけが茂ってイモが大きくならなくなります。
ウネの幅や高さの目安
砂質の畑 | 高さ10cm |
壌土の畑 | 高さ15cm |
粘土質の畑 | 高さ20cm |
通気性の悪い土で栽培する工夫
苗は南に向けて植えつけます。
通気性の悪い土の場合は、長い苗を用いて水平植えにしてみます。
木嶋先生によりますと、水平植えは、根を浅いところに伸ばしてゆきますので、垂直植えより結果がよくなると思います。
雨が多い年の対策
雨が多いと予想される年は、サツマイモの畝の周囲の通路を一段掘り下げておきますと、畝から水が抜け、乾燥気味の状態を保つことが出来ます。
サツマイモのつる返しをする理由
伸びたサツマイモのつるは、節から根を出して地面に根付きます。
畑に窒素分(肥料)があると、サツマイモはツルをどこまでも伸ばしてゆき、イモが肥大しなくなります。
そこで行うのが「つる返し」です。
つる返しをする理由は、つるの栄養分をイモに入れるために行います。
つる返しをするタイミング(時期)
木嶋先生によりますと、サツマイモのつるの栄養分がイモに入ってゆくのは1か月くらいかかると考えます。
サツマイモのつる返しは、収穫時期の約2か月前に行うと、覚えておかれるとよいでしょう。
収穫予定の月 | つる返しをする月 |
10月 | 8月 |
11月 | 9月 |
収穫の一週間前につるを切る
サツマイモを収穫する一週間ほど前に、つるを株元からカットしますと、イモに甘味が流転します。
サツマイモのコンパニオンプランツ栽培
栽培する畑の栄養状況で、コンパニオンプランツを変える方法もあります。
マメ科植物
初めて作物をつくるよう痩せた畑で栽培する場合は、窒素を固定する能力があるマメ科のササゲやエダマメをコンパニオンプランツにして栽培するのがおすすめです。
ムギ類
畝の端や、通路部分にエンバクなどの麦類を育てる方法もあります。
麦は本来、晩秋に種をまきますが、サツマイモの苗を植えるタイミングにまきます。
麦は、吸水性に優れますので、畝の湿害を抑える効果があります。
赤ジソ
赤ジソは、養分を吸う能力がありますので、ツルボケの心配がなくなります。
また赤ジソは、コガネムシやイモムシを忌避する効果があります。
なお、靑シソは害虫が寄り付きやすくなりますので、コンパニオンプランツには赤ジソがおすすめです。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、サツマイモ栽培のポイントについて、ご案内いたしました。
木嶋先生は、サツマイモの原産地のような環境に近づけて栽培しますと、おのずとよく育つようになりますと紹介されていますので、ご参考にしていただければ幸いです。
[参考文献]