農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「ジャガイモの逆さ植え」をご紹介いたします。
木嶋先生によりますと、種ジャガイモを半分に切って切り口を上に向けて植え付けますと、強い芽が残って丈夫な茎がよく伸びるのだそうです。
今回は、ジャガイモの逆さ植えの栽培方法、逆さに植えにすることによってもたらされる嬉しい3つの効果をご案内いたしますので、参考になさってください。
昔農家さんの伝承農法、ジャガイモの性質を活かした「逆さ植え」
ご存知かと思いますが、私たちが食しているジャガイモは、根っこが大きくなったものではなく「茎」です。
ジャガイモは地下の茎の部分からストロンと呼ばれる細い管が伸びて、その先が肥大してイモになります。
種イモから伸びた茎の株元に新しいイモが付きますので、一般的な植え方は10cmほどの溝を作り、種イモを置いて植え付けます。
種イモを浅く植えてしまいますとイモが地表に出てしまい、緑化(毒素が出る)することがありますので、数回の土寄せが必要になります。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、ジャガイモは茎ですので、浅く植えることにより、よく育つ性質があるのだそうです。
そこで昔農家さんがジャガイモの特徴を活かして行ってこられた方法が「逆さ植え」です。
嬉しい3つの効果「ジャガイモの逆さ植え」
効果1「元気に育ち収量がアップ!」
半分にカットした種イモを逆さに置きますと、浅めに植えた場合でも種イモの下側から発芽して地下部の茎が十分長くなり旺盛に育ち、収量がアップします。
一般的な植え方より芽が地上に出てくるのが遅くなりますが、ぐんぐん生長しますので、次第に追いついて最終的にはひとまわり大きなイモに生長します。
効果2「病害虫に強くなります」
逆さに植えた種イモは、芽がイモの下側から伸びます。
これが適度なストレスになって、病害虫や環境の変化に対する抵抗力が高まります。
効果3「芽かきをしないで栽培できます」
土寄せは3回ほど必要になりますが、強い芽だけが残りますので、芽かきの必要がありません。
ジャガイモの逆さ植えの方法
土づくり
『痩せた畑』
種イモを植え付ける2~3週間前に、たい肥・ボカシ肥を施してよく耕しておきます。
『肥えた畑』
施肥は不要です。
ウネづくり(ウネ幅50cm)
幅50cm、高さ10cmのウネを立てます。
種イモの株間は30cm、溝の深さは5cmです。
種イモの準備
ヘソの部分を切り落とします
ヘソは、もともと親の株とつながっていたところです。ここから芽の生長を抑えるホルモンが出ていますが、切り落とすことによって植え付けた後の発芽、生長が促進します。
種イモを半分にカットします
木嶋先生によりますと、1個あたり40~60gの種イモが植え付けに適しています。
切り口をよく乾かします
一昼夜、明るい日陰で切り口をよく乾かします。
もしくは、切った直後に草木灰をつけてから植え付けても構いません。
種イモの植えつけ
深さは5cmの溝に、種イモの切り口を上にして植え付けて、覆土します。
土寄せ3回、芽かきは不要
ジャガイモの逆さ植えは、つねに浅く植えられている状態のほうが旺盛に育ちます。
土寄せは3回程度おこない、1回ごとにイモが隠れる程度の少なめに土を寄せます。
まとめ
昔農家さんが行ってこられた、ジャガイモの逆さ植えについてご紹介いたしました。
この方法は、浅く植えたほうが旺盛に育つジャガイモの特徴を活かした栽培ですので、参考になさってくださいね。
🥔 強く丈夫な芽がよく伸びますので、収量がアップします
🥔 病害虫に強くなります
🥔 芽かきが不要になります
[参考文献]
[関連記事:ジャガイモの逆さ植えの応用編]