前回に続き、農学博士の木嶋利男先生が紹介されているジャガイモの逆さ植えについてご案内いたします。
今回は、逆さ植えの応用編である「ゴロゴロ植え」です。
わが家は、今年この方法を試してみた結果、1株あたりの収量が予想以上で、大変驚いています。
ジャガイモのゴロゴロ植えは、種イモを土に埋めずにマルチを敷いて育て、芽かきと土寄せを行わない非常にお手軽な栽培法ですので、参考になさってください。
逆さ植えの応用編|ジャガイモのゴロゴロ植え|芽かきと土寄せをしない栽培法
ジャガイモの「逆さ植え」の応用編
ジャガイモの逆さ植えは昔農家さんの伝承農法で、通常の植えつけ(10cm)よりも浅めに(5cm)半分に切った種イモを育てる方法です。
木嶋先生によりますと、逆さ植えは 浅めに植えることで、よく生長する茎(=ジャガイモのこと)の特性を最大限に活かした栽培方法です。
ジャガイモのゴロゴロ植えの4つの効果
効果1「逆さ植えよりよく育ち収量が増えます」
ジャガイモのゴロゴロ植えは、畝に黒マルチを覆って栽培しますので、地温が上がり生長が早くなます。
その分 株が大きくなりますので、その結果 収量がアップすると言われています。
効果2「病気にかかりづらくなります」
新しいイモは畝の表面や非常に浅い場所にできますので、土との接触が最小限にとどまります。
そのため、「そうか病」などの土を介して感染する病気が格段に少なくなります。
効果3「芽かき・土寄せが不要になります」
ジャガイモの芽が出てきますと、黒マルチを持ち上げます。
マルチに小さな穴を開け、芽を外へ出して栽培しますので、芽かきの手間を省力することができます。
大きくなったイモは黒マルチの下にでき 緑化の心配がありませんので、土寄せの作業が不要になります。
効果4「収穫がお手軽になります」
ジャガイモの逆さ植えの収獲はお手軽です。
黒マルチを剥がしますと大きくなったイモが転がっていますので、それを拾い集めるだけです。
地下にもぐっているイモも手探りで十分に収穫することが出来ますので、スコップ等の道具を使わずに収穫することができます。
ジャガイモのゴロゴロ植え栽培方法
ジャガイモのゴロゴロ植えは、土づくりと種イモの準備までは「逆さ植え」と同じ要領になります。
逆さ植えの記事と重複している部分がありますので、ご了承ください。
土づくり
『痩せた畑』
種イモを植え付ける2~3週間前に、たい肥・ボカシ肥を施してよく耕しておきます。
『肥えた畑』
施肥は不要です。
ウネづくり(ウネ幅50cm)
幅50cm、高さ10cmのウネを立てます。この時、溝は掘らずに平らのままにします。
種イモの株間は30cm、溝の深さは5cmです。
種イモの準備
ヘソの部分を切り落とします
ヘソは、もともと親の株とつながっていたところです。
ここから芽の生長を抑えるホルモンが出ていますが、切り落とすことによって植え付けた後の発芽、生長が促進します。
種イモを半分にカットします
木嶋先生によりますと、1個あたり40~60gの種イモが植え付けに適しています。
切り口をよく乾かします
一昼夜、明るい日陰で切り口をよく乾かします。
もしくは、切った直後に草木灰をつけてから植え付ける方法でもOKです。
ウネに種イモを置きます
種イモは切り口を上に向け、株間30cmでウネの表面に置きます。
溝は掘らずにウネの表面にギュっと押し付け、土と種イモを密着させるのがコツです。
なお、先にマルチを敷いて、カッターなどで小さな穴を開けて種イモを置いても構いません。
マルチを張ります
黒マルチでウネの全体を覆います。
ジャガイモの発芽
ジャガイモの芽が出てきますとマルチを押し上げてきますので、出来るだけ小さな穴を空けて芽を外に出します。
大きな穴はイモが緑化しますので、極力小さめの穴にします。
収穫
ジャガイモのゴロゴロ植えは、芽かきと土寄せをする必要がありません。
葉が黄色く枯れてきましたらマルチを剥がして収穫します。
イモはウネの表面にできていますので、拾い集めるだけですのでお手軽です。
収穫間近になりますとジャガイモが大きくなり、黒マルチがこんもりと持ち上がってきます。
マルチをめくると、ジャガイモが見えます。
イモを拾い集めるだけのお手軽な収穫です。
1株でこれだけ採れました♡
2022年春レポート
2022年1月
1月の中旬に、ホームセンターで種イモを購入してきました。
今年は、インカのめざめ、でじま、キタアカリを各1kg求めました。
これから約1か月、室内の木漏れ日があたるところで、芽出しをします。
日頃、YouTubeで勉強させていただいている 自然農法家 高内実さんによりますと、芽が出るくぼみに霧吹きしますと、発芽が促進するのだそうです。
🥔 毎日行うとよいそうです(わが家はほとんど行わず・・・)
🥔 水にドボンと浸けてはいけません
2022年2月の終わり
梅の花が咲き始めました。
いよいよジャガイモの植え付ける時期がやってきました!
種イモを植え付ける4日前に、大きなイモをカットして切断部を乾燥させました。
農学博士の木嶋先生によりますと、種イモは40~60グラムが最適なのだそうです。
2022年3月
カットした種イモの表面が乾きました。
いよいよ畑に植えてゆきます。
なお、カットしたイモを直ちに植えたい場合は、切った部分に草木灰を付けると雑菌が付かず、傷まなくなるのだそうです。
耕しもせず、ウネに置いてゆきます。
この時、ジャガイモの切り口を「上」にして置くのがポイントです。
芽が取れないように気を付けながら、土に密着するように、種イモをギュっと押し込みます。
ジャガイモはやせた土でも育ちますので、基本的に 元肥は要らないようですが、今回は種イモの間に、ボカシ肥を置いておきました。
黒マルチをかけて、完成です。
ジャガイモの芽が 黒マルチを押し上げてきましたら、小さな穴を空けて芽を外に出します。
ちなみに、上の写真で黒マルチがボコボコしているのは、前作のブロッコリーの切り株です。
わが家は悪い見本ですので(笑)、種イモの植え付け前は マルチが破けないよう、ウネを平らにしておかれると良いと思います。
2022年4月
2022年4月8日
芽が出た画像を撮り忘れ続けております・・・。
後日、更新いたします。
わが家が初めて目にしたものをご覧に入れたいと思います。
益虫とばかり思っていたダンゴムシが、種イモを食害しており、びっくりしました。
LOVEGREENさんのサイトによりますと、ダンゴムシは 普段は枯れた葉を食べ、フンが土の肥料になるのでミミズと同じ益虫の扱いをされていますが、花芽や出たばかりの新芽を一晩で食い尽くすこともあるのだそうです。
ダンゴムシは、暗くジメジメした場所を好むようですので、マルチの中はまさにダンゴムシのすみかになってしまっているのだと思います。
2022年4月18日
種イモを植え付けて、一か月以上経ちました。
上の画像をご覧になって、あまり芽が出ていないと思われた方もいらっしゃるかと思います。
これは、種イモの芽が地表と反対側に向いているため(切り口を上にしているため)、発芽に時間がかかっているのです。
そのため、普通栽培の種イモより発芽にかかる時間が遅く、そして芽の数も少なくなります。
しかしながら、発芽した芽は選び抜かれたものが出てきますので、その分 健強な株になります。
2022年4月25日
暖かい日が続きましたので、たった一週間で勢いよく芽が出ました。
4月18日の画像と比べますと、その生長の早さがおわかりいただけるかと思います。
今のところ、病気の予兆もなく、元気な株に育っているようです。
逆さ植えにしますと、強い芽が数本しか出てきませんので、芽かきを省略することが出来ます。
また、マルチで覆っていますので、土寄せの必要もありません。
2022年5月
2022年5月6日
5月になりました。
ジャガイモの葉がとても美しく、見とれてしまいます。
今のところ病気の気配もありませんので、このまま無事に生長してほしいです。
2022年5月28日
5月も終わりです。
ジャガイモのウネの様子です。
インカのめざめという品種が、モザイク病らしき病気にかかりました。
原因は、アブラムシなどの害虫が 葉や茎を吸汁し、病気に感染したのかもしれません。
インカのめざめは、昨年の秋にも、葉に斑点がでる病気になったので、次回から近くにムギ類を育てて対策しようと思います。
こちらもインカのめざめですが、健康そうです。
ジャガイモの実が成っているのを発見しました。
トマトに似ていますね。
これを見ると、ジャガイモがナス科であることが分かります。
2022年6月
2022年6月10日
6月になり、ジャガイモの葉が黄色くなってきました。
去年や一昨年は、このくらいで収穫をしておりましたが、葉が枯れるまでもう少しおいておこうと思います。
同じ畑で、普通の栽培をされている方々は、すっかり収穫を終わらせていますが、ゴロゴロ植えは、葉が枯れるまで熟成させてから収穫すると良いそうです。
2022年6月
2022年6月18日
6月中旬の晴れの日に、収穫いたしました。
5月までは旺盛に育っていたものの、途中から葉の生育に勢いがなくなったため、あまりイモにならなかったような雰囲気です。。。
黒マルチをまくってみますね。
なかなかいいイモがなっていました。
すべてマルチを剥ぎ取ります。
ゴロゴロ植えは2年目ですが、この景色は圧巻です。
ご覧のようにイモが地表になりますので、掘り起こす作業を省略することができます。
小さいイモを含めますと、1株に10個くらいイモがなりました。
マルチの穴の付近のイモです。
太陽の光に当たっていたため、緑化してしまいました。
このように緑色になったイモは、食中毒などになる場合がありますので、食べないようにします。
次作の課題は、マルチの穴を土でふさいで、遮光することです。
種イモも出てきました。
腐っていない場合は、これをまた種イモとして利用される方もいらっしゃるようですので、わが家も捨てずに秋ジャガイモ用にとっておこうと思います。
品種によって、収量の差が出ました。
左から、インカのめざめ、でじま、キタアカリです。
大小さまざまなイモになりましたが、半分に切った種イモからこれだけの量を収穫することができたのは驚異的です。
なお、画像手前のイモたちは、緑化したものを集めました。
これらは、秋ジャガイモの種イモとして使ってみようと思います。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されているジャガイモの逆さ植えの応用編「ゴロゴロ植え」について、ご案内いたしました。
わが家は昨年からこの方法で栽培しておりますが、想像以上の収量に大変驚いております。
芽かきも土寄せも行わず、土を掘らないため収穫も作業が容易になりますので、おためしになってみてください。
[参考文献]
[関連記事]
嬉しい3つの効果「ジャガイモの逆さ植え」昔農家さんの伝承農法です
ジャガイモのコンパニオンプランツ栽培日記|病気予防・害虫忌避・生育促進する作物をご紹介いたします
[木嶋先生のゴロゴロ植えの記事]
[参考サイト]