農学博士の木嶋利男先生が紹介されている落花生の直まき・ポットまきのメリット、デメリットをご案内いたします。
結論を先にお伝えいたしますと、落花生は直まきでもポリポットにまきのどちらでも育てることができますので、ご自身のやりやすい方法でおこなってみてくださいね。
※ デメリットにつきましては、作業効率に関する点をお伝えいたします。
落花生の「直まき」「ポットまき」について
落花生の直まき、ポットまきのメリット・デメリットについてご紹介いたします。
なお デメリットにつきましては、作業効率に関する点をお伝えいたします。
直まきのメリット
農学博士の木嶋利男先生によりますと、直まきをしたラッカセイは 根が深く伸びて草勢が強くなり、花がたさくん咲くようになります。
その結果、普通栽培に比べ、2~3倍の収量増加が期待できます。
(直まきをすると立性になるため)このままでは花が咲いても子房柄が土に届かないため、折れない程度の力をかけ茎を地表に倒します。
また、草丈に30cm前後に生長したら、追肥するとともに茎の一部が土に隠れる程度に土寄せして、子房柄を土にもぐりやすくします。
土寄せを十分に行うことができれば、直まきでの収穫は、普通栽培に比べて2~3割多くなります。
引用 木嶋利男著「伝承農法を活かす 野菜の植えつけと種まきの裏ワザ」
※括弧内文章と下線は筆者追記
直まきのデメリット
種を多く使います
落花生をはじめとするマメ科の作物は、サヤの中に入っている実の数の分で種をまきますと、よく発芽する性質があります。
落花生は、1つのサヤに2~3粒入っていますので、直まきの場合は1穴に2~3粒まき、間引きをします。
間引きは、形がよく病害虫におかされていない1本を残し、残りの2本を処分することになります。
なお、ポリポットまきの場合は、1ポットにつき1粒の種でも発芽しますので、種を無駄なく使うことが出来ます。
鳥対策
種をまいた直後のラッカセイは鳥に狙われやすいため、ネットなどをかぶせて対策します。
畑の場合、大きなネットが必要になることがあります。
土寄せ
直まきしたラッカセイは根が深く伸びる分、茎は匍匐(ほふく)型から立性になります。
このため、サヤが土の中に潜りにくくなりますので、十分に土寄せをする必要があります。
ポットまきのメリット
種の無駄が少なく間引きを省略
ポリポットに落花生の種をまく際、1粒ずつまきます。
間引きの必要がなく、種の使用が少なく済みます。
狭域で鳥対策が可能
畑に直まきをした場合、大きなネットやてぐすでの鳥対策が必要となりますが、ポットまきの場合は、狭い範囲で対策することができ、ネットの使用量も少なく済みます。
根切り植えで土寄せを省略
ポットまきのラッカセイの根を切断して植え付けますと、根が横に伸びて 地上部の茎が立性にならず、茎が地表をはうように伸びてゆきます。
すると子房柄が土の中にもぐりやすくなりますので、土寄せの作業を省略することができます。
(根を切って植え付けた場合、)植え付け初期の生育は若干遅れますが、根が活着すると、地表を這うように茎が伸長し始めます。また、植えつけ時に根切りを行うことで、新たな根の発生が促されます。
ポットの中で根が張ると、苗の老化が進んでしまいますが、新たな根を発生させることで、苗を若返らせることができ、草勢も強くなります。
引用 木嶋利男著「伝承農法を活かす 野菜の植えつけと種まきの裏ワザ」
※括弧内文章は筆者追記
ポットまきのデメリット
ポリポットまきの場合、種の使用量が少なくなりますが、場合によっては種まき用の土の準備、ポットに土を入れる作業が発生します。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている落花生の直まき・ポットまきのメリット、デメリットをご案内いたしました。
直まき | ポットまき | |
メリット | ・普通栽培より2~3倍の収量が期待できる | ・根切り植えで土寄せが不要 ・1ポット1粒使用、間引き不要 ・狭域で鳥対策が可能 |
デメリット | ・1穴に2~3粒使用 ・畑の場合、鳥対策が広範囲 必要 ・土寄せが必要 |
・種まき用の土が必要の場合もあり ・ポリポットに土を入れる作業あり ・収量は普通 |
落花生は直まきでもポリポットまきのどちらでも育てることができます。
それぞれ長所と短所がありますので、ご自身のやりやすい方法でおこなってみてくださいね。
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