農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、畑でラッキョウを育てるポイントについて、ご案内いたします。
木嶋先生は、原産地に似たような環境でラッキョウを栽培すると、生育がよくなると紹介されています。
今回は 土づくり、植え方などの栽培ポイントについて、ご案内いたします。
ラッキョウについて
ラッキョウの原産地
※ イメージ
ラッキョウの原産地は、現在の中国中央部から温暖なヒマラヤ地方にかけて、乾燥した砂漠のような砂目の土地です。
ラッキョウの原種は、ノビルに似た姿をしており、ポツポツと孤立して細々と自生しています。
※ ノビル
日本への伝来
ラッキョウが日本にきたのは平安時代で、当時は薬用植物として使われていたと言われています。
日本においてラッキョウは砂地で栽培されることが多く、鳥取や鹿児島、宮崎、福井などがおもな産地となっており、2~3年物は高級品として販売されています。
なお、沖縄県の島ラッキョウは 一般的なラッキョウよりも小粒で細長く、香りと辛味が強いのが特徴です。
ラッキョウの特徴
ラッキョウは、種を作らない野菜で、葉が4枚出るたびに分球して鱗茎の数が増え、秋に花を咲かせます。
鱗茎とは 養分を蓄えて厚くなった葉が茎のまわりに多数重なって球状になったものです。
エシャレットとエシャロットの違い
エシャレットとエシャロットは名前が似ていますが、異なる野菜です。
エシャレット
エシャロット
エシャレットは、ラッキョウを若採りしたものです。
一方で エシャロットは、小さい玉ねぎの一種です。
ラッキョウとニンニクの違い
ラッキョウの花
ニンニクの花
ラッキョウと姿が似ているニンニクも鱗茎が分球しますが、ラッキョウと異なり、春に花茎がクネクネと伸びて、先端にある尖った袋の中で花が咲いて、小さなニンニクがたくさんできます。
そして、花茎が倒れますと、そこで根付いて集団で増えてゆきます。
畑でラッキョウを育てる方法|木嶋先生に学ぶ3つの栽培ポイント
畑でラッキョウを上手に育てるには、3つのポイントがあります。
💡 ポイント1 基本的に肥料は施さずに畝をつくります。
💡 ポイント2 3球ずつ植えます。
💡 ポイント3 遅く植えるほど深く埋めます。
💡ポイント1 基本的に肥料は少なめで畝をつくります。
ラッキョウは、原産地の様子からも分かりますように、砂質の畑を好んで育つ野菜です。
鹿児島や鳥取砂丘などのラッキョウの産地は、いずれも水はけの良い砂質土壌で、養分をあまり必要としません。
新規の畑で栽培する場合は、1㎡あたり1kgの牛ふん堆肥を畝全体に深さ20cm程度に鋤き込みます。
なお、追肥は秋と春に米ぬかを2回ほど施します。
一般地では、1回目は11月の終わり、2回目は立春の頃です
米ぬかの量はごく少なめにし、薄っすら粉雪が地表に付くイメージです。
砂質の畑 | 粘土質の畑 | |
畝の高さ | 基本的に高さのない平畝 | 高さ10cm程度の畝を立てます |
元肥 | 基本的に元肥は不要です | |
新規の畑の場合 牛ふん堆肥1kg/㎡の2割増し |
新規の畑の場合 牛ふん堆肥1kg/㎡の2割減 |
|
追肥 | 米ぬかを株間に薄くまいて土を寄せます。 ・1回目 秋 ・2回目 春先 |
💡 ポイント2 3球ずつ植えます。
ラッキョウを定植する時期は 9月のお彼岸の頃で、彼岸花の開花が目安です。
なお、中間地にお住いの方は、11月中旬まで植え付けることができます。
木嶋先生は、1か所に3粒ずつ植えることをおすすめされていますが、1粒でも5粒でもお好みで定植することができます。
1粒 | 3粒 | 5粒 |
タネ球として利用できる大粒サイズになります | 翌年初夏に食べやすい小粒のラッキョウになります | 3粒植えよりさらに小粒になります |
💡 ポイント3 遅く植えるほど深く埋めます。
ラッキョウの鱗茎の頭に青い芽が出ていましたら、この芽の部分を地面スレスレにして植えるのがおすすめで、青い芽が埋らず、飛び出さずにするのがポイントです。
ラッキョウは、定植するのが遅くなるのに従い、青い芽は生長して次第に長くなりますので、鱗茎を埋める深さも自然と深い位置になります。
そして翌春、気候が次第に暖かくなりますと、生長が再開します。
食べる部分が地上に飛び出して日光に当たらないよう土寄せをし、緑化による食味減少を防ぎます。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、畑でラッキョウを育てる3つの栽培ポイントについて、ご案内いたしました。
💡 少なめの肥料で土づくり
💡 3球ずつ植えて分球数を増やす
💡 遅く植えるほど深く植える
[参考文献]
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