農学博士の木嶋利男先生が紹介されている サツマイモのコンパニオンプランツをご案内いたします。
サツマイモとコンパニオンプランツの混植は、同じウネで複数の作物を収穫できるメリットのほかに、害虫忌避の効果、双方の野菜が美味しくなると言われています。
空間を利用しながら効率的に育てられる方法ですので、参考になさってください。
サツマイモのコンパニオンプランツ
サツマイモのコンパニオンプランツは次のとおりです。
作物 害虫忌避 生育促進 空間利用 赤シソ ● ● ● つるなしササゲ・つるなしインゲン ● ● ● エダマメ ● ● ● エンバクなどムギ ●
サツマイモのコンパニオンプランツ「赤シソ」
つるぼけを抑えてイモが大きくなる効果
サツマイモと赤シソの組み合わせは、相性が良いと言われています。
農学博士の木嶋利男先生は、サツマイモは葉や茎(つる)に、アゾスピリラムという共生菌がすみつき窒素固定を行うため、肥料分が少ない土でも良く育ちますと述べられています。
肥料分の多い土でサツマイモを育てますと、つるばかりが茂ってしまう「つるぼけ」が起こり、イモが大きくならなくなったり、美味しさに欠ける水っぽいものになってしまいます。
そこで肥料分をよく吸う性質のある赤シソを混植しますと、土の中の肥料分が適度に奪われて、サツマイモはつるぼけを起こさずに、葉や茎で作られた養分がイモにいきわたって大きくなります。
つるぼけを起こさないサツマイモは、光合成でつくられた糖分が転流し、イモに集まりやすくなりますので甘くなります。
蔓返しを省略
赤シソを混植しますとサツマイモの草勢を弱めることが出来ますので、蔓返しの手間を省略することも出来ます。
害虫よけの効果
赤シソは、害虫を寄せ付けない効果もあります。
サツマイモを栽培されたことがある方は、コガネムシ(アカビロードコガネ)が葉っぱのまわりをブンブン飛んでいるのを見かけたことはないでしょうか。
アカビロードコガネの幼虫はサツマイモに付く害虫で、土の中のサツマイモを食害することがありますが、赤い色の葉っぱを嫌いますので寄り付がなくなり産卵しなくなります。
したがいまして、サツマイモがアカビロードコガネの幼虫に食害される被害を抑えることが出来ます。
サツマイモと赤シソの栽培ポイント
品種選び
サツマイモの品種は、何でもOKです。
害虫は赤い色を嫌い寄り付かなくなりますので「赤シソ」を使います。
土づくり
サツマイモの苗の植え付け2週間前に、高めのウネを立てましょう。
挿し穂・植え付け
サツマイモ
地域により前後しますが、サツマイモの苗は4月下旬~5月下旬、遅くとも7月の上旬までに植え付けましょう。
縦に挿しますと丸くて甘い大きなイモが、横に寝かせて挿しますと、細長いイモがたくさんできます。
赤シソ
赤シソは、サツマイモの株間(約45センチの間)に植え付けます。
もしくは、通路などのツルが伸びるスペースを利用して育てても構いません。
市販の苗を利用したり、植え付けの1か月ほど前に種をポリポットなどにまいて育苗しておいても良いですね。
追肥
追肥は行いません。
つる返し
つるの途中の節が地面と接して根っこを出すことがあります。
すると つるの先端でつくられた糖分が株元に流れず、イモが大きくならなくなりますので、ときどき「つる返し」を行いましょう。
収穫
サツマイモ
苗を植え付けてから約110~120日前後で収穫です。
初霜が降りる前に掘り起こしましょう。
収穫の2~3週間前に最後のつる返しをおこない、また収穫の1週間前につるを刈り取って養分をイモに転流させますと、美味しいイモがとれます。
収穫が遅れますとイモは大きくなりますが、色や形、味が落ちてしまいます。
赤シソ
赤シソは葉っぱが大きくなってきましたら、随時収穫します。
伸びたわき芽を摘心しますと、こんもりと育ちます。
サツマイモのコンパニオンプランツ「つるなし品種のマメ科野菜」
木嶋先生によりますと、サツマイモの産地でもある徳島県や香川県などでは、河川敷や海岸近くの肥料分が流れやすい砂地を利用して栽培しているのだそうです。
サツマイモは肥料分が少ないやせた土で栽培するほうが、甘みが凝縮し、良質な美味しいイモが収穫できます。
サツマイモのコンパニオンプランツ「マメ科」
木嶋先生は、サツマイモのツルが占める広いスペースを利用して、マメ科の野菜をコンパニオンプランツにすることも紹介されています。
マメ科作物は根っこに根粒菌が共生し、空気中の窒素を同化できるため、やせた土地でもすくすく良く育ちます。
また サツマイモも、葉や茎の共生菌による窒素固定で やせた土でもよく育ちます。
コンパニオンプランツに適しているマメ科作物
サツマイモと相性が良いマメ科作物は、つるなしササゲ、つるなしインゲン、エダマメなどです。
マメ科の作物は土を肥沃にしますので、サツマイモ、マメのどちらもよく育ちます。
害虫よけの効果も
マメ科の作物は サツマイモのツルに囲まれますので、カメムシなどの害虫被害が少なくなります。
サツマイモとマメ科野菜の栽培ポイント
品種選び
サツマイモは品種を選びません。
インゲン、ササゲは「つるなし品種」を使います。
土づくり
サツマイモの苗の植え付け2週間前に、高いウネを立てます。
挿し穂・植え付け
サツマイモ
地域により前後しますが、サツマイモの苗は4月下旬~5月下旬、遅くとも7月の上旬までに植え付けましょう。
縦に挿しますと丸くて甘い大きなイモが、横に寝かせて挿しますと、細長いイモがたくさんできます。
つるなし品種
サツマイモの株の間(約45センチ)に、点まきします。
つるなし品種は本葉1~2で間引いて、1本立ちにします。
2023年 栽培レポート
2023年も、サツマイモのコンパニオンプランツ栽培を行います。
なお、2022年のレポートですが、途中で終わってしまい申し訳ございません。
今年は抜けの無いよう、ご報告できればと思っております。
2023年5月
2023年5月6日
2023年の春、引っ越しをしまして、家の庭でサツマイモを育てることになりました。
怒涛の忙しさの中、大型連休のさなかに 道の駅にて紅はるかの挿し穂を購入いたしました。
ご覧のように、発根していましたので、今年は根出しの処理は省略することが出来ました(有難いです)。
サツマイモの根出し(発根処理)の方法は、下記の2022年の栽培レポートを参考になさってくださいね。
2023年5月15日
高畝にしてサツマイモのツルを植え付けました。
今年は、垂直植えです。
2023年7月
2023年7月13日
ツルが枯れることもなく、順調に育っています。
新居の庭は、あまり肥沃な土ではなさそうなので、マメ科の作物を植えても良かったかもしれません。
画像の赤シソは、自然に生えてきたものと、前の畑から抜いてきたものです。
7月は、ツル返しを1回行いました。
— 引き続き、更新いたします —
2022年 栽培レポート
2022年もサツマイモのコンパニオンプランツ栽培を始めましたので、レポートいたします。
今年予定しているコンパニオンプランツは、下記のとおりです。
2022年の計画
・紅はるか
・つるなしインゲン
・赤シソ
・エンバク
そして、チャレンジとして、
・安納芋
・オクラ
・エダマメ
・つるありインゲン
・エンバク
を、栽培しようと考えております。
2022年3月
昨年収穫したサツマイモのツルを植木鉢に植えて、越冬させておりました。
2022年4月
4月になり、サツマイモのツルから出た葉をプチっとかきとり、水に浸けて発根させました。
2022年5月
画像上がサツマイモ、下がつるなしインゲンです。
2022年6月
私が住んでいる地域にヒョウが降り、畑の野菜が壊滅状態です。
丹精込めて育てている野菜たちが傷んでしまったのは悲しいですが、自然の力に逆らうことは出来ないことを痛感しました。
去年のサツマイモのツルで苗とりしたものは、ヒョウで葉に穴があきましたが、幸い大きなダメージはなかったようです。
コンパニオンプランツのつるなしインゲンの収穫がはじまりました。
サツマイモの苗も、少しずつ大きくなってきました。ツルからとった苗ですので、イモがなるか非常に不安ですが、秋まで見守りたいと思います。
垂直植え
斜め植え
去年のサツマイモのツルで育てている苗にイモが生らなかった時のことを考慮して、イモヅルを購入し植え付けました。_
2021年 栽培レポート
2021年もサツマイモのコンパニオンプランツ栽培に挑戦いたします。
2021年4月
昨年 栽培していたサツマイモのツルを越冬させ、苗を育てています。
これも植え付けられると良いのですが・・・。現在 育苗中です。
越冬させたツルだけでは足りないため、紅はるかの苗を購入してまいりました。
しおれた苗のほうが育ちやすいので、今年は適当に選んできました(笑)。
今年もヒゲおやじさん方式で、発根処理を行いました。
段ボールは水に濡れますとヨレヨレになってしまうので、今年は木のトレーに載せています(はみだしていますね)。
今年はあまり根が出ませんでした。
新聞紙で包んで段ボールで湿らせないと、根が出ないのかもしれません。
来年は、段ボールに入れて根出し処理を行ってみようと思います。
今年も先端と株元を切り、4~5節を挿し穂にしてみます。
この方法は木嶋先生が紹介されている伝承農法です。
市販の挿し穂は、長さ30~40cmで、7~9節ついているものが多いと思いますが、木嶋先生によりますと、先端は枯れやすく、株元は発根しにくいそうです。
昔農家さんは、先端側と株元側をカットして、中間の充実した4節を挿し穂にしていました。
4節にカットしました。
今年は「垂直植え」にしました。
垂直植えは、寝かせ植えや水平植えなどより 収量は少なくなるようですが、株間30cmと狭く植えられるので、広くない畑を利用しているわが家にとっては助かります。
2021年7月
7月になりました。
サツマイモのツルがワサワサ伸びてきました。
コンパニオンプランツのつるなしインゲンも次々に花を咲かせて順調に育っています。
2021年8月
8月になりました。
ツルが伸びてきたら支柱(写真左)に誘引してゆこうと思っておりましたが、それほど伸びていないので、なにもせずにおります。
8月の終わりから、時々「つる返し」を行い、不定根を切っています。
2021年11月
11月になったので、試し掘りをしてみました。
イモを掘り起こす一週間前に、葉をカットして 甘味をイモに流転させます。
今年は、苗を垂直植えにしてみました。
大きめのイモが採れましたが、やはり収量は少ないですね。
11月の終わりに霜が降りて、葉が黒くなりました。
これ以上、土の中に置いておくと傷んでしまうので、残りをすべて収穫しました。
こちらは1苗で、これだけの量が採れました。
苗によって、収量は全然違いますね。
これで、2021年のサツマイモ栽培は終わりです。
2022年も、レポートする予定ですので、よろしくお願いします。
2020年 栽培レポート
2020年は、サツマイモと、赤しそ・エダマメ・つるなしいんげんを栽培しました。
2020年7月
防虫ネットをかけていないため、サツマイモやエダマメの葉に少し虫食いがありますが、今のところいちじるしい被害は見受けられず、「あまり気にならない」といった感想です。
害虫に食べられた葉は再生せず、傷んだところから病気になるのが心配ですので、こまめに取り除くようにつとめています。
エダマメ(湯上り娘)のサヤがふくらんできました。産毛がたくさん付いています。
せいろで蒸して食べてみたところ 味が濃くてとても美味しかったです。
2020年8月
8月の終わりにサツマイモのツル返しを行いました。
葉がものすごく繁茂しましたので、ツルボケになっていないか心配です。
2020年10月
10月半ばになりました。
苗を植え付けて約4か月(120日)経ちましたので、そろそろ収穫です。
今年は通路を狭くしてしまったので、足の踏み場もないほどツルが伸び、ツルがえしに苦労しました。
木嶋先生によりますと、収穫する1週間前に地上部のツルをカットしますと、イモにでんぷんを流転させることができるので甘さが増します。
株元をカットしました。
マルチも取り除きます。4か月間ずっと張っていましたので、さすがに汚れています。
マルチを取り除き、収穫まで一週間待ちます。
サツマイモのツルがどっさりです。
わが家は野菜のざんさをゴミとして処分せず 肥料にしていますので、これも大切な資材になります。
また、ツルの一部は来年の苗に育てる挑戦を始めました。
詳細につきましては、本ページ最後の関連記事を参考になさってくださいね。
2020年10月収穫
ツルをカットした1週間後に、収穫しました。
紅あずまです。小ぶりながらたくさんなりました。
安納芋です。まんまるで可愛らしいかたちです。
どちらの品種も傷むことなく無事に収穫することが出来ました。
コンパニオンプランツ栽培を行ってみた感想
2020年
長期間 栽培するサツマイモのウネを利用し、エダマメとつるなしインゲンを混植するコンパニオンプランツ栽培は、大変効率的であることを実感いたしました。
サツマイモの葉が茂っているときは、コガネムシがブンブン飛んでいたのが気になりましたが、枯れることも病気になることもなく、立派なイモになりました。
わが家の課題は、ワサワサと茂るサツマイモのツルをかき分けて、インゲンを収穫することが困難でしたので、来年は通路をもう少し広くして、サツマイモのツルを支柱に這わせて誘引してゆく方法を検討しています。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されているサツマイモのコンパニオンプランツ栽培を無事に終えることが出来ました。
1つのウネを有効に使うことができましたので、2021年もこの方法で栽培してみようと思います。
・つるぼけを抑えて生長を促進させます。
・アカビロードコガネなどの害虫よけになります。
・サツマイモの伸びたツルのスペースを有効利用できます。
・カメムシなどの害虫よけになります。
・どちらもスクスクよく育ちます。
[関連記事]
さつまいも苗の植え付け前の準備|苗の選び方、病気対策、水平植えの方法
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