虫が付きやすいキャベツやハクサイ、小松菜などのアブラナ科の作物は、シュンギクなどのキク科の野菜をコンパニオンプランツにしますと、虫を寄せ付けない効果を発揮すると言われています。
今回は、キク科植物の中でもバンカープランツとして強い戦力になる「ヨモギ」を使ったコンパニオンプランツ栽培をご案内いたします。
この栽培は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法で、害虫を退治するヨモギの効果、植え方のコツ、相性の良い野菜など 栽培のポイントについてご案内いたします。
害虫を退治する「ヨモギ」のコンパニオンプランツ栽培の効果
農学博士の木嶋利男先生は、「ヨモギは最高のバンカープランツ」と、紹介されています。
バンカープランツとは「天敵温存植物=おとり作物」とも呼ばれており、自らがおとりとなって 野菜を害虫から守ってくれる植物のことを指します。
伝承農法「ヨモギのコンパニオンプランツ栽培」
蓬餅(よもぎもち)に使われるヨモギはキク科の多年草で、道端などに自生しているのを見かけることがありますね。
昔からヨモギはバンカープランツとして野菜のそばに植えて害虫から野菜を守る植物として使われてきました。
強いアレロパシー効果を出すヨモギ
薬草としても使われているヨモギは、強いアレロパシー効果を出しますので害虫をほとんど寄り付かせません。
アレロパシー効果とは、他の植物や動物、微生物に対してアレロケミカルという物質を出して引き寄せない効果のことを言います。
益虫が集まる効果も
木嶋先生によりますと、ヨモギには一般的な害虫はほとんど寄り付きませんが、ヨモギだけに付く害虫がいます。
🐛 ヨモギハムシ
🐛 ヨモギヒゲナガアブラムシ
上の写真はヨモギに付いたハツジカツオゾウムシというキク科植物をエサにする虫ですが、「ヨモギ〇〇」という名の害虫は、ヨモギ以外の植物にほとんど害を及ぼさないのが特徴です。
ヨモギに害虫が付きますと、これらを目当てにテントウムシなどの益虫が飛んできて、野菜に付いた害虫を食べますので、結果的に害虫を退治する効果が発揮されます。
木嶋先生が、ヨモギを「最高のバンカープランツ」と述べられているのは、このような理由によるものなのですね。
ヨモギをコンパニオンプランツにすると良い野菜
※ ヨモギとトマト
ヨモギは シュンギクなどのキク科以外の野菜であれば、ほとんどすべての野菜と混植することができる便利なコンパニオンプランツです。
ヨモギをそばに植えると良いおもな野菜
ナス科 トマト、ピーマン、ナスなど ネギ属 ネギ アブラナ科 ダイコン、ブロッコリーなど ウリ科 キュウリなど 参考文献「コンパニオンプランツで野菜作り」主婦と生活社 90頁
害虫を退治するヨモギのコンパニオンプランツ栽培のコツ
ヨモギをコンパニオンプランツとして栽培する時のコツについて、ご紹介いたします。
野菜との混植は避けましょう
ヨモギは たいへん丈夫で生育が旺盛な植物で、野菜の株間に植え付けたりしますと、ヨモギの勢力が広がり 野菜の成長が阻害されてしまいます。
そのため、野菜の畝のわきの通路に植え付けるなどして、野菜との混植を避けましょう。
木嶋先生がおすすめする栽培法
ヨモギを直径15cmほどの素焼きの鉢に植え付けて、「鉢ごと畑に埋め込む」もしくは、「置く」方法です。
鉢に植えられたヨモギは、一定以上の大きさに成長しませんので 家庭菜園のように限られたスペースで野菜を栽培する方におすすすめです。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、害虫を退治するヨモギの効果と、コンパニオンプランツ栽培のコツについてご案内いたしました。
ヨモギにしか付かない害虫をおびき寄せ、益虫のエサするバンカープランツ(おとり作物)になるヨモギは、家庭菜園の強い戦力になってくれるコンパニオンプランツです。
キク科以外の野菜であれば、たいていの野菜と一緒に栽培することができますので、害虫が付きやすいキャベツやハクサイ、小松菜などアブラナ科の野菜、トマト、ナス、ピーマンなどのナス科野菜を栽培する際に役立ちそうですね。
ヨモギは成長が旺盛で野菜と一緒に育てますと、野菜の生育を阻害してしまう場合がありますので、少し離れた場所に植えるか、木嶋先生おすすめの「素焼きポット」を畑に置いて、害虫を退治されてみられてはいかがでしょうか。
[ヨモギの苗]
[参考文献]
木嶋利男著 コンパニオンプランツで野菜づくり (ひと目でわかる図解)(主婦と生活社)
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