家庭菜園で、わが家は 以前、ポリフィルム素材のマルチを利用しておりましたが、昔ながらの「敷きわら」は使い勝手がよく、畑と野菜によい働きをしてくれることが分かってきました。
今回は、「敷きわらの使い方」「野菜別に敷き方を使い分ける方法」「微生物を増やして病原菌を減らす方法」などについて、ご紹介いたします。
今回ご案内する 敷きわらの使い方は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法で、わらが万能マルチであることを、おわかりいただけるかと思います。
敷きわらの使い方とその効果
敷きわらの使い方
わらは、乾いていない状態で使いますと、早く分解してしまいますので、基本的に よく乾燥したものを長いまま使います。
わらを敷く量について
たっぷり敷き詰めず、下の土が見える程度に薄めに敷きます。
わらを敷く向きについて
畝と並行に株元までしっかり覆うのが基本です。
この敷き方は、適度に水が浸みこんで 土が保温され、野菜がよく育ちます。
敷きわらの効果
・雨水が浸みこみやすくなります。
・野菜の根が深くしっかり伸びます。
正しくないわらの敷き方
ウネに対して直角に置かないで
ウネと直角にわらを敷きますと、かやぶき屋根の構造になり、雨がウネに浸み込まず、通路に水が流れてしまいます。
なお、トマトはあまり水を必要としませんので、わが家は あえて直角に敷いております。
また、梅雨の時期など 雨がたくさん降るシーズンは、野菜が根腐れしないよう、わらを直角に敷く場合もあります。
わらを厚く敷かないで
わらを厚く敷いてしまいますと、野菜の細い根が地表の近くに張り、かえって乾燥に弱くなってしまいます。
敷きわらの使い方「応用編」
わらの表面がかたくザラザラしているのはケイ素が多く含まれているからです。
敷きわらをして、野菜がケイ素を吸収しますと、野菜の葉や茎が丈夫になります。
農学博士の木嶋利男先生は、野菜ごとにわらの敷き方を変えますと 収穫量がよりアップしますと、紹介されています。
わらの置き方を調整
ナスなどを早めに植え付けて、株元を日光で温めたい場合は、株元だけ土を露出させます。
わらは 野菜の生長を確認しながら 置き方(敷く量)を調整できますので、使い勝手のよい万能マルチになります。
ニンジンの敷きわらの使い方
ニンジンなどの種まきをしたあと、もみ殻の代わりに保湿目的でわらを使うことが出来ます。
この場合、長さを数cmに切ります。
10~20cmの長さよりカビなどが生えにくくなり長期にわたって土が保湿されます。
もみ殻が手に入りにくい場合は、お試しになってみてくださいね。
サトイモの敷きわらの使い方
サトイモを土寄せをする時、敷きわらの上にさらに土を載せますと、分解が進み、養分として利用することが出来ます。
有機物を土の中に入れることになりますが、ほかの野菜と異なり、サトイモは傷みにくく、分解の早い段階から養分として利用することが出来ます。
ブロッコリー、キャベツの敷きわらの使い方
ブロッコリーやキャベツは、サトイモの場合と異なり、敷きわらを移動させてから土寄せし、あとから敷きわらを戻すのがポイントです。
ブロッコリーやキャベツなどは、生の有機物を地面の上でよく分解させたほうが養分を吸収しやすいためです。
敷きわらで病原菌を減らす方法
木酢液を散布して微生物を増殖させます
わらの成分にはセルロースが多く含まれていますので、木酢液を散布して酸性の状態にしますと、セルロースを分解する微生物が増殖します。
この微生物は、病原菌の細胞壁のセルロースを破壊しますので病気が発生しにくくなります。
わらは、木酢液をかけた数日程度は酸性になり、土の表面などで菌寄生菌が繁殖して、土壌病原菌を抑えることが出来ます。
米ぬかをまいて病原菌を減少させます
敷きわら全体に米ぬかを薄くばらまきます。
わらを敷いた直後にまいても構いませんが、病原菌を減らすには、敷く2~3週間前にまいておきますと効果的です。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、敷きわらの使い方について、ご案内いたしました。
■ 基本的な使い方は、乾いた長いわらをウネと平行に敷きます。
■ 野菜別に敷き方を使い分けますと生育促進に貢献できます。
■ 木酢液、米ぬかで微生物を増やし、土壌病原菌を抑えられます。
昔ながらの「敷きわら」を上手に使いますと 万能マルチになりますので、おためしになってみてください。
※写真はエンバクを乾燥させたものです。
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