農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、「苺のコンパニオンプランツ」を、ご案内いたします。
今回ご紹介するコンパニオンプランツは、「虫よけ」「病気予防」「生長が促進する」効果が期待できますので、参考になさってください。
イチゴのコンパニオンプランツ一覧
イチゴのコンパニオンプランツとなる下記の作物は、すべて一緒に(同じウネで)栽培することが出来ます。
🍓イチゴのコンパニオンプランツ
病気
予防害虫
忌避生育
促進空間
利用ペチュニア ● パクチー ● ニンニク ● ● ● ● 長ネギ ● ● ● ● ボリジ ● 引用 木嶋利男著「コンパニオンプランツの野菜づくり」
イチゴのコンパニオンプランツ「ペチュニア」
イチゴの受粉の手助けに
イチゴを収穫したとき、ときどき形がいびつな実が採れることがありますね。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、これは 雌しべに花粉が十分に付かない「受粉不良」を起こしたからです。
※ 受粉不良と考えられるイチゴ
確実に受粉をさせて形のきれいな果実を作るには、花が咲くたびに筆や綿棒、指先で花粉を雌しべにつける「人工授粉」を行う方法があります。
もう一つの方法は、コンパニオンプランツを植え、ミツバチやアブなどの訪花昆虫が頻繁に寄ってくるような環境づくりをすることで、かたちの良いイチゴを収穫することができるようになります。
確実に受粉するペチュニア
ミツバチなどの訪花昆虫は、ペチュニアの発する「香り」と「色」を目印にやってきます。
イチゴの近くでペチュニアを栽培しますと、イチゴの花が咲くころに次々と途切れることなく花をつけて、ミツバチなどを呼び集めます。
わが家はペチュニアをコンパニオンプランツにしており、人工授粉は行っておりませんが、普通に実がなっています。
イチゴとペチュニアの栽培ポイント
イチゴの品種選び
※ ペチュニアの種
イチゴの品種は問いません。
ペチュニアは、市販の苗を利用すると便利ですが、種から育てられる場合は、4月のイチゴの開花に間に合うよう、前年の9~10月頃に種まきをして保温しながら冬越しします。
土づくり
イチゴの苗の植え付け3週間前に、必要な肥料を入れてよく耕し、高めのウネを立てます。
植え付け
イチゴ
9月中旬~10月下旬にイチゴの苗を植え付けます。
ペチュニアの種まき
ペチュニアの種を直接 土にまく場合は、イチゴの苗と苗の間にまきます。
ペチュニアの苗の植え付け
ペチュニアの苗を使う場合は、4月上旬にイチゴのウネのところどころに植え付けます。
ペチュニアは、寒風や遅霜にあたると傷んでしまう場合がありますが、草丈の高いイチゴの陰に守られていますと、意外に強く育ちます。
追肥
11月上旬と2月下旬に追肥を1回ずつ行います。
2月の追肥は、お住まいの地域の梅の花が咲き、よい香りがし始めた頃に行うと効果的です。
イチゴのコンパニオンプランツ「パクチー」
パクチーをイチゴのコンパニオンプランツとして利用することも出来ます。
木嶋先生によりますと、タイ北部のイチゴ畑では、パクチーと混植して、その独特の香りで害虫よけをしているのだそうです。
イチゴとパクチーの栽培ポイント
パクチーの種まき
パクチーの種を10~11月頃 ポリポットなどに種まきして室内で越冬させます。
伸びてきた苗を3月中旬にイチゴのウネに植え付けます。
温暖な地域では、畑に種まきして冬越ししても構いません。
ペチュニアと混植してもOK
ペチュニアとパクチーを交互に植えても良いですし、イチゴ数株に1苗の割合で植えても構いません。
イチゴのコンパニオンプランツ「ニンニク」
※ イチゴとニンニク、ボリジーの混植
ニンニクをコンパニオンプランツとして栽培しますと、イチゴにとって良いことがたくさんあります。
イチゴの開花が早くなり、たくさん収穫できます
イチゴとニンニクを一緒に栽培しますと、イチゴに「程よいストレス」がかかり、株立ちぎみに育ちます。
株立ちぎみになったイチゴは風通しがよくなりますので、病気の発生を防ぐことができます。
春になるとイチゴは葉っぱや茎を伸ばして、からだに作る「栄養生長」から、花や実を付ける「生殖生長」に早く切り替わります。
イチゴを単独で植えるより、1~2週間早く花が咲き始め、付く花数も増えます。
収穫時期が延びるため、果実が多く採れるようになります。
イチゴの病気を抑える効果
イチゴは「萎黄病、炭疽病、灰色カビ病」などの病気にかかる場合がありますが、ニンニクのにおい成分「アリシン」は殺菌作用があり、根っこには抗生物質を出す微生物が共生するため、イチゴの病気を抑えることができます。
害虫よけの効果
イチゴは、アブラムシやハダニなどが付きやすい野菜です。
アブラムシはウイルス病を媒介するやっかいな害虫ですが、ニンニクをコンパニオンプランツとして栽培しますと、アブラムシやハダニが寄り付かなくなり、ウイルス病にかかりにくくなる効果を期待することができます。
イチゴとニンニクの栽培ポイント
品種選び
イチゴ、ニンニクの品種は何でもOKです。
土づくり
イチゴの苗の植え付け3週間前に必要な肥料を入れてよく耕して、高めのウネを立てます。
植え付け
9月中旬~10月下旬に、イチゴの苗を植え付けます。
同時にニンニクも、イチゴの株の間か条間に植え付けます。
追肥
11月上旬、2月下旬に追肥を1回ずつ行います。
収穫
イチゴは、5月上旬~6月中旬くらいまでが収穫時期です。
ニンニクは4月頃に花茎が伸びてきますので、途中で切って「茎ニンニク」として食べられます。
ニンニクの地上部の8割くらいが枯れたら掘り上げます。晴れの日に収穫しますと傷みづらくなり、長く保存することが出来ます。
イチゴのコンパニオンプランツ「長ネギ」
ニンニクの代わりに「長ネギ」を使う場合も、同様の効果があります。
土壌病害を防ぐ効果
イチゴと長ネギを一緒に植えますと、イチゴの萎黄病を防ぐ効果があります。
長ネギの根っこの表面には「バークホーデリア細菌」が生息し、抗生物質を出して萎黄病を抑える働きがあります。
害虫よけの効果
先に述べましたように、イチゴは アブラムシとハダニが付きやすい野菜です。
アブラムシはウイルス病を媒介するやっかいな害虫ですが、長ネギをコンパニオンプランツとして栽培しますと、アブラムシやハダニが寄り付かなくなり、ウイルス病にかかりにくくなる効果が期待できます。
イチゴと長ネギの栽培ポイント
品種選び
イチゴ、長ネギの品種は何でもOKです。
土づくり
イチゴの苗の植え付け3週間前に、必要な肥料を入れてよく耕し、高めのウネを立てます。
植え付け
9月中旬~10月下旬に、イチゴの苗と長ネギを同時に植え付けます。
イチゴの苗を植える時にウネに穴を開けますね。その穴に、長ネギの根とイチゴの苗を絡めて植え付けます。
追肥
11月上旬と、2月下旬に追肥を1回ずつ行います。
収穫
イチゴは、5月上旬~6月中旬くらいまでが収穫時期です。
ネギも適宜 収穫します。
ネギは料理に使ったり、他の野菜のコンパニオンプランツに利用することも出来ますので便利です。
イチゴのコンパニオンプランツ「ボリジ」
ハーブのボリジは、アブラムシの天敵であるアブラバチを呼び寄せる性質を持っています。
ボリジは 害虫アブラムシに吸汁されますと信号を発してアブラバチを呼び寄せます。
アブラバチはアブラムシの体内に産卵し、寄生されたアブラムシは最終的に死にますので、害虫の密度が下がるというしくみです。
なお、アブラバチはイチゴに付いたアブラムシにも寄生しますので、結果的にイチゴが害虫から守られることになります。
ボリジの種まき時期
ボリジの種まきの時期は3月~6月、9月~10月です。
青いお花が咲くボリジは、畑の景観がよくなります。
また、葉はサラダ、スープなどに入れて食べることができ、お花は料理の色どりなど、幅広く利用することが出来ます。
わが家は、摘み取ったボリジの花をサラダの彩りとして使っています。
ほんのり甘く美味しいです。
イチゴの鳥対策について
イチゴのウネに防虫トンネルをかぶせますと、実が付く時期に鳥などの被害を防ぐ効果がありますが、受粉を助けてくれるミツバチやアブが近づくことが出来なくなってしまいます。
そこで わが家は 「黒テグス」で、鳥からイチゴを守る対策を行っております。
まとめ
※ 小さいながらも美味しいイチゴを収穫することができました。
イチゴのコンパニオンプランツをご案内いたしました。
この栽培は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法で、イチゴを単体で栽培するよりイチゴの病気が予防され、生育が促進する効果が高まると言われています。
わが家は毎年イチゴをコンパニオンプランツと一緒に育てておりますが、限られた空間を有効に利用することが出来ますので、参考になさってください。
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