大根の後作にオススメの野菜を、ご紹介いたします。
今回ご案内する後作野菜は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されているもので、少ない肥料でもよく育ち、大根を収穫した後に、間を空けることなく栽培することが出来ます。
ほどこす肥料が少なくなる分、土づくりもお手軽に行うことが出来ますので、参考になさってください。
大根の後作にオススメの野菜「キャベツ」
キャベツの病気予防の効果
キャベツは大根と同じアブラナ科の作物ですが、後作に適しています。
キャベツに大きな被害を与える病気の1つに「根こぶ病」があります。根こぶ病は、アブラナ科の野菜のみに発生する病気です。
キャベツは栽培の期間が長く、病気に感染してしまいますと、途中で生育が悪くなり、結球(丸く)できずに 被害が大きくなってしまいます。
根こぶ病が厄介なのは、一度ふえると休眠胞子のかたちで長年土の中にとどまるため、5年程度の輪作では効果がないことです。
そこで木嶋先生は、大根をキャベツの前に植え付けることをオススメされています。
大根もアブラナ科の野菜ですので、休眠していた根こぶ病菌は目を覚まし、引き寄せられて側根に侵入してきます。
しかし、根こぶ病菌はそこでは増殖することが出来ず、死んでしまいます。なぜなら大根の中では胞子を残せないからです。
つまり、大根が「おとり」となり、根こぶ病を掃除する役目を果たしてくれますので、キャベツの根こぶ病を防ぐことが出来るのです。
品種選び
大根もキャベツも、どの品種でもOKです。
木嶋利男先生は、根こぶ病の被害がひどい畑の場合は、抵抗性品種(CR品種)をおすすめされています。
栽培のポイント
大根を収穫後の土づくり
大根を収穫後、キャベツの苗を植え付ける3週間前に、ウネを軽くならして肥料を入れ、ウネを立てておきます。
キャベツの植え付け
本葉4~5枚の苗を植え付けます。
一般的に株間は40~50cmほどとりますが、30cm程度に狭くして植え、小ぶりのキャベツを育てることも可能です。
追肥と土寄せ
キャベツを植え付けた後、3週間ほど経ちましたら、追肥をして土寄せをします。
結球が始まったタイミングで、もう一度追肥をします。
ちなみに、わが家は追肥に「鶏ふん」を使っていましたが、最近は「ぼかし肥・油かす」を用いております。
キャベツの収穫
春まき夏どりの大根は、品種ごとの適期に掘り上げます。
収穫が遅くなりますと、スが入ったり割れやすくなりますので気を付けて。
キャベツは、結球して頭の部分を押してかたくなっていたら収穫します。
根こぶ病がひどい場合の対処法
木嶋先生の裏ワザに、根こぶ病の被害がひどい場合、ピンポイントで大根を収穫した後の穴にキャベツの苗を植え付ける方法があります。
肥料が必要と思われましたら、周囲に追肥します。
大根の後作にオススメの野菜「その他アブラナ科の野菜」
大根の後作に、キャベツ以外の「アブラナ科の野菜」を育てるのもオススメです。
アブラナ科の野菜は キャベツと同じように、根こぶ病の被害を抑える効果があります。
アブラナ科の野菜一覧
・ハクサイ
・ブロッコリー
・カリフラワー
・チンゲンサイ
・カブなど
大根の後作にオススメの野菜「サツマイモ」
肥料が要らないサツマイモのリレー栽培
木嶋先生は、大根の後作にサツマイモ栽培も おすすめされています。
なぜなら 大根を育てた後は過剰な肥料分が土に残っていない状態になっていますので、サツマイモの栽培に適しているからです。
サツマイモは、肥料を与えすぎますと、ツルばかりが伸びてイモが大きくならない「つるぼけ」になってしまいます。
大根も、土づくりで たい肥や元肥がよく分解されずに未熟な状態で育てますと、(大根の)お肌が汚くなったり又根になってしまいますので、基本的に肥料をほどこさずに育てます。
大根もサツマイモも、いずれも少ない肥料で育ちますので、大根➡サツマイモ➡大根➡サツマイモと交互に栽培することで、質の高いものを収穫することが出来るようになってゆきます。
品種選び
大根は、トウが立ちにくい春まきに適した品種を選びましょう。
サツマイモの品種は、なんでもOKです。
栽培のポイント
土づくり
大根の収穫後、肥料を入れずにウネを立て、サツマイモの苗を植えます。
この時、高いウネを立てるのがポイントです。
挿し穂・植え付け
地域によって前後しますが、4月下旬~5月下旬に、苗(挿し穂)を(先端から葉っぱが4枚程度付いたもの)、葉を落とさずに土に挿します。
苗は、遅くとも7月上旬までに植え付けましょう。
サツマイモの苗は、縦に挿すと丸くて甘い大きなイモになり、横に寝かせて挿すと、細長いイモがたくさん付きます。
追肥
追肥は行いません。
つる返し
つるの途中の節が、地面と接して根っこを出すことがあります。
すると、つるの先端でつくられた糖分が株元に流れなくなり、イモが大きくなりませんので、「つる返し」を時々行いましょう。
収穫
品種によって異なりますが、サツマイモの苗を植え付けてから、約110~120日前後で収穫です。
初霜が降りる前に、掘り起こしましょう。
収穫の2~3週間前に、最後のつる返しをおこない、また収穫の1週間前につるを刈り取り養分をイモに転流させますと美味しいイモがとれます。
収穫が遅れてしまいますと、イモは大きくなりますが、色や形、味が落ちてしまいます。
大根 → サツマイモの繰り返し栽培がオススメ
木嶋先生によりますと、毎年 大根➡サツマイモ➡大根➡サツマイモの組み合わせで連作を行ってゆきますと、土の中の未熟な有機物が少なくなって大根のお肌がきれいになり、肉質が細やかで、辛味や苦みが少ないものが育ってゆくのだそうです。
そしてサツマイモは、「つるぼけ」を起こさず イモがよく太り、甘く高品質なものが収穫できるようになってゆきます。
わが家はサツマイモを収穫して空いたスペースに、少しずつダイコンの種をまいて育てています。
大根の育つ時期がずれて、一度に大きくなりませんので、おためしになってみてください。
まとめ
アブラナ科野菜
サツマイモ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「大根の後作にオススメの野菜」を、ご案内いたしました。
大根の後にキャベツなど、アブラナ科野菜の栽培は「根こぶ病」の被害が少なくなります。
大根とサツマイモを毎年連作することにより、大根のお肌がきれいに、サツマイモはつるぼけが起こらずどちらも品質が向上してゆきます。
前作の大根の特性を活かし、後作野菜の病気、生長が促進する組み合わせ(リレー栽培)ですので、参考になさってください。
[キャベツの種]
[参考文献]
木嶋利男著「育ちがよくなる! 病害虫に強くなる! 植え合わせワザ88 決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり」
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