キュウリのコンパニオンプランツをご紹介いたします。
つる割病やうどんこ病などの病気になりやすいキュウリですが、コンパニオンプランツと一緒に育てることによって予防する効果が期待できると言われています。
この栽培は、農学博士の木嶋利男先生が推奨されている方法で、ご紹介するコンパニオンプランツは、以下のようなメリットがあります。
・同じウネでもう1品野菜を栽培できます
・病気の予防に効果がありあす
・害虫を寄せ付けない効果があります
・枯れたあと、マルチや緑肥になります
・キュウリの資材を共有して、誘引などの管理を同時に行うことができます
キュウリのコンパニオンプランツ一覧
今回ご紹介しますコンパニオンプランツは、長ネギ、ムギ、ナガイモです。
次の章で、植え方など栽培ポイントをご案内いたします。
作物 病気予防 害虫忌避 生長促進 空間利用 長ネギ・葉ネギ・チャイブ 〇 つる割れ病 ムギ 〇 うどんこ病 〇 ナガイモ 〇 〇
キュウリのコンパニオンプランツ「長ネギ」
科学的に解明された伝承農法
昔から、ユウガオと長ネギを一緒に植えると つる割病などの病気がほとんど発生しないことが知られていました。
栃木県では古くからカンピョウの原料になるユウガオの株元に、長ネギを混植する方法がとられているそうです。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、科学的に分析をしたところ、長ネギの根っこに共生するバークホーデリア・グラジオリーという細菌が抗生物質を出して、土の中の病原菌を減らすことが分かりました。
ウリ科とナス科に有効なネギ属
木嶋先生によりますと、ネギ属の混植はユウガオだけでなく、キュウリなどのウリ科、さらにはナス科などにも効果があることが実証されたそうです。
これを応用して、長ネギとキュウリ、カボチャ・メロン、ゴーヤ、ヘチマなどの根の浅いタイプのウリ科に広く応用することが出来ます。
長ネギの代わりに使える野菜
長ネギの代わりに、葉ネギやチャイブをコンパニオンプランツにしても同様の効果が期待できます。
ネギの種類をいろいろ植えるのも栽培が楽しくなりそうですね。
栽培ポイント
木嶋先生によりますと、キュウリと長ネギは、好んで利用する養分の種類が異なるため、競合が起きることはまずないそうです。
品種選び
キュウリ
品種は何でもOKですが、接ぎ木苗より病気に弱い自根苗のほうが効果があるそうです。
長ネギ
苗を購入するか、3月上旬~中旬に種まきをして育てたものを使います。また、前の年から育てていたものを利用しても構いません。
土づくり(例:ウネ幅40cm ウネの高さ15cm)
植え付けの3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥(または牛ふん、鶏ふん)を施して耕しウネを立てます。
植え付け
地域によって前後しますが、4月下旬~5月下旬にキュウリと長ネギを同時に植え付けます。

黒マルチ or 敷きわら
キュウリの根っこは乾燥や高温に弱いので、黒マルチを張るか、苗を植え付けた後に敷きわらを行いましょう。
マルチをすると、泥はねを防ぐ効果もあります。
追肥
キュウリ
キュウリの生育のために、3週間に1回をメドに、ぼかし肥を1握り(または鶏ふん)を施します。
キュウリの根っこは、地表の近くに張りますので、根を傷めないように生長の段階に合わせて追肥の場所をずらしてゆきます。
長ネギ
長ネギには追肥は行いません。
収穫
キュウリ
実った果実を順次収穫します。
長ネギ
キュウリの収穫が終わりましたら、別の場所へ植え替えて土寄せをしながら育てます。晩秋以降に収穫しましょう。
キュウリのコンパニオンプランツ「ムギ」
長ネギがキュウリのつる割病を予防する働きがあるとご紹介しましたが、「ムギ」にはうどんこ病を予防する働きがあります。
ムギが病気の身代わりになってくれる
実はムギにもうどんこ病が発生します。
しかしながらキュウリのうどんこ病の菌とは別の種類のため、お互いに感染することはありません。
ムギをコンパニオンプランツにするメリットは、ムギをおとり(バンカープランツ)にして、うどんこ病菌に寄生して死滅させる「菌寄生菌」を呼び寄せて増やすことにより、キュウリのうどんこ病の被害を大幅に減らすことです。
害虫を寄せ付けない効果
ムギをコンパニオンプランツにしますと、アブラムシなどの害虫が寄ってきますが、キュウリに付くアブラムシとは別種です。
ムギにアブラムシが付くと、天敵のテントウムシやアブラバチのすみかになりますので、キュウリに付くアブラムシなどの害虫を退治してくれます。
マルチや緑肥になる
ムギは食べることは出来ませんが、メリットがたくさんあります。
通路にまきますと、真夏に枯れたムギは「マルチ」に活用することが出来ますし、次の野菜栽培の土づくりで(土に鋤き込んで)「緑肥」にすることも出来ます。
ムギのメリット
・通路にまくと土の保湿、雑草の予防になります。
・ムギをすみかにする天敵が増えてキュウリの病害虫が減ります。
・枯れるとマルチの代わりになります。
・次の野菜栽培の緑肥なります。
栽培ポイント
品種選び
キュウリ
品種は何でもOKです。木嶋先生によりますと、接ぎ木苗を利用するとより強く育ちます。
ムギ
エンバクを利用しても構いませんが、この時期に種をまきますと穂を付けないオオムギが使いやすいです。ホームセンターなどでリビングマルチ用のムギも販売されています。
土づくり(ウネ幅40cm ウネ高さ15cm)
植え付けの3週間前に完熟たい肥とぼかし肥(または牛ふん、鶏ふん)を施して耕し、ウネを立てます。
植え付け
地域によって前後しますが、5月中旬にキュウリの苗を植え付けた後、ムギの種をウネや通路にばらまきます。
発芽してからしっかり根付くまで、踏まないように注意します。
追肥
キュウリの生育のために、3週間に1回をメドにぼかし肥を1握り(または鶏ふん)を施します。
キュウリの根っこは地表の近くに張りますので、根を傷めないように生長の段階に合わせて追肥の場所をずらしてゆきます。
収穫
キュウリは実った果実を順次収穫します。
ムギは、真夏になると暑さで枯れます。
キュウリのコンパニオンプランツ「ナガイモ」
キュウリのコンパニオンプランツに「ナガイモ」を使いますと、キュウリの支柱やネットにツルを絡ませながら元気に育ち、両方の生長が促進する効果が期待できます。
苦手な養分をお互い取り除く効果
木嶋先生によりますと、生の有機物は分解するとまずアンモニア態窒素になるそうです。
さらにアンモニア態窒素は、土の中の微生物の働きによって徐々に硝酸態窒素に変化してゆきます。
ナガイモが養分として好むのはアンモニア態窒素。硝酸態窒素を多く吸収してしまうと、ビタミンCが少なくなってしまいます。
一方でキュウリは生の有機物やアンモニア態窒素が苦手で、硝酸態窒素を好みます。
このようにキュウリとナガイモは相手の苦手な養分の種類を好んで吸収して利用するため、お互いの生長が良くなります。
資材と管理を同時に行うメリット
ナガイモのをコンパニオンプランツにしますと、キュウリの支柱やネットを一緒に利用することが出来ます。
また、敷きわらやマルチ、誘引などの管理を共通して行うこともできるため、手間をかけることが少なくなります。
同じ資材で、2種類の野菜を育てられるのは嬉しいですね。
栽培ポイント
品種選び
キュウリ
品種は何でもOKですが、接ぎ木苗を利用すると強く育ちます。
ナガイモ
長形品種を選びましょう。
土づくり(ウネ幅90cm ウネの高さ15cm)
植え付けの3週間前に完熟たい肥とぼかし肥(または牛ふん、鶏ふん)を施して耕し、ウネを立てます。
植え付け
地域によって前後しますが、4月下旬~5月下旬にキュウリとナガイモを同時に植え付けます。
キュウリ
苗の株間 60cmで植え付けます
ナガイモ
キュウリの株間に植えます。重さ50gほどに切って植え付け、5~7cm程度の土で覆います。
敷きわら or 黒マルチ
キュウリもナガイモも、乾燥と高温が苦手です。苗の植え付け前に黒マルチを張るか、植え付け後に敷きわらを行います。
ナガイモのつるについて
ナガイモのツルを支柱やネットに誘引します。ツルを上に誘引しますと、イモが肥大します。
横に這わせますと「むかご」が多く付いて、イモが大きくなりません。
追肥
キュウリ
キュウリの生育のために、3週間に1回をメドにぼかし肥を1握り(または鶏ふん)を施します。
キュウリの根っこは、地表の近くに張りますので、根を傷めないように生長の段階に合わせて追肥の場所をずらしてゆきます。
ナガイモ
ナガイモは低栄養で育つので、追肥の必要はありません。
収穫
キュウリ
実った果実を順次収穫します。キュウリの葉が枯れてきたら、株元で切って株を処分します。
ナガイモ
一般的にナガイモの収穫時期は11月です。
まとめ
キュウリのコンパニオンプランツ、「長ネギ」「ムギ」「ナガイモ」をご紹介いたしました。
今回ご案内しました内容は、農学博士の木嶋利男先生がご紹介されている方法で、キュウリを単独で栽培するより、病気や害虫を予防したり、マルチや緑肥になるという大変興味深い栽培です。
同じウネで多品目の野菜を育てられるメリットもありますので、ご参考にしていただければ幸いです。
[参考文献]
木嶋利男著「育ちがよくなる! 病害虫に強くなる! 植え合わせワザ88 決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり」
[カジトラ栽培日記]
キュウリをコンパニオンプランツで栽培!初心者が種まきから収穫まで挑戦します
[参考サイト]
野菜づくりBOOK(サポート付 貸農園 シェア畑)
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