農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、ソラマメのコンパニオンプランツを ご案内いたします。
晩秋から育てはじめるソラマメは、よく根付かないうちに寒風や霜にあたりますと苗が凍死してしまうことがありますので、防風ネットや葉の付いたササの枝を風よけに使います。
今回は、コンパニオンプランツ自体が風よけの役目となり、害虫を忌避し、生長を促進させる効果のあるものをご紹介いたしますので、参考になさってください。
ソラマメのコンパニオンプランツ「春どりキャベツ」
ソラマメと春どりキャベツの組み合わせは、ソラマメ栽培のスタートが遅れたとき(11月上旬~12月上旬あたり)に特に効果的ですので、参考になさってください。
※ 地域によって栽培時期が異なります
ソラマメでキャベツがよく育ちます
ソラマメは、根っこに共生する根粒菌によって翌春に土が肥沃になってゆきますので、キャベツの生育が促進します。
キャベツの害虫忌避対策に
ソラマメはアブラムシが付きやすい野菜ですが、害虫目当てにテントウムシなどの天敵もやってきます。
害虫を食す天敵が増えることにより、キャベツに付きやすいアブラムシなどの害虫被害も軽減します。
ソラマメとキャベツの栽培ポイント
品種選び
ソラマメ
品種は何でもOKです。
キャベツ
トウが立ちにくい秋植え春どり用の品種を選びましょう。
土づくり(例:ウネ幅40cm ウネの高さ10cm)
植え付けの3週間前に完熟たい肥とぼかし肥を施してウネを立てます。
植え付け・種まき
キャベツ
地域によって前後しますが、秋植え春どりキャベツの植え付けは 10月下旬~11月上旬に行います。
キャベツはソラマメの2週間程度早く植えておくと良いでしょう。
ソラマメ
10月中旬~下旬に種をまいて苗を準備します。
ウネに直接種まきする方法でも、ポットで育苗する方法でも構いません。
ポット植えの場合、本葉1.5枚の頃にキャベツの株間か条間に苗を植え付けます。
不織布・寒冷紗を使いましょう
冬の間、不織布などで覆っておきますと、寒さ対策とヒヨドリよけになります。
キャベツの土寄せ
キャベツは植え付けた後、3週間程度で土寄せをします。
収穫
ソラマメ
5月中旬~下旬に収穫します。サヤが下を向いて背の部分が褐色になりましたら採り時です。
キャベツ
結球しましたら頭の部分を押してみて、かたくなっていれば収穫します。
● キャベツをソラマメの風よけ用・土の保湿に使われたい場合は、冬どりキャベツでも応用することが出来ます。その場合は 9月中旬~下旬に植え付けます。
● 春になりますと、残したキャベツからわき芽が出て、こぶし大くらいのキャベツを2~3個収穫できる場合があります。
キャベツと同じ効果がある野菜
ソラマメのコンパニオンプランツは、キャベツの代わりに他のアブラナ科の野菜を利用することも出来ますので、お好みの作物を植えてお楽しみください。
[応用できるアブラナ科の野菜例]
🌱 ブロッコリー
🌱 カリフラワー
🌱 ケールなど
ソラマメのコンパニオンプランツ「タマネギ」
タマネギとソラマメは、11月頃に植え付けて、翌年の5~6月に収穫する冬越しタイプの野菜です。
ほとんど同じ栽培期間のタマネギとソラマメは、同じウネを使うことで効率的に育てることが出来ます。
寒さによるダメージが受けにくくなります
木嶋先生によりますと、タマネギはマメ科の植物と相性が良く、冬の間 互いに根っこを張るため、霜柱が立ちにくくなり、寒さによるダメージを受けにくくなります。
ソラマメの立枯病を防ぎます
ネギ属のタマネギは 根っこに共生する菌が抗生物質を出しますので、ソラマメがかかりやすい立枯病などの病気の発症が少なくなります。
ソラマメがタマネギの「おとり」になります
春になり気温が上昇しますと、ソラマメの茎の先端にソラマメヒゲナガアブラムシや、マメアブラムシなどが寄り付きます。
しかし同時に、テントウムシやアブラバチ、ヒラタアブなどの天敵も増え、タマネギの害虫を防ぐおとり作物(バンカープランツ)の役割を果たします。
ソラマメが土を肥沃にします
さらに暖かくなりますと、ソラマメの根が広がり、新しい根に付く根粒菌が活発に窒素固定を行います。
すると、周囲の土が肥沃になりますので、タマネギは肥沃になった土から養分を吸収し、玉が大きく生長します。
マルチ代わりになるタマネギ
タマネギは ソラマメのやや日陰でもよく育ちますので、株元の保湿になり マルチの代わりになります。
ソラマメとタマネギの栽培ポイント
今回はソラマメとタマネギ栽培でご案内いたしますが、ソラマメの代わりにエンドウ、タマネギの代わりにニンニクを使うことも出来ます。
品種選び
ソラマメもタマネギも特に品種は選びません。なんでもOKです。
種まき・苗づくり
ソラマメ
地域によって前後しますが、10月下旬~11月上旬に ポリポットに1粒ずつまいて育苗します。ウネに直接まく方法でも構いません。
タマネギ
市販の苗を購入して植え付ける方法、畑の一角を利用してタネをまいて育苗する方法、セルトレイに種まきして育苗する方法などがあります。
種をまく時期は、一般地で9月頃ですが、早生、晩生などお好みの品種を選びます。
土づくり(例:ウネ幅70cm 高さ10cm)
植え付けの3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥を施し(または牛ふん、鶏ふん)ウネを立てます。
植え付け
ソラマメ
ポリポットで苗を育てた場合、本葉が2~3枚が植え時です。
タマネギ
草丈15cm程度で植え付けることが出来ます。
株間は15cmくらいが一般的ですが、10cm程度に詰めて植えることもできます。
追肥
ソラマメ
追肥は行いません。
タマネギ
タマネギの追肥として、12月中旬~下旬に1回、2月下旬に1回行います。
米ぬか、ぼかし肥などを施して、土の表面(表土)とかき混ぜてなじませます。
収穫
ソラマメ
5月中旬~下旬に収穫します。サヤが下を向いて背の部分が褐色になってきましたら採り時です。
タマネギ
株の8割程度が倒れましたら、天気の良い日に残りの株も含めて一斉に収穫しましょう。
ソラマメのコンパニオンプランツ「ムギ」
※ わが家はエンバクを育てています
ムギでアブラムシを防除します
木嶋先生は、アブラムシが付きやすいソラマメの近くにムギを育てるのもおすすめされています。
アブラムシはムギにも集まりやすく、ソラマメより先にムギを吸汁させることが出来ます。
一度 吸汁したアブラムシは”無毒化”しますので、その後 ソラマメにアブラムシが付いた場合、病気感染を免れることが出来ます。
ムギに集まりやすい益虫
ソラマメの近くにムギ類を育てますと、テントウムシやクモがたくさんやってきます。
上の画像は昨年のソラマメですが、葉の先端に テントウムシの幼虫が付いてます。
益虫のおかげで、わが家の畑はアブラムシをあまり見かけることなく、無事に収穫することが出来ました。
まとめ
※ 左からソラマメ、白クローバー、ニンニク、エンバク、クリムソンクローバー
農学博士の木嶋利男先生が紹介されているソラマメのコンパニオンプランツをご案内いたしました。
ソラマメを単体で栽培するより他の植物と混植することで、寒風対策・害虫を寄せ付けない効果・互いの生長を促す効果が期待できます。
同じウネで多品目の野菜を収穫する楽しみも味わえますので、参考になさってください。
[参考文献]
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