家庭菜園で、毎年 同じ場所に同じ科の野菜を育てていますと病気などにかかりやすくなり、収穫量が落ちてしまうことがあります。
この「連作障害」を防ぐために、私たちは同じ野菜を育てないように工夫しながら計画を立てて栽培していますが、対策の1つに「緑肥」を育てる方法があります。
緑肥は連作障害の原因である土壌病原菌「センチュウ」の密度を下げる効果があり、野菜の病気が出にくくなると言われています。
今回は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、連作障害の対策になる緑肥の栽培のポイントについてご案内いたします。
連作障害の原因「ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウ」
連作障害を引き起こす原因の1つに土壌病原菌があります。
土壌病原菌「センチュウ類」
センチュウ類は、土の中のどこにでもひそんでいる害虫(線形動物の総称)で、3月~11月の長期間にわたって発生します。
センチュウが多く潜んでいる土で野菜を育てますと、根を傷つけられて土壌病原菌に入られ、高い確率で病気にかかってしまいます。
農学博士の木嶋先生によりますと、センチュウは連作でも輪作でも、どちらにしても病気が出てしまうのだそうです。
センチュウ被害にあいやすい野菜(=連作障害が出やすい野菜)
センチュウの被害にあいやすい野菜は、キュウリなどのウリ科、トマトなどのナス科、エダマメなどのマメ科です。
連作障害対策に効果的な「緑肥」
抵抗植物で連作障害対策
連作障害の原因の1つであるセンチュウ類の密度を下げる植物を「対抗植物」といいます。
イネ科のエンバクなどの「緑肥」は抵抗植物で、センチュウの密度を下げる効果があります。
家庭菜園で緑肥を組み込みますと、土をきれいにクリーニングすることができ、野菜に病気がでにくくなります。
対抗植物になるイネ科の緑肥
センチュウの密度を下げる効果のある抵抗植物は、イネ科の緑肥です。
中でもエンバクは、ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウの密度を下げることができ、さらにフザリウム菌病などの病原菌を減らす効果もあります。
春まきの緑肥
🌱ソルゴー
🌱トウモロコシ
秋まきの緑肥
🌱ライムギ
🌱エンバク
🌱コムギ
緑肥で連作障害対策するポイント
畑の1区画に緑肥を栽培
緑肥の種まきに適した時期について、木嶋先生は夏野菜を収穫した後(晩秋)におすすめされています。
畑の1区画に緑肥のタネをばらまきし、翌年の5月頃 穂が出てくる前に刈り取って、細かく刻んで土にすき込みます。
1か月以上かけて分解させるのがコツ
細かく刻んで土にすき込んだ緑肥は、1か月以上 時間をかけて寝かせるのがコツで、分解が終わったあと、野菜の苗を植え付けます。
まとめ
緑肥で連作障害の対策をする方法をご紹介いたしました。
連作障害の1つでもある土壌病原菌 ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウの密度を下げるには、イネ科の緑肥が効果的です。
農学博士の木嶋利男先生は、連作障害が発生しやすい野菜をふくめ、野菜は連作すればするほど品質が向上してゆくと述べられています。
ウリ科、ナス科、マメ科の野菜を収穫したあと、エンバクなどをばらまきして育て、土にすき込んで1か月熟成させますと センチュウ類の密度が下がり、病気の発生確率が低くなると言われていますので、参考になさってください。
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[参考文献]
[ご参考:連作障害対策になる緑肥]