野菜を収穫したあと、畑に何も植えずにそのままにしておくのは、何となくもったいないですね。
そのような時は「緑肥作物」を育てておきますと、土に良い効果をもたらすと言われています。
この栽培は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている方法で、「緑肥作物の効果」と、「春まき用・秋まき用の緑肥種類」をご案内いたしますので、参考になさってください。
緑肥作物の効果
緑肥作物を畑に植えますと、土の中の温度や湿度を一定の範囲に保ち、雨風による土の流出を防ぎ、雑草を抑える効果があると言われています。
農学博士の木嶋利男先生によりますと、緑肥作物はイネ科とマメ科が多く、用途によって使い分けますと、その効果をより発揮させることが出来ると述べられています。
イネ科の緑肥作物の効果
イネ科の緑肥作物は、クリーニングクロップ(掃除作物)とも言われています。
勢いよく生長するのが特徴で、畑に生えている間、土の中の余分な肥料分を吸ってくれる「お掃除」の役割を果たしてくれます。
イネ科の緑肥作物は、茎や葉っぱが覆い茂るように育つものが多いのですが、根っこの量も多いのが特徴です。
刈り込んだ後は、捨ててしまわず土に鋤き込みますと、土の中にたくさんの有機物を供給することができます。
マメ科の緑肥作物の効果
マメ科の緑肥作物は、根っこに「根粒菌」が付きます。
根粒菌は土を肥沃にする効果があり、葉っぱや茎に窒素分が多く含まれていますので、刈り込んで土に鋤き込みますと、肥料の効果があります。
春まき・秋まきの緑肥作物一覧表
この章では、春まき・秋まきの緑肥作物を一覧表にてご紹介いたしますので、参考になさってください。
まく時期 イネ科 マメ科 春~夏 ソルゴー クロタラリア トウモロコシ セスバニア ギニアグラス エビスグサ エンバク マルチムギ 秋 エンバク クリムソンクローバー ライムギ 赤クローバー イタリアンライグラス ヘアリーベッチ レンゲソウ 引用 木嶋利男著「コンパニオンプランツの野菜づくり」116頁 (家の光協会)
緑肥作物の紹介
イネ科の緑肥作物
ソルゴー
ソルゴーは、草丈が1~2mほどの高さになる植物で、土の中の過剰な肥料分を取り除く効果が高いと言われています。
また根っこの量が多いので、土をやわらかくする働きと、根こぶ病やネグサレセンチュウなどの病害虫を防ぐ効果を期待することができます。
トウモロコシ
エダマメのコンパニオンプランツとして使えるトウモロコシです。
この2つを一緒に植えますと、トウモロコシの追肥がいらなくなるうえ、互いの生長を促進させる効果があります。
ギニアグラス
※ 画像はイメージです
牛の牧草飼料に使われるギニアグラスはイネ科の緑肥作物で、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウを抑える効果が高いと立証されているそうです。
また、土に残っている肥料を吸収するはたらきもありますので、野菜の連作障害を避ける作物として注目されています。
エンバク
エンバクは草丈が0.5~1.5mほど生長し、その根から分泌されるアベナシンという成分が、根こぶ病の予防に効果があると言われています。
また、ネグサレセンチュウや、キスジノイハムシの防除にも役立ちます。
エンバクも根っこの量が多いので、土がフカフカに柔らかくなり、枯れたあと土に鋤き込みますと、土に有機物を補給することが出来ますので、土づくりにおおいに役立ちます。
なお、再生力が高いエンバクは、踏み付けて葉っぱが傷んでもすぐに回復します。
マルチムギ
マルチムギの根っこは強く、土を砕いて、団粒構造の形成を促進し、水の排出が高まり、土に空気が入りやすくなると言われています。
マルチムギをコンパニオンプランツとして野菜を栽培しますと、害虫のアザミウマがマルチムギに寄り付き、天敵であるクモが増えて、アザミウマを食べてくれたという報告もあるようです。
参考サイト:京都農販日誌
https://kyonou.com/contents/diary/month/2019/04/
ライムギ
ライムギの実は黒パン、麦芽はウォッカやビールの原料になり、草丈は、1.5~3mにも生長します。
ライムギは、耐寒性が高い緑肥作物ですので、秋に植えて冬場に畑に生やしておくと、空いた畑を有効活用できますね。
また、ライムギもネグサレセンチュウに効果的ですので、土のお掃除に最適です。
イタリアンライグラス
栽培しやすく、イネ科の牧草の王と言われているイタリアンライグラスも緑肥作物です。
耐湿性にすぐれていますので、水田の緑肥にも使われます。
マメ科の緑肥作物
クロタラリア
草丈が1.0~1.5mに生長するクロタラリアは、根っこが深くのびますので土壌改良の効果があり、根粒菌の働きで、土が肥沃になります。
クロタラリアの栽培ポイントは、花が咲く前に鋤き込むことで、ネコブセンチュウの防除に役立ちます。
セスバニア
セスバニアは、根っこに根粒菌が付き土を肥沃にする効果があります。
根粒菌が付く緑肥は、リン酸の利用率が高まると言われています。
土にリン酸が補われることにより、野菜の茎の生長を促し、花、実を付ける効果が高まります。
エビスグサ
通称、ハブ茶と言われているエビスグサも、マメ科の緑肥作物です。
草丈は1mほどに生長し、葉っぱと茎がやわらかいので、鋤き込みもお手軽にできます。
マメ科の中では多湿条件に強く、気温が高いところで生長しますので、温暖地で栽培するのに向いているかもしれません。
キタネグサレセンチュウや、ナミイシュクセンチュウなどに効果があると言われています。
クリムソンクローバー
草丈が0.5~1mに生長します。
春に鮮やかな花がさきますので、景観緑肥としても使うことができます。
根っこに共生する根粒菌の働きで、土が肥沃になる効果があります。
また、ダイズシストセンチュウという害虫の対策にもなります。
赤クローバー(アカツメクサ・ムラサキツメクサ)
赤クローバーも、土を肥沃にする効果があります。
自身がうどんこ病にかかり寄生菌を増やし、野菜のうどんこ病を防いでくれる働きもあります。
ヘアリーベッチ
草丈が0.5mほど生長します。ツルをからませて、絨毯のように広がります。
根粒菌の働きで土が肥沃になり、ヘアリーベッチが分泌するシアナミドがほかの雑草を抑える効果があります。
レンゲソウ
花が完全に枯れる前の茎が青い状態で土に鋤き込みますと、もっとも窒素分を多く土に供給することができます。
レンゲには窒素成分の供給と、土づくりの効果を期待することが出来ますが、リン酸の供給が乏しいのが特徴です。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「緑肥作物の効果」「春まき用・秋まき用の種類」についてご案内いたしました。
🌱イネ科 土の中の余分な肥料分を取り除く「お掃除」の効果
🌱マメ科 土を肥沃にする「肥料の補助・センチュウ防除」の効果
緑肥作物は、余分な肥料分を取り除くもの、土を肥沃にするもの、センチュウ防除など、多様な効果が期待できますので、参考にしていただきましたら幸いです。
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[参考文献]
[緑肥作物の種]
まく時期 | イネ科 | マメ科 |
春~夏 | ソルゴー 60ml | クロタラリア 1kg |
スイートコーン (トウモロコシ) | セスバニア | |
ギニアグラス | エビスグサ | |
エンバク | ||
マルチムギ | ||
秋 | エンバク | クリムソンクローバー |
ライムギ | 赤クローバー(アカツメクサ) | |
イタリアンライグラス | ヘアリーベッチ | |
レンゲソウ |
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