野菜作り初心者の方におすすめしたい、「ジャガイモ栽培と育て方のコツ」を、お伝えいたします。
今回ご案内する栽培は、農学博士の木嶋利男先生が紹介されている ジャガイモの伝承農法です。
昨年 わが家は、この方法でジャガイモを育ててみたところ、驚くほどの量を収穫することが出来ました。
このページで、土づくり、種イモのの植え付けなど、木嶋先生がご紹介する栽培のコツなどを ご案内いたします。
初心者さんにおすすめしたい!伝承農法で行うジャガイモ栽培と育て方のコツ
ジャガイモ栽培のスケジュール
わが家が行っているジャガイモ栽培の流れを例に、ご案内いたします。
なお、この栽培は、「春作のジャガイモ」です。
手順 | 具体的な作業 |
① 種イモの準備 | 植えつける1か月前から芽出し作業 |
② 種イモをカットして乾燥 | 植えつける4~5日前に半分に切って乾燥させる |
③ 畑の土づくり | 植えつける直前までに行う |
④ 種イモの定植 | 伝承農法”逆さ植え”の応用編「ゴロゴロ植え」 |
⑤ 発芽後、黒マルチの穴開け | 黒マルチに穴を空けて、芽を出す |
⑥ 収穫 | 黒マルチを剥がしたら、転がっているイモを収穫 |
① 種イモの準備「芽出し作業」
―種イモを植え付ける1か月前―
種イモを日光に当てて発芽を促進させる「芽出し」を行いますと、畑に植えつけた後、生長がスムーズです。
[詳細]ジャガイモの「芽出し」方法|室内で行うポイント、種イモの緑化について
② 種イモをカット
―種イモを植え付ける4~5日前―
種イモの凹んだ部分(ヘソ)を切り落とし、ヘソから縦半分にカットして、切り口を4~5日間 乾燥させます。
なお、種イモをすぐに植え付ける場合は、切り口に草木灰を付けます。
[詳細]じゃがいもの種の切り方|発芽・生長が促進されるコツをご紹介いたします
③ 土質別の畑づくり
―種イモを植え付ける直前までに行います―
ジャガイモの原産地は、南米アンデス地方です。
その土壌からご想像できるかと思いますが、ジャガイモは栄養の少ない土を好みます。
そこで、畑の土質によって、土づくりを変えるのがポイントです。
砂質の土 | 粘土質の土 |
ジャガイモは栄養の少ない土を好むため、肥料は要りません。肥料分の少ない砂質で栽培すると、高品質のイモを収穫することが出来ます。 | 土がかたい粘土質の畑は、土寄せが難儀ですので、高さ15cm程度のウネをつくり、7~8cmの深さに種イモを植え付けます。この時、ウネに黒マルチを張るのがオススメです。 |
土づくり
種イモの植える溝の周囲を18cm前後の深さまで、細かく耕します。
元肥は不要です
ジャガイモを肥沃な土で育てますと、葉ばかりが旺盛に育ってイモがならない「つるぼけ」が起こる場合がありますので、基本的に元肥をほどこす必要はありません。
また、元肥を施さないもう一つの理由は、3月前後に植えるジャガイモ(春ジャガ)は、気温が低く、元肥の効果がほどんど現れないからです。
④ 種イモの定植「伝承農法”逆さ植え”」
―梅の花が咲いた頃―
一般的なジャガイモの植え付けは、植え溝にタネ芋を置いて土をかけ、芽かきをしたり、土寄せを行いますが、今回の栽培は、芽かきも土寄せも行わない「逆さ植え」という伝承農法です。
ジャガイモの逆さ植えについて
カットした種イモの切り口を上に向けて植えつけますと、病害虫に強い株に育ちます。
[詳細]嬉しい3つの効果「ジャガイモの逆さ植え」昔農家さんの伝承農法です
ゴロゴロ植え
木嶋先生は、伝承農法「逆さ植え」の応用編、「ゴロゴロ植え」を紹介されています。
ゴロゴロ植えは、植えた種イモの上に黒マルチで覆って育てます。
昨年わが家は、この方法で栽培してみたところ、芽かきも土寄せもしないで、大量に収穫することが出来ました。
[詳細]芽かきと土寄せをしない!ジャガイモのゴロゴロ植え|逆さ植えの応用編です
⑤ 発芽後、黒マルチの穴開け
ジャガイモの芽が伸びますと、黒マルチを押し上げますので、穴を空けて芽を出します。
このまま芽かきも土寄せも行わず、収穫まで待つだけです。
⑥ 収穫
ジャガイモの葉が黄色くなってきた頃、黒マルチを剥がしますと、イモが転がっています。
これを拾い集めれば、収穫終了です。
スコップなどで掘り起こす作業もありませんので、大変 お手軽に栽培することが出来ます。
ジャガイモ栽培のポイントとコツ
「そうか病」を防ぐポイント
ジャガイモのお肌がカサブタのようにガサガサするのは、そうか病にかかったからかもしれません。
木嶋先生によりますと、病原の細菌はpHが高くなるほど活発になる傾向にあるようですので、石灰の使用は控えたほうがよいそうです。
秋に育てるジャガイモについて
ジャガイモの秋植えは一般地で9月頃ですが、この時期は まだ気温が高く、種イモが腐りやすいので、切らずに丸のまま植えるがポイントです。
なお、休眠性の深いのと浅いものがありますので、品種によって使い分けてみてくださいね。
切って植え付ける種イモ | 丸ごと植え付ける種イモ | ||
休眠性 | 深い | 休眠性 | 浅い |
品種 | メークイン 男爵 |
品種 | デジマ アンデスレッド |
※ 秋作の種イモの例です
メークインや男爵など 休眠性が深い品種は、カットして刺激を与えますと、芽が出やすくなります。
ご参考:ジャガイモについて
ジャガイモの原産地
ジャガイモは、南米アンデスが原産地で 冷涼な気候を好みます。
日本では、関東以西から沖縄まで、春と秋と2回栽培することができますので、「二度芋」と呼ぶこともあります。
長期間の保存が可能
ジャガイモは、暗く涼しい場所に置いておきますと、長期間保存することも出来る頼もしい野菜です。
栽培しづらい品種もありますが、ジャガイモは 比較的 容易に育てることが出来る野菜ですので、初心者の方も取り掛かりやすいと思います。
ジャガイモは茎です
私たちが食しているジャガイモは、実は土の中にある”茎”(地下茎=ちかけい)が大きくなったところで、「塊茎(かいけい)」と言います。
一方で、サツマイモは、”根”が養分を蓄えて大きくなるので、「塊根(かいこん)」と言います。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、ジャガイモの伝承農法「逆さ植え」と「ゴロゴロ植え」をご案内いたしました。
ジャガイモ栽培は、比較的 容易に育てることが出来ますが、今回ご紹介した伝承農法は、浅く育てると良く育つジャガイモの特性を活かした栽培です。
初心者の方でもお気軽に取り掛かれる方法ですので、参考になさってください。
[参考文献]
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