農学博士の木嶋利男先生が紹介されている「とうもろこしのコンパニオンプランツ」と「栽培のポイント」について、ご案内いたします。、
とうもろこしは単体で栽培するより、コンパニオンプランツと一緒に育てますと、生育が促進し、害虫を寄せ付けない効果があると言われています。
草丈が高くなるとうもろこしの特長を活かした栽培方法をご紹介いたしますので、考になさってください。
とうもろこしのコンパニオンプランツ一覧
とうもろこしは、おもにマメ科とナス科の野菜との混植がおすすめです。
とうもろこしのコンパニオンプランツ一覧
害虫忌避 生育促進 空間利用 エダマメ(ダイズ)、アズキ 〇 〇 つるありインゲン 〇 〇 〇 カボチャ 〇 〇 スイカ 〇 〇 ミツバ 〇 〇 サトイモ 〇 〇 スベリヒユ 〇
とうもろこしのコンパニオンプランツ「エダマメ(ダイズ)・アズキ」
とうもろこしと相性のよい野菜は、エダマメ・ダイズ・アズキなどの「マメ科」です。
マメ科野菜で生育促進の効果
農学博士の木嶋利男先生によりますと、エダマメやアズキの根には根粒菌が共生し、空気中の窒素を取り込み土を肥沃にします。
とうもろこしをエダマメやアズキのそばで栽培しますと、発達したひげ根でこの肥料分を吸収し、とうもろこしがよく生長します。
やせた土地でなければ とうもろこしの追肥も必要がなくなるほど、マメ科の根粒菌は土を肥沃にします。
害虫を寄せ付けない効果
とうもろこし、エダマメ、アズキに寄ってくる害虫はそれぞれ種類が異なります。
作物 | 寄り付きやすい害虫 |
とうもろこし | アワノメイガ |
エダマメ | カメムシ、コガネムシ、シロイチモジマダラメイガ |
アズキ | フキノメイガ |
別種の害虫は互いを避け合う性質があるため、異なる科の野菜を混植しますと それぞれの害虫が寄り付かなくなり、野菜全体の害虫被害が減少します。
トウモロコシとマメ科作物の栽培ポイント
品種選び
とうもろこし
スイートコーン系であれば品種は何でもOKです。
マメ科作物
エダマメ
白豆、茶豆系の極早生~早生種がおすすめです。秋にまく場合も同じです。
黒豆系の晩生種は秋にまきますと晩秋までにサヤが太りません。
アズキ
つるありの品種はコンパニオンプランツには向いておらず、早生品種であれば春まき(夏アズキ)、晩生品種であれば夏まき(秋アズキ)がおすすめです。
なお、アズキは完熟したマメを利用するため、栽培に120~140日ほどかかりますので、タイミングを逃さないように栽培をスタートさせましょう。
苗の準備
とうもろこし
とうもろこしを育苗する場合、植え付けまでに3~4週間かかります。
ポリポットに3粒まいて葉が2~3枚ころに間引きをし、1株の葉が4枚になるまで育てます。
エダマメ・アズキ
とうもろこしの苗を植え付けるタイミングで3粒ずつまきます。
※ 上の写真は一般的なまき方と「多粒まき」です。当方の経験上、多粒まきのほうが発芽率が高いように思います。
土づくり
とうもろこしの苗を植え付ける3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥を施して耕し、ウネを立てます。
植え付け・種まき
※ このページでは、一般地の栽培期間にてご案内いたします。
とうもろこし
とうもろこしの苗を4月下旬~5月下旬に植え付けします。
エダマメ・アズキ
とうもろこしの苗を植え付けるタイミングで3粒ずつまきます。本葉1.5枚(初生葉は含まず)のときに間引きをして2本立ちにします。
追肥
基本的に必要ありませんが、土が肥沃でない場合は、3週間に1回を目安にとうもろこしに ぼかし肥(鶏ふんなど)を1握り施します。
土寄せ
とうもろこし
株元に枝根が出てきましたら土寄せを行います。
エダマメ・アズキ
数回株元に土寄せをしますと、不定根が伸びて生育がよくなります。
収穫
とうもろこし
植え付けから60~70日ほどで収穫します。
エダマメ
エダマメは種まきから80~90日ほどで収穫します。
アズキ
7月中旬~8月上旬に収穫します。
とうもろこしのコンパニオンプランツ「つるありインゲン」
木嶋先生によりますと、とうもろこしとつるありインゲンの混植は、昔からアメリカの先住民の間で行われてきた栽培技術で、日本でも古くから西日本の山間部などを中心に、トウモロコシ(硬粒種)とつるありインゲンとの混植が行われてきました。
空間を利用して栽培
とうもろこしとつるありインゲンを一緒に栽培する最大のメリットは、畑を有効に利用できるところにあります。
植え付けたとうもろこしの株の間にインゲンの種をまきますと、発芽したインゲンはとうもろこしの茎を支柱代わりに絡みついて伸びてゆきます。
とうもろこしの生育促進効果
マメ科のインゲンもエダマメやダイズと同様、根に根粒菌が共生して空気中の窒素を固定し肥料分に変え土を肥沃にします。
そのため、とうもこしの生育が促進する効果が期待できます。
害虫を寄せ付けない効果も
とうもろこしは害虫アワノメイガ、インゲンにはその近縁のフキノメイガが付きますが、混植することによりどちらの被害も抑えられる効果が期待できます。
トウモロコシとつるありインゲンの栽培ポイント
品種選び
とうもろこし
基本的にスイートコーンの品種を選びましょう。
つるありインゲン
丸さや、平さやなどどのタイプでも構いません。お住いの地域の品種で栽培すると楽しいですね。
苗の準備
とうもろこし
とうもろこしを育苗する場合、植え付けまでに3~4週間かかります。
ポリポットに3粒まいて葉が2~3枚ころに間引いて1株にし、葉が4枚になるまで育てます。
つるありインゲン
とうもろこしの苗を植え付けるタイミングか、しばらく日をおいて、とうもろこしの株間に3粒ずつまきます。
当方の経験ですが、トウモロコシの草丈が伸びる前に つるありインゲンを大きく生長させてしまい(ツルを巻き付けることが出来ずに)困ったことがあります。
土づくり(ウネの例:ウネ幅40cm 高さ10cm)
とうもろこしの苗を植え付ける3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥を施して耕し、ウネを立てます。
植え付け・種まき
とうもろこし(株間30cm)
とうもろこしの苗を株間30cmで植え付けます。
つるありインゲン(とうもろこしの株間に3粒ずつ)
とうもろこしの苗を植え付けるタイミング、もしくは しばらく日をおいて、とうもろこしの株間に3粒ずつまきます。
追肥
基本的に必要ありません。
つるありインゲンは肥料分が多くなりますと、繁茂しすぎてサヤが付かなくなります。
土寄せ
とうもろこし
株元に枝根が出てきましたら土寄せを行います。
収穫
とうもろこし
植え付けから60~70日ほどで収穫します。
つるありインゲン
とうもろこしとほぼ同時期に収穫が始まります。早採りを心がけますとその後も長期間収穫することが出来ます。
とうもろこしのコンパニオンプランツ「カボチャ・スイカ」
とうもろこしとカボチャ・スイカとの組み合わせも相性が良いと言われています。
どちらも収穫時期が近く、ほぼ同じ時期にウネを整理することが出来ますので、次の作付けに移りやすいメリットもあります。
空間を最大限に利用できるメリット
カボチャやスイカはツルを横に伸ばし、栽培に広い面積が必要になります。
とうもろこしは風媒花のため、株数を多めにして受粉しやすくします。
横にのびるカボチャ・スイカと、縦に伸びるとうもろこしを組み合わせることにより 同じウネで空間を有効に活用することが出来ます。
カボチャ・スイカがマルチに
とうもろこしは暑さや乾燥に強く日光を好みます。
一方でカボチャやスイカは多少の日陰でもよく育ち、とうもろこしの株元を覆うよに広がります。
そのため土の保湿や雑草の発生予防など、マルチの役目を果たしてくれます。
とうもろこしとカボチャ・スイカの栽培ポイント
品種選び
とうもろこし、カボチャ・スイカともに品種は何でもOKです。
苗の準備
種から育苗する場合、それぞれ3~4週間ほどかかります。
とうもろこし
ポリポットに3粒まき、葉が2~3枚のころに間引いて1株にし、葉4枚まで育てます。
カボチャ・スイカ
ポリポットに1粒まきします。本葉4~5枚で植え付けます。
土づくり(ウネの例:ウネ幅80~90cm 高さ10cm)
植え付けの3週間前に完熟たい肥とぼかし肥を施して耕し、ウネを立てます。
植え付け
地域により前後しますが、5月上旬~下旬にとうもろこしとカボチャの苗を同時に植え付けます。
とうもろこし
2列植え。条間50cm 株間30cm
カボチャ・スイカ
とうもろこし3~4株にカボチャ・スイカ1株の割合でウネの中央に植えます。株間は90~100cmにします。
カボチャ・スイカの摘心
カボチャは子づるが2本伸びてきましたら、親づるの先端を摘心します。子づるはウネの左右に1本ずつ伸ばします。
追肥
土が肥沃でない場合は、とうもろこしに1~2回追肥をします。
とうもろこし
周囲にぼかし肥(または鶏ふんなど)を施して軽く土に混ぜ込みます。
カボチャ・スイカ
特に追肥は必要ありません。
収穫
とうもろこし
スイートコーンは植え付けから60日程度で収穫です。
カボチャ・スイカ
雌花の開花から約50日ほどが採りごろです。(品種に準じます)
とうもろこしのコンパニオンプランツ「ミツバ」
とうもろこしの陰でミツバを育てることも出来ます。
ミツバの株は大きくならないため同じウネに混植することができ、とうもろこしの日陰でもよく育ちます。
とうもろこしはひげ根タイプですが、ミツバは直根タイプですので競合の心配があまりないのがポイントです。
とうもろこしのコンパニオンプランツ「サトイモ」
とうもろこしのコンパニオンプランツは「サトイモ」も適しています。
この栽培は空間を利用する方法で、草丈が高くなるとうもろこしの日陰にサトイモを育てます。
双方の特性を活かして栽培しますので、どちらも生育が促進します。
空間を最大限に利用できるメリット
木嶋先生によりますと、トウモロコシはこれ以上明るくなったら生長の速度が上がらなくなる「光飽和点」がなく、強い日光を浴びるほどよく生長します。
一方でサトイモは、真夏の強い光が苦手で生長が鈍るため、やや日陰のほうがよく生長します。
サトイモの共生菌がトウモロコシの生長促進を手助け
木嶋先生は、春に植えるトウモロコシを8月上旬に収穫した場合、その跡を耕して土づくりをしたあと、8月下旬~9月上旬に秋トウモロコシを育てることも出来ますと述べられています。
サトイモは、共生菌が付いて窒素固定を行うため 周りの土を肥沃にします。その効果がはっきりと現れてくるのは生育の後半で、そのタイミングにトウモロコシを植えますと、追肥を施さなくてもよく育ちます。
トウモロコシとサトイモの栽培ポイント
品種選び
サトイモ、トウモロコシの品種は何でもOKです。
土づくり
ウネについて
可能であればトウモロコシは東西ウネにして、その陰になる北側にサトイモを育てるのがおすすめです。トウモロコシを南北ウネにする場合は、より陰になりやすい片側にサトイモを植えましょう。
パターン1
・北側 サトイモのウネ(ウネ幅60cm、ウネの高さ10cm)
・南側 トウモロコシのウネ(ウネ幅90cm、ウネの高さ10cm)
・サトイモとトウモロコシの間に通路を設けます。
パターン2
ウネ幅を広くとって1つのウネで一緒に栽培する方法でも構いません。
植え付け
※ 一般地の栽培期間にてご案内いたします。
トウモロコシ 4月下旬~5月中旬(条間50cm、株間30cm)
苗の場合は本葉4枚程度で植え付けます。
サトイモ 4月下旬~5月中旬(株間50cm)
木嶋先生によりますと、種イモは芽の出る側を下にする「逆さに植え」にしますと、土寄せを省略することができ、旺盛に育ち、収穫量が増えます。
追肥
肥沃でない土の場合は、トウモロコシに3週間に1回を目安にぼかし肥を1握り施します。
土寄せ・敷きわら
トウモロコシ
株元に枝根が出てきましたら土寄せを行います。
サトイモ
6月上旬と7月上旬頃に土寄せを行ったあと、梅雨が明ける前までに敷きわらを敷いて保湿します。
収穫
トウモロコシ
スイートコーンの場合は植え付けから60~70日ほどで収穫です。
サトイモ
霜が降りる11月上旬~中旬です。
とうもろこしのコンパニオンプランツ「スベリヒユ」
とうもろこしのコンパニオンプラツに「スベリヒユ」という雑草を利用することも出来ます。
上の写真がスベリヒユですが、畑の地表を這うように生えているのを見かけられたことはないでしょうか。
スベリヒユは土の保湿効果があり、根っこが地面の深くに伸びますので、空気や水分の通りを良くしてくれる働きがあります。
そのためとうもろこしの根がよく張り、生育が促進します。
ご参考:トウモロコシに付くアワノメイガの対策について
木嶋先生は、トウモロコシに付くアワノメイガなどの「蝶と蛾の幼虫」は、半分潰して葉の上に放置しておく「半殺し」を紹介されています。
いささかグロテスクな方法ですが、この対策は 昆虫寄生菌が畑が畑全体に広がり、害虫被害が次第に少なくなってゆくのだそうです。
半殺しの記事は、本ページ最後にリンクを貼っておりますので、参考になさってください。
まとめ
農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、とうもろこしのコンパニオンプランツと、栽培のポイントについてご案内いたしました。
草丈が高くなるとうもろこしの性質を活かしたコンパニオンプランツ栽培は、空間利用・生育促進・害虫忌避効果が期待できますので、参考になさってください。
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[参考文献]
[参考サイト]
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