インゲンのコンパニオンプランツをご紹介いたします。
インゲンをコンパニオンプランツと混植しますと、同じウネでもう1品種 収穫することが出来ますので大変 効率的です。
またインゲンを単独で栽培するより害虫が寄り付かなくなり、生長が促進する効果も期待できます。
この栽培は、農学博士の木嶋利男先生がご紹介されている方法で、インゲンのコンパニオンプランツになる野菜を5つご案内いたしますので、ご参考になさってください。
インゲンのコンパニオンプランツ一覧表
インゲンのコンパニオンプランツになる野菜をご紹介いたします。
インゲンのコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツ 病気
予防生育
促進空間
利用プランター
栽培ルッコラ ● ● ● ● ナス ● ● ● サツマイモ ● ● ● ゴーヤ ● ● ● ● トウモロコシ ● ● ● 引用 木嶋利男著「育ちがよくなる! 病害虫に強くなる! 植え合わせワザ88 決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり
」
※ 表の一部 筆者 加筆あり
つるありインゲンとルッコラ
空間を利用してもう1品栽培
インゲン(つるあり)は、生長するとツルを支柱やネットに絡ませながら、どんどん上に伸びてゆきます。
インゲンの株元にできる空間を利用して、ルッコラを栽培します。
ルッコラもインゲンもスクスク育つ効果
農学博士の木嶋利男先生によりますと、インゲンの根っこには「根粒菌」が付きます。この菌は土を肥沃にする効果がありますので、ルッコラは野生味が強くなり元気に生長します。
マルチになるルッコラ
ルッコラがインゲンの株元を覆うことによって、保温・保湿・雑草の防止の役目、すなわち「マルチの代わり」になってくれます。
害虫忌避の効果
ルッコラの独特な香りで、インゲンに寄ってくるアブラムシなどの害虫を忌避する効果が期待できます。
2度まきできるメリット
インゲンは「春まき」と「秋まき」がありますので、一年を通して栽培期間が長いルッコラと一緒に育て、2回収穫することも出来ます。
栽培のポイント
品種選びについて
インゲンは、「つるあり」を選びます。地元の(お住まいの近くの)品種を使われますと、栽培しやすいと言われています。
ルッコラの品種は特に選びません。なんでもOKです。
土づくり
種まきする3週間前にウネを立てます。
肥沃な畑であれば、元肥を入れずに耕すだけで構いません。
やせている畑の場合は、ウネを立てる時に完熟たい肥(牛ふん、鶏ふん)などを入れてよく混ぜて耕します。
種まき
つるありインゲン
1か所に3粒の直まきをします。本葉が1.5枚になったら間引きをして、1~2本にして育てます。
ルッコラ
インゲンと同時に種まきします。インゲンの株元近くには種をまかずに、少し離れたところにばらまきします。ウネ全体にばらまきしても構いません。
ルッコラは間引きをしながら株を大きくしてゆきます。ウネ全体に種まきしたルッコラが マルチの代わりになります。
支柱立て
種まきをしたタイミングで つるありインゲン用に支柱を立てておきますと、今後の作業がしやすくなります。
つるなしインゲンとナス
インゲンのパワーでナスの生育促進
つるなしインゲンは、マメ科の野菜です。
インゲンの根っこには「根粒菌」が共生していて、空気中の窒素を固定する働きがあります。
この窒素分はおもに つるなしインゲンの生育に使われますが、その一部の窒素は古くなった根粒が根っこからはがれたり排泄物が放出されて、まわりの土が肥沃になってゆきます。
そのためナスの生育も促進されます。
マルチの代わりになるインゲン
つるなしインゲンは草丈が低くこんもりと茂りますので、ナスの株元が日陰になります。
ナスは乾燥を嫌う野菜ですので、この日陰がマルチ代わりになり土の保湿効果を高めます。
お互いの害虫を寄せ付けない効果
つるなしインゲンに付くアブラムシ・ハダニと、ナスに付くアブラムシ・ハダニは種類が異なります。
なぜならインゲンとナスは「科」が異なる野菜のため、アブラムシやハダニも「別種」が寄ってきます。
木嶋先生によりますと、異なる種類の害虫はお互いを敬遠しあう性質があるため、インゲンとナスのどちらにも害虫が寄り付かなくなり野菜全体の害虫被害が少なくなるそうです!
マメ科とナス科のコンビは応用が効きます
今回はつるなしインゲンとナスでご紹介をしておりますが、インゲンの代わりにラッカセイ、ナスの代わりにピーマンなどの混植でも、同じような効果を得ることが出来ます。
マメ科 | ナス科 |
つるなしインゲン ラッカセイ |
トマト ナス ピーマン シシトウ トウガラシ |
栽培のポイント
品種選び
インゲン
つるなしの品種を選びます。
ナス
接ぎ木苗で栽培しますと強く元気に生長します。
土づくり
植え付けの3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥を土に混ぜてウネを立てます。
(カジトラは、牛ふん・鶏ふんを利用しています。)
植え付け・種まき
ナス
4月下旬~5月下旬に、ナスの苗を植え付けます。(お住まいの地域によって前後します)
つるなしインゲン
1か所に3粒点まきします。
ナスと同じタイミングか、少し遅れて種まきします。発芽して本葉が1.5枚(初生葉をのぞく)になりましたら間引きをして、1~2本立ちにして育てます。
追肥
半月に1回を目安に、ナスに追肥をします。
追肥をしすぎますと、つるなしインゲンが「ツルボケ」をおこしてしまいますので(葉が茂るだけで花が咲かない状態)生長を見ながら追肥しましょう。
収穫
つるなしインゲン
種まき後、約60日で収穫ができるようになります。収穫期間は約10日程度です。
収穫が終わりましたら、インゲンの株は抜き取らずに株元で切ります。
ナス
実ったら、収穫してゆきます。
敷きわらマルチ
つるなしインゲンの株元を切った後、土を乾燥させないように敷きわらを敷きます。
つるなしインゲンとサツマイモ
つるなしインゲンのコンパニオンプランツにサツマイモもあります!
サツマイモのツルが占める広い空間を利用して、つるなしインゲンを栽培する方法です。
どちらもやせた土で生育促進します
インゲンの根には「根粒菌」が共生し、空気中の窒素を同化することが出来ますので、肥料をほどこさない「やせた土」で栽培するサツマイモと一緒でもよく育ちます。
害虫忌避の効果
インゲンはサツマイモのツルに囲まれて生長するため、カメムシなどの害虫が少なくなる効果があります。
栽培のポイント
品種選び
インゲンは「つるなし」を選びます。サツマイモは、どの品種でもOKです。
土づくり
サツマイモの苗を植え付ける2週間前に、30cmほどの高いウネを立てます。
種まき・植え付け
サツマイモ
サツマイモの苗は、4月下旬~5月下旬(遅くとも7月上旬)までに植え付けます。
※ 地域により、植え付け時期は前後します。
つるなしインゲン
サツマイモとサツマイモの間(約45センチ)に、点まきします。
発芽しましたら本葉1.5枚で間引いて、1~2本立ちにして育てます。
追肥
つるなしインゲンも、サツマイモも追肥は行いません。
つるありインゲンとゴーヤ
ネットや支柱を有効利用
つるありインゲンとゴーヤは、どちらもツルを伸ばして生長する野菜です。
支柱やネットを共有することで、有効に栽培することが出来ます。
どちらも生育促進する効果
つるありインゲンとゴーヤを一緒に栽培しますと、どちらも生育が促進します。
つるありインゲンはマメ科の野菜で、根っこに「根粒菌」が共生し、空気中の窒素を取り込んで土を肥沃にする働きがあります。
ゴーヤはその養分を取り込んでよく生長します。
ゴーヤパワーで害虫寄らず!
インゲンに付きやすい害虫は、カメムシ・アブラムシ・アズキノメイガ(フキノメイガ)などですが、ゴーヤパワーでこれらを忌避することが出来ます。
ゴーヤはウリ科の野菜で果実に苦みがありますが、ツルや葉も独特の香りがするため害虫が寄ってくることはほとんどありません。
応用がきくマメ科とナス科
ゴーヤの代わりに、同じウリ科のヘチマ・キュウリ・マクワウリも同じ効果を得ることが出来ます。
また、つるありインゲンの代わりに、つるありササゲ、シカクマメをコンパニオンプランツにすることも出来ます。
栽培のポイント
ネコブセンチュウに注意です
農学博士の木嶋利男先生によりますと、インゲンとゴーヤは「ネコブセンチュウ」の被害にあいやすい野菜で、一緒に栽培すると被害が広がる心配があるそうです。
ネコブセンチュウがある場所での混植は避けるようにしましょう。
※ マメ科とウリ科と野菜全般に該当します。
品種選び
インゲンは「つるあり」を選びます。ゴーヤの品種はなんでもOKです。
土づくり
植え付ける3週間前にウネを立てます。
肥沃な土でなければ、完熟たい肥(牛ふん、鶏ふん)などで土づくりをします。
種まき・植え付け
ゴーヤ
ポリポットに2粒まいて、本葉が2枚になったら1株にします。
本葉が3~4枚で植え付けます。
つるありインゲン
ゴーヤの植え付けと同じタイミングで、種をまきます。
ゴーヤの苗から20~30センチ離れた場所に3粒点まきします。本葉が1.5枚になりましたら間引いて1~2本にします。
鳥に狙われやすいので、間引きをするまで不織布などでガードします。
支柱と誘引ネットは、種まきのタイミングで
あらかじめ支柱と誘引ネットを張っておきますと、今後の作業がお手軽です。
つるありインゲンはほぼ垂直に、ゴーヤは斜めにツルが伸びてゆきますので、お互いのツルがいいあんばいに絡みながら伸び、きれいなグリーンカーテンになります。
追肥
追肥は行いません。
収穫
つるありインゲン
莢(さや)がかたくなる前に早めに収穫します。
ゴーヤ
実が大きくなったら収穫します。
つるありインゲンとトウモロコシ
木嶋先生によりますと、トウモロコシとつるありインゲンを一緒に栽培する方法は、昔からアフリカの先住民が行ってきた栽培技術なのだそうです。
畑を有効利用できるメリット
植え付けたトウモロコシの株の間に、つるありインゲンの種をまきますと、トウモロコシの茎が支柱の代わりになりインゲンのツルが絡みついて伸びてゆきますので、空間を有効に利用できるメリットがあります。
お互いの生長が促進します
マメ科のインゲンは、根に「根粒菌」が共生し、空気中の窒素を固定して肥料分に変えますので、土が肥沃になります。
トウモロコシは肥料をよく吸収する性質がありますので、インゲンが作った肥料分をぐんぐん吸い込んでよく育ってゆきます。
お互いの害虫を寄せ付けない効果
インゲンには「フキノメイガ」という害虫、トウモロコシには「アワノメイガ」という害虫が付きやすいのですが、異なる害虫はお互いを嫌う性質があるため、それぞれ寄り付かなくなります。
そのため、それぞれの野菜の害虫被害を少なくする効果が期待できます。
栽培のポイント
品種選び
インゲン
「つるあり」を選びます。丸さや、平さやなどどのタイプでもOKです。
トウモロコシ
基本的に、スイートコーンの品種を選びましょう。
トウモロコシ苗の準備
トウモロコシから準備をします。
トウモロコシはタネまきから植え付け苗になるまで3~4週間かかりますので、先に準備をします。
ポリポットに3粒まいて、葉が2~3枚になりましたら間引いて1株にします。
葉4枚で、畑に植え付けます。
土づくり
トウモロコシとつるありインゲンの植え付け(種まき)の3週間前に、完熟たい肥とぼかし肥を入れて、ウネを立てます。
私は、牛ふん、鶏ふんなどを使っています。
植え付け・種まき
地域によって前後しますが、植え付けの適期は4月中旬~5月中旬です。
トウモロコシ
トウモロコシの葉が4枚になりましたら植え付けます。株と株の間を30cmほど空けます。
2条植えにしたい場合は、ウネの幅を70cm、条間を40cmにします。
つるありインゲン
トウモロコシの株の間に3粒ずつ種をまきます。
種まきのタイミングは、トウモロコシの苗を植え付けるのと同時か、数日後にします。
種を早くまいてしまいますと、トウモロコシの光合成のさまたげになる場合がありますので、トウモロコシを植え付け後、1~2週間後に種まきしても構いません。
追肥
基本的に追肥の必要はありません。
肥料をあげすぎてしまいますと、インゲンの葉が育ちすぎてツルボケを起こし、莢(さや)が付かなくなってしまいます。
土寄せ
トウモロコシの株元に枝根が出てきましたら、土寄せを行います。
収穫
つるありインゲンとトウモロコシは、植え付けから60~70日ほどで収穫することができます。
トウモロコシをすべて収穫した後も、支柱として利用します。
インゲンを早めに採るように意識していますと、長い期間収穫することが出来ます。
まとめ
インゲンのコンパニオンプランツをご紹介いたしました。
今回ご案内しました栽培は、農学博士の木嶋利男先生がご紹介されている方法です。
マメ科のインゲンは土を肥沃にする働きがありますので、コンパニオンプランツもスクスク育ち、害虫忌避の効果も期待できるのであれば、こんなに嬉しいことはないですね。
カジトラもコンパニオンプランツでインゲンを栽培して、成果をご報告できればと思っております。
インゲンのコンパニオンプランツは種類が豊富にありますので、野菜づくりが楽しくなりそうですね。
[参考文献]
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