農学博士の木嶋利男先生が紹介されている、「小さい玉ねぎの苗の育て方」について、ご案内いたします。
玉ねぎの種をまいて育苗したところ、小さな苗にしか育たず、そのまま植え付けた結果、とても小さな玉ねぎしか収穫できなかったというご経験はないでしょうか。
私は 玉ねぎの育苗が苦手で、植え付けに適した大きさの苗に育てることができないため、木嶋先生の玉ねぎのキツキツ植えで毎年栽培しております。
今回ご紹介する方法は、普通の玉ねぎのように大きく育てることは叶いませんが、小さい玉ねぎの苗でも 収量がアップする裏ワザですので、参考になさってください。
小さい玉ねぎの苗でもたくさん収穫できる裏技「キツキツ植え」
挫折を繰り返す玉ねぎ栽培
※ 2020年に収穫した玉ねぎ
私は、玉ねぎ栽培が苦手です。
種をまいて育てた苗が、どうしても植え付けに適したサイズに育たず、小さな苗になってしまうのです。
そのような小さな玉ねぎ苗を植え付けても 越冬できずに枯れてしまったり、何とか生き残った苗は、ピンポン玉のようなサイズにしか育ちません。
そこで、木嶋先生が紹介されている玉ねぎのキツキツ植えで育てるようになりました。
超密植「キツキツ植え」
一般的に玉ねぎの苗の適正サイズは、茎の直径が6~8mmと言われていますね。
ところが自分で育苗する玉ねぎは、天候や種まきの時期などの影響などで、十分な大きさに育たない場合があります。
そのような小さな苗の生育を促進させ、収量をアップさせる木嶋先生の裏ワザが、株間を通常の1/3ほどにして密植する「キツキツ植え」です。
木嶋先生によりますと、玉ねぎは長ネギ・ラッキョウと同じネギの仲間で、いずれも分げつする性質があるのだそうです。
株がある程度まで生長すると、根元の近くから新たな芽が伸びて、株の数が増えてゆくことです。
玉ねぎは 1株に1玉以上に育つ!?
私は、「玉ねぎは 1株に1玉 育つもの」と思っていましたが、木嶋先生は「大きく育った玉を収穫しないでそのまま放置しておくと、分げつ・分球して、翌春には何本もの株が密集した状態になります。」と、述べられています(驚きですね!)。
さらに木嶋先生は、株間をせまくした玉ねぎのキツキツ植えは、玉ねぎにとって自然の姿と言えるのです。とも紹介されています。
私は、玉ねぎ苗の株間を狭くして植えると、詰まってしまい大きく育たないのでは?と考えておりましたが、玉ねぎには「牽引根」と呼ばれる根っこがあり、もし分球したときに 玉どうしの距離を調整し、どちらも肥大できるようになっているのだそうです。
つまり、玉ねぎ苗をキツキツに植えますと、分球時と同じように牽引根が働き、隣り合った株どうしがうまく左右にずれて、直径が7~8cm程度にまで肥大します。と、木嶋先生は説明されています。
※くっつけ合って育てた玉ねぎは、どちらも丸くなりました。
玉ねぎのキツキツ植えの効果について
特大サイズは難しいです
キツキツ植えで育ちが良くなった玉ねぎでも、もとの苗がとても小さいので、特大サイズまで大きくさせることは難しいです。
しかしながら、密植(キツキツに植える)することにより、面積当たりの株の数が増えますので、収量がアップすることになりますね。
根を深く伸ばし、霜柱に強くなります
キツキツ植えにした玉ねぎは、隣合った株どうしが競争し合い、根を深く伸ばしてゆきます。
また、適度に根が絡み合い霜柱が立っても株元が持ち上がらなくなります。
小さな玉ねぎの苗を植え付ける方法
この章では、木嶋先生が紹介されている、小さな玉ねぎの苗を植え付ける方法をご案内いたします。
キツキツ植えに使用する苗の太さについて
玉ねぎのキツキツ植えは密植しますので、マルチは使いません。
玉ねぎの茎の直径2mm程度(つまようじくらいの太さ)の苗を密植します。
株間を5cm間隔にして密植します
一般的に玉ねぎの苗は、茎の直径が6~8mm程度が適正サイズで、株間を15cmにして植え付けますが、キツキツ植えは1/3狭くして5cm間隔にし、苗の白い部分を土に埋めます。
下で苗が浮かないよう、株元を手でしっかり押さえて苗と土を密着させるのがコツです。
2021年_小さい玉ねぎの苗で育てたレポート
2021年
2021年5月に収穫した玉ねぎです。
当時はまだ、キツキツ植えを行わずに栽培しています。
ご覧のように、ピンポン玉サイズの小さい玉ねぎばかりでした。
2022年_小さい玉ねぎの苗で育てたレポート
2022年5月に収穫した玉ねぎです。
キツキツ植えを実践してみたものの、球は大きくなりませんでした。
苗が小さいからという原因のほかに、草マルチもせず寒さ対策を全く怠っていたからだと思います。
ちなみに、この年は豊作で小さな玉ねぎを大量に収穫しましたので、皮を剥くのに大変苦労いたしました。
2023年_小さい玉ねぎの苗で育てたレポート
2023年春
2023年4月に、転居いたしました。
引越し準備で多忙ということもあり、上の1枚(4月5日時点)しか納めておりませんでした。
本来、キツキツ植えの株間は約5cmの超密植ですが、10cm間隔で育てました。
前年の反省を活かし、防寒対策として黒いマルチを張ったため、植穴が10cm間隔だったのです。
玉ねぎは、5月中旬に収穫いたしました。
大きさは、今までの中で最も大きいサイズで、標準サイズよりは小ぶりでした。
2023年10月
現在、玉ねぎの種を蒔いて育苗しております。
今季も頑張って、玉ねぎ栽培に挑戦したいと思います。
追って、ご報告いたします。
2023年11月
2023年11月19日
庭の片隅に作った育苗スペースで、玉ねぎの苗を育てています。
発芽はしてくれたもののあまり太くなってきません。
そこで、混み合っているところを間引いてみました。
そろそろ、苗の植え付け時期なのですが、もう少し育苗してみようと思います。
ご参考:玉ねぎの2本植え
木嶋先生は、玉ねぎの茎が直径が6mm程度(わりばしくらいの太さ)の苗を、2本まとめて15cm間隔で植え付ける方法も、収量がアップしますと紹介されています。
引用 やさい畑2019冬号 44頁
木嶋先生のお弟子さんであるカンダケンシさんの実験で、6mm程度の太さの玉ねぎ苗を2本ずつ植える方法でも収量がアップする結果が出ています。
まとめ
私は家庭菜園を始めて2年目の秋に、共同菜園のおじいさんに「玉ねぎは種をまいて育てたほうが楽しいよ!」とすすめられて育苗してみました。
ところが、種まきの適期を逃し、適正のサイズに生長していない苗を植え付けたため、とても小さいタマネギになってしまった苦い経験をし、今に至っております。
現在も、 玉ねぎの育苗と栽培に苦戦をしておりますが、木嶋先生のキツキツ植えという育て方を知り、毎年挑戦しております。
玉ねぎの種をまいて育てたものの、小さい苗にしか育たなかった場合は、木嶋先生のキツキツ植えを参考になさってみてください。
[参考文献]
やさい畑 2019冬号 家の光協会 42~47頁
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